第34話 仕事の話
「これで
オーパ爺がそんな事を言った。
「本題?」
私の貴族疑惑じゃなかったの?
「儂等がどういった仕事をしていて、お前さんにどの様な仕事をしてもらうか、という話じゃ」
「あぁ……」
そう言えばそうだった様な気がする。
「お前さん……、まぁ良いわい。儂等がやっとる仕事は、この街の周辺に在る村へ巡回販売と買取りじゃな――」
オーパ爺が言うには、この街の周辺には五つの村が在って、それらを
販売している商品は主に塩で、後は村人に依頼された物の調達と、少しの薬を扱っているらしい。
買取りの方は、魔物や動物の素材や加工品に民芸品、森等での採集品と、若干の余剰作物。
塩の取引と聞いて、かなりぶいぶい言わせてるんじゃ? って思ったら、村の必要量の殆どは年貢と交換で領主が配付しているらしい。
ならば逆に殆ど売れないのでは? となるが、そこも各村とも困窮している訳ではないので、それなりに買ってくれるようで、各種経費を差し引いても二人で生活するなら、ちょっと余裕が有る位には稼げているみたい。
そこで私の登場だ。私は取り敢えずは、むしゃむしゃされてしまった護衛の代わりになる。
給金等も護衛二人分そっくりそのまま転用されるので、利益は一先ず変わらない。
その代わり安全性は段違いに上がる。護衛が殺られた魔物を瞬殺出来るし、私の土槌の一撃に耐えられる強度の結界も有るからね。防犯もばっちりだし、お風呂を作って生活環境も向上する。こりゃあ、お買い得だね! 素性が怪しい不審者という以外はね!
「大体こんなところかのう。後の細かい事は実地で見て貰った方が早いじゃろう」
「そうだね。それで良いと思うよ」
そして給金の話。これは前に言ってた様に、取り敢えずは月に金貨5枚になる。
しかも、エンケリンちゃん達と一緒の時の費用は経費扱いで、基本的にオーパ商会が払う。
つまり、エンケリンちゃんと一緒に暮らして行く予定の私は、個人行動時以外の生活費が掛からない……。
流石にそれは心苦しいので、食費位は出そうと思うけど、今言っても受け取ってくれないだろうから、その時が来たら出す事にする。
早速、契約書を書く。うん、ちゃんと契約書が有った。私の本人控えと、商人組合に預けておくものの二枚に署名をする。
異世界あるあるの魔法契約ではなく、普通の契約書だった。魔法契約もあるらしいけどお高いらしい。
「これで、ここでやることは終わったかのう。持ち込み品の代金を貰って、仕入れに行くとするかのう」
そう言ってオーパ爺は席を立つと、私達も促す。
オーパ爺に続いて部屋を出て、契約書をさっきの受付の女性に預ける。
その時に、
「この金額で本当に大丈夫ですか? 何か有りましたら私や他の者でも構いませんので、お話し下さい」
と、大分気遣われたけど、
「大丈夫だから、手代としては多い方でしょ?」
って、ちゃんと言っといたよ。あのままじゃオーパ爺が
馬車置き場に戻りながら、ふと気付く。さっき査定に出した物の代金の受取りって事は、馬車に乗ると言う事だ、と言うことはまたあの至福の時間が訪れると言うことだ!
「ふへへへ」
思わず笑いが漏れる。
「リーベスお姉ちゃん?」
横から繋いだ手を引かれると共に、そんな声が聞こえる。
そう、私達はお手手を繋いでいるのだ! また一つ上のステージに上がってしまったのだよ。ふへへ。
しかしだ、とっても嬉しいこれが、非常に神経を使う事になっている。少しでも力加減を間違うと、エンケリンちゃんのお手手が悲惨なことになってしまうのだ!
だが、そんな事をおくびにも出さずに私は答える。
「ふふふ、これから楽しみだなぁってね」
「? わたしも楽しみ!」
一瞬顔に?が浮かぶも、次の瞬間にはそう言って笑顔を返してくれるエンケリンちゃん! なんて可愛いらしいのでしょうか! 思わず手に力が入ってしまいそうになりました!
新規登録で充実の読書を
- マイページ
- 読書の状況から作品を自動で分類して簡単に管理できる
- 小説の未読話数がひと目でわかり前回の続きから読める
- フォローしたユーザーの活動を追える
- 通知
- 小説の更新や作者の新作の情報を受け取れる
- 閲覧履歴
- 以前読んだ小説が一覧で見つけやすい
アカウントをお持ちの方はログイン
ビューワー設定
文字サイズ
背景色
フォント
組み方向
機能をオンにすると、画面の下部をタップする度に自動的にスクロールして読み進められます。
応援すると応援コメントも書けます