第24話 下見
エンケリンちゃんのお手伝いをする為にも速攻で家の回りの確認をする。
位置的には勝手口から出た所、あ、台所部分の所の扉ね。そこを出て左側の所がスペースがあって作りやすい。
でも、そこに作るとエンケリンちゃんとオーパ爺の部屋の前をがっつり塞ぐ事になるので宜しくない。窓から光が入らなくなって、部屋が真っ暗になっちゃうからね。
となると、もうちょっと奥のエンケリンちゃんの部屋の隣の部屋と、その隣のトイレの横になるかな。厩との間になるからちょっと狭くなるけど、そこがベストかな?
問題は入口を何処に付けるかかな。勝手口から外を歩いて行く、と言うのは無しにしたい。となると、エンケリンちゃんの部屋の隣の部屋から行けるのがいいけど、あの部屋何の部屋なのかな。まぁトイレを通るのは無いよね。
よし、取り敢えずはこんな感じで、先ずはあの部屋使えるか聞いてこよう。
そして、勝手口から戻ろうと扉に手を掛けようとした所で、勢いよく扉が開く!?
すかさず手を引く私。流石は敏捷100――
「あ」
ごん!
「あた」
「わっ!?」
手は引いたけど、体を動かすのを忘れて扉が直撃する私。思わず反射的に声が出る。こう言う時って全然痛く無くても声でちゃうよね?
しかし、結構な勢いで食らったのに全然痛く無いね。頑丈100のお蔭かな?
「な、なに?」
そんな考察をしてたら、困惑を含んだ様なエンケリンちゃんの声が聞こえた。
そして恐る恐るこちら側を覗いてくるエンケリンちゃん。
「リーベスお姉ちゃん!? あ! あ! あ! だ、大丈夫!?」
扉が直撃している私を見て、物凄くあわあわしてるエンケリンちゃん! 可愛い過ぎる……はっ!
「激写!」
カシャッ
「ひゃっ!」
「よっし!」
エンケリンちゃんのレア顔ゲット!
「もう! リーベスお姉ちゃん! それいや!」
そう言って怒るエンケリンちゃん……え?
『リーベスお姉ちゃん! いや―いや―いや………』
頭の中で繰り返されるエンケリンちゃんの言葉……。
「き、嫌いになった?」
「え?」
「わ、私のこと、き、きらい、ううう」
私の目から涙がぽろぽろと出てくる。
「えっ!? わっ!? わっ!? な、なってないよ! 嫌いになんかなってないよ!」
「ほ、ほんとに?」
「ほんとだよ!」
「で、でも、いやって……」
「え? ……あ、あれは、突然おっきな声と変な音がして、すっごくびっくりするから!」
「おっきな声じゃなくて、変な音がしなけりゃいい?」
「え? う、うん……」
よし! 改良しよう! 写真魔法!
でも良かった~写真魔法が嫌なだけだったんだ。私が嫌われたんじゃなかったんだ……。
そうやって安心すると、途端に恥ずかしさが込み上げて来る。
うわぁ、エンケリンちゃんの前でぼろ泣きしちゃったよ~! うぅ~、頼れるかっこいいお姉ちゃんでいたかったのに~。
まぁ、遅かれ早かれその設定が崩れるとは思ってたけど、こうも早いとは……。
うう、もう終わったことはしょうがない、ここからは親しみやすいお姉ちゃんで行こう!
「……リーベスお姉ちゃん、大丈夫? 痛い?」
そう言って、心配げに上目遣いで見てくるエンケリンちゃん!? はっ! ぐぅ、まだ改良前で撮れない!? こんなベストショットを逃すとは……。
「ううぅ……」
「リーベスお姉ちゃん!? 大丈夫!? 頭痛いの!?」
私が額に手を当てて、無念の唸りを
「はっ! ああっ! ごめんねエンケリンちゃん! 大丈夫! 何ともないよ!」
「……ほんとに?」
「ほんと! ほんと! ほら! なんともなってないでしょ!」
そう言って、額を見せる私。
「……うん」
「ほら! 何ともないからね!」
「……うん」
むぅ。仕方無いなぁ。
「ううう、またエンケリンちゃんが私を信じてくれない」
顔を両手で覆ってあからさまな嘘泣きをする私。
「えっ! あっ! ごめんなさい! リーベスお姉ちゃん! 信じる! 信じるよ! 何ともないんだよね!?」
「……本当に?」
「ほんと! ほんとだよ!」
「良かった~」
「ほっ……もう、しょうがないなぁ」
あれ? なんかこれって私が
「そう言えば、エンケリンちゃんは何しに来たの?」
「あっ! ごはんできたよ! ってリーベスお姉ちゃんを呼びに来たんだった」
「あ、そうなんだ。じゃあ早く行こう!」
「うん!」
そうして二人で家に入った。
新規登録で充実の読書を
- マイページ
- 読書の状況から作品を自動で分類して簡単に管理できる
- 小説の未読話数がひと目でわかり前回の続きから読める
- フォローしたユーザーの活動を追える
- 通知
- 小説の更新や作者の新作の情報を受け取れる
- 閲覧履歴
- 以前読んだ小説が一覧で見つけやすい
アカウントをお持ちの方はログイン
ビューワー設定
文字サイズ
背景色
フォント
組み方向
機能をオンにすると、画面の下部をタップする度に自動的にスクロールして読み進められます。
応援すると応援コメントも書けます