第26話 着替え?
赤と白を基調としたフリル一杯の可愛らしい服だ。うん、可愛らしい服だ。
帽子まで被ってる。赤いかぼちゃみたいな帽子だ。……私このまま寝たのか? 違和感無かったんだけど……。
いや、まぁ良いや。もう着てるものはしょうがない。取り敢えずは確認を……。
「オーパ爺、これと似たような服って見たことは……」
「無いのう」
「そうだよね……」
まぁそうだろうね。
「目立つ?」
「相当のう」
ですよね~。う~ん、どうしたものか……。
「どうしたの?」
悩んでいると、エンケリンちゃんが声を描けてくる。
「この格好だと目立ち過ぎるから、着替えるかどうか――」
「着替えちゃうの!? かわいいのに!」
「え、えっと……」
う~ん。エンケリンちゃんには大好評なんだけど、流石にこの格好は……。目立ち過ぎるのもねぇ?
う~ん。幻影魔法でも掛けるか? エンケリンちゃんだけ例外にすれば良いかな?
……あ、一般的な服装ってどんな感じだろ、……まぁ良いや。エンケリンちゃんの服をサイズアップしよう……。
「……
魔法を発動した瞬間、私の服装が変わる。
当然、全裸になってから再構成とかはしない。変身じゃ無くて幻影魔法だからね。
そして同時に、出したままの私の幻影も同じ服になる。
「わっ!?」
「のっ!?」
驚くエンケリンちゃん達。
「どうかな? 変なとこ有るかな? エンケリンちゃんとお揃いにしてみたんだけど……」
自分とお揃いと聞いて、交互に私と自分を見るエンケリンちゃん。その動きがまた可愛い!
「…………わっ! ほんとだ! すごーい!」
そう言って私に抱きついてくるエンケリンちゃん!?
「あわわわ」
突然の行為に慌てふためく私。
「んん? なんかある?」
そう言って中空をさわさわするエンケリンちゃん。
「あわわわ……、ふぅぅ、ふぅぅ……、あ、あくまで幻影魔法だから、見た目だけで、実際にはさっきの服のままだからね。それはさっきのスカートだよ、エンケリンちゃん」
「へーすごいね! ちゃんとあるのにぜんぜん見えない!」
私から離れて、見えないスカートをさわさしつつ、
「これならどうかな? オーパ爺」
「ふむ。それなら問題無いじゃろう」
よし。オーパ爺はOKだ。後は……。
「エンケリンちゃんもこれで良いかな?」
「うん! にへへ、お揃い」
うわっ!? ここで来るか!? やっぱりこのにへへ笑いが一番好きかも。早く写真魔法を改良せねば!
「それではそろそろ行くかのう」
「え?」
「はーい!」
疑問の声を上げた私に対して、元気にお返事をして外に駆けてくエンケリンちゃん。
「何かあったかのう」
「えっと、お風呂は……」
「…………」
「…………」
見つめ合う私とオーパ爺。
「帰ってきてからではだめかのう?」
「え、あ、あぁ、そうだね。それもそうか」
まぁ、当然と言えば当然の事か、仕事の方が大事だよね。
「どれだけ風呂好きなんじゃ」
「まぁ、そこそこ」
「……お前さんが居れば1日仕事にはならんじゃろうから、充分作る時間は有るはずじゃ」
「分かったよ」
「それでは行くぞい」
「うん。……あ」
「なんじゃ今度は」
「あ、いや、……顔洗ってないなって」
いや~恥ずかしい! 起きてから顔も洗わずに出かける所だったよ!
「……顔を?」
私の顔をじっと見るオーパ爺。
う、顔を洗ってないって思ったら見られるのが途端に恥ずかしくなって来たんだけど!?
「どこも汚れてる様には見えんが……」
ん?
「えっと、特段汚れてなくても朝起きたら顔を洗うよね?」
「いや、洗わんが……」
「え?」
「汚れとらんなら必要ないじゃろ」
「……えっと、そういうもの?」
「そうじゃな」
う、う~ん。改めて考えると起きたら顔を洗うのは何のためだろう? 習慣でやってたけど、汚れてなければ必要ないのかな?
まぁ良いや。時間もないし、自分に洗浄魔法掛けて済まそう。
「洗浄!」
その瞬間私の全身が水に包まれる。そして直ぐにその水も消えていく。そうして綺麗になった私が残ると。ん? 美醜的な意味じゃ無くて、清汚的な意味だからね?
「な、何じゃ!?」
「う~ん、すっきり」
オーパ爺が驚いてる。……そう言えばオーパ爺には洗浄魔法を見せて無かったっけ。
「えっと、これは洗浄魔法って言って物を洗う魔法かな?」
「とんでもないのう」
「オーパ爺もする? すっきりするよ?」
「い、いや。遠慮しておく」
「そうお?」
「そろそろ行かんと、エンケリンだけに準備させる訳にはいかんじゃろう」
「あっ! そりゃ不味い!」
急いでエンケリンちゃんを手伝いに行かねば!
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