第25話 朝食
さぁエンケリンちゃんのお手伝い! と思いきや。もう並べ終わってました。
「エンケリンや」
「うう、だって……」
「まぁ、気持ちは分かるがのう。今日だけじゃぞ」
「うん!」
さてさて、謎のやり取りがなされましたよ。
恐らく、食材のどれかが高価か貴重なのだろう。普段使いしないそれを、昨日の私の食べっぷりに、思わず出してしまったと言った所かな?
まぁ、オーパ爺のOKも出た様だし、ここは気を使わせず美味しく頂くのがいいでしょう。
「イタダキマス」
「いただきます!」
「頂きます」
皆でそう言って食べ始める。
ん~! やっぱりとろチーストは最高だね! ――はっ! いけない! またがっついてしまう所だった! ふふふ、私は学習する女なのだ。
「……ほら、こっち見てないで食べて、食べて」
全く、二人になんか期待された目で見られてたんだけど……。あんなはしたない
少し食べ進めた所で、
「あ、そうだ。今日はどうするの?」
私がふわっとした質問をする。
「そうじゃな。食べ終わったら商人組合に行って、リーベスの登録をしてから、村から持ってきた商品の買い取りをしてもらうかのう」
ふむふむと
「その後は、儂らの商会の仕事内容をお前さんに説明してから、次の仕入れかのう」
成程と
「ごちそうさまでした!」
「ゴチソウサマデシタ」
「ご馳走さまでした」
今朝も大変美味しゅう御座いました。そう言や、エンケリンちゃんは料理を作ったのだからちょっと違うような気もするけど……まぁ良いか。
「こんな早くから行けるなんて初めてかも?」
そんな事をエンケリンちゃんが言う。
「そうじゃのう。いつもは昼近くじゃったからのう」
オーパ爺が
そう言や、前は荷物を全部家に入れて、また積み込んでたんだっけ? そりゃ二人にとっては重労働だろうからね。時間も掛かるよね。
「やっぱりリーベスお姉ちゃんは凄いね!」
「全くじゃのう」
二人してそんな事を言ってくる。あんまり誉めないで欲しい。調子に乗ってしまう。私は自分が単純だという自覚はあるのだ、エンケリンちゃんに言われては尚更そうなってしまう。なので、
「あんまり誉めないで、私にとっては大した事じゃないし、調子に乗っちゃうから」
一応釘は差して置く。
「え~、でも凄いよね?」
「そうじゃのう」
うん。まぁ、そうだよね。良い意味でエンケリンちゃんには言っても無駄だと思ってた。これは自制心を鍛えるしかないかな?
私が調子に乗ってなんかやらかしても、私自身は大抵の事は何とも無いだろうし、何とかなるだろうけど、エンケリンちゃん達はそうはいかないだろうからね。
私のやらかしでエンケリンちゃんに何か有ったら、私が耐えられないよ。
「それで、お前さんはその格好のままで行くのかのう?」
「え?」
そんな事をオーパ爺が言った。
そう言や服装なんて全く気にしてなかったな。
「え~着替えちゃうの? すっごくかわいいのに~」
……なんか前にも聞いた気がするね今の言葉。私どんな格好してるの? 不安になって来たんだけ――
んん!?
……なんか、物凄くひらひらしたの着てる気がする……。
「オーパ爺、鏡有る?」
「鏡か? 手鏡くらいは有ったじゃろうが……」
「じゃあ良いや」
流石に姿見は無いか。う~ん、どうしようか……。幻影魔法かなんかで自分の幻影を作れば良いかな。
「…………幻影!」
「わっ!?」
「ぬを!?」
「なっ!?」
私が魔法を発動した瞬間、
「リーベスお姉ちゃんが二人になった!」
「こりゃまた……」
「なんじゃこりゃー!」
「リーベスお姉ちゃん?」
「……どうしたんじゃ」
「あ、いや、ちょっと……」
まじか……デア……そっちかー、うん、まぁデアの趣味は良いんだ。何を好きでも。
でも、私に着せなくても良いんじゃないかなぁ。いくら若返ったと言っても、そこまで若く無いからね?
そこには、今にもぬいぐるみと一緒に札を捕まえに行きそうな格好をした私がいた。
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