第13話 同棲予約

 ま、まぁ仕方無いと思うんだ。高いんだろうなとは思ってたけど、実際聞いた額を考えると換算したくなるでしょ? 砂糖100g金貨1枚だよ? 一万円!


 お、落ち着くんだ私……。これは相当気を引き締めて街の物価調査をしないといけなさそうだね。


「……落ち着いたかのう」


 オーパ爺が呆れた声音で聞いて来た。


「勿論だよ。私の給金で砂糖が500g買えるって事だよね」


 当然、と言う様にそう返す私。


「……お前さん、給金全部を砂糖に変える気か?」


 まさに呆れ返ったという雰囲気でそう返された。


「ま、まさか……冗談に決まってるでしょ?」


 自分の言った言葉に動揺しつつも、巧みに言い返す。


「信じておるぞ」


 そう、オーパ爺に今度は真剣な声音で返された。


「も、勿論だよ」


 そうは言っても100g……いや200gくらい行けるんじゃないか? 何てったって私はコンビニスイーツを買いに出かけて死んだのだ! まさに! 甘味を得る為には手段をえ——げふんげふん、な、何だ急にせたぞ?


 ま、まぁそれは要検討案件だね。街に着いたら考えよう。


 食べ物に関しては一先ず飢えずには済すみそうかな? 後は料理次第って所か。


 んじゃお次は、


「それじゃあ、住む場所の値段はどのくらいなの?」


「そうじゃのう。一番安い宿は一泊銀貨1枚位からかのう。貸部屋だと月に金貨1枚と銀貨5枚辺りが一番安いかのう」


 成程、宿住まいだと月に……金貨3枚、これは金銭的に厳しそうだね。良い貸部屋を探すのが良いのかな? そう考えていた所——


「お前さんはうちに住み込みして貰おうと思っとったんじゃが、何か不都合はあるかのう?」


「…………え!? 良いの!?」


 オーパ爺のまさかの発言に思わず固まってしまっていたよ。


じじいと幼子だけの住まいじゃからな。何かあった時、お前さんが居てくれれば安心じゃ」


 まじで!? それってエンケリンちゃんと一つ屋根の下って事ですよね!? なんて素晴らしいお爺様なのでしょう!


「是非それでお願いします! お世話になります!」


「こちらこそ宜しく頼むのう」


 おっしゃー! 私って早くも勝ち組なんじゃないの? 幼女と同棲だよ? うへへへ……。





「……い! お前さん! おい! 聞こえとるか!」


「うわっ、何!?」


 突然大声で呼ばれると共に、肩を揺さぶられる。


「やっと気付きおったか」


「な、何!? 突然大声で!? エンケリンちゃん起きちゃうじゃん!」


 もう、オーパ爺か……びっくりするじゃん!


「突然じゃと? ずっと呼んでおったのに反応せんからじゃ」


「そ、そうなの? そ、それで何かあったの?」


 ずっと呼んでたの? 全然気付かなかったよ。


「とてもエンケリンには見せられん顔で、聞かせられん笑い声を出しとったから、声を掛けたまでじゃ」


 オーパ爺が何か言ってるし。


「?……いやいや、そんな酷く無いでしょ?」


「…………」


 え? まじで? そんな酷かったの?


「ほんとに?」


「余計なお世話じゃったかのう」


「最大限の感謝を」


 居住まいを正しびしっと決める。


大仰おおぎょうじゃのう」


 オーパ爺が呆れて言った。




「そうだ、街には後どれくらいで着くの?」


「そうじゃのう。後半日位かのう」


 は、半日……。結構掛かるんだね。でも、丁度良いや。特典の確認をしておこう。これは後回しにして良いことは無い。


「それじゃあ私やることが有るから引っ込むね?」


「んむ? ここでか? ……いや、分かった、何かあったら呼ぶでのう」


「了解」


 そしてエンケリンちゃんの寝顔を見る。うへへ、やっぱ可愛い……。一頻ひとしきり堪能したら馬車の荷台に引っ込む私。

 同棲してれば寝顔を見る機会は有るだろうからね。うへへ。今回はここまで。




 荷台の適当な場所で自分に馬車快適魔法を掛けて特典の確認に入る。


 所謂ステータスオープン的なやつだ。


(状態確認。リーベス・クライネス=メーチィシェン。承認。)


 目の前に出現する半透明ディスプレイ。SF等でお馴染みのあれだ。これを最初に見たときは流石に興奮した。


 このステータス画面を開けるのもチートだ。コマンドを正しく実行しないと開けないからだ。

 まずステータスを開くコマンド『状態確認』、次に閲覧対象者の『真名』、そして最後に『承認』コマンドとなる。

 閲覧対象者を『無制限公開』にすると誰にでも見られる状態になる。


 デアによると、偶然でも発動出来るみたいだけど、まだ誰も発動した事はないそうだ。


 さてと、私のステータスは——

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