第15話 同棲確約
「リーベスお姉ちゃん、リーベスお姉ちゃん、起きて、もうすぐ着くよ」
……
夢だったらこんなことしたって良いよね?
私の肩を揺さぶる手を握って引き寄せ、その体をぎゅっと抱き締める。
「ひゃっ! リーベスお姉ちゃん!? うぷっ——」
はぁ~やっぱり良いなぁこの頃の祷は最高だよ~。この腕の中に収まるサイズ感に、この柔らかい体、そしてこの頭皮の臭——う゛……、祷頭洗って無いの? ちょっときついんだけど……? いや、この頃の祷は私が毎日頭洗ってあげてたはず……祷じゃない?
「ぷはっ! ちょっと苦しいよ! リーベスお姉ちゃん!」
そんな声と共にぺしぺしと体を叩かれる。
……リーベス……お姉ちゃん? ……徐々に意識が鮮明になってくる。
「え、エンケリンちゃん!?」
自分が抱きしめていたものの正体に気付く。な、なんて事してんの私!?
「もう、やっと起きたよ。リーベスお姉ちゃん寝ぼけすぎ」
そう言って笑うエンケリンちゃん。
正に天使。もうずっとこのまま抱きしめていたい……ってだめだめ!
折角好意を持たれてるっぽいんだから、ここで暴走して嫌われちゃったら立ち直れないよ! 何とか引き離すんだ!
「ご、ごめんねエンケリンちゃん。痛かったよね?」
そう言って理性を総動員して体を離す。
「ううん。痛くはなかったよ。ちょっと苦しかっただけ」
そう言って笑うエンケリンちゃん。
「そっか、突然ごめんね。嫌だったよね……」
自分で振っといてなんだけど、これで『うん』って言われたら立ち直れないかも……。
「ん? 突然引っ張られてびっくりしたけど、嫌じゃないよ?」
何言ってんの? って顔で答えるエンケリンちゃん。
「そ、そう? な、ならいいんだ。びっくりさせてごめんね」
いいよーって笑顔で答えてくれるエンケリンちゃん。心が広い。
「そういや、何か呼ばれてた気がするんだけど?」
「あっ! そうだった! もうすぐ街に着くよ!」
え!? もう? 確か後半日位って言ってたよね?
「あれ? さっきは後半日位って言ってなかったっけ?」
「リーベスお姉ちゃんずっと寝てたよ! いっぱいお話ししようと思ってたのに!」
そう言って、ちょっと膨れるエンケリンちゃん……可愛い過ぎるでしょ!?
って、いかんいかん。自重せねば……。
え~と、確か転生特典の確認をして、幼女の守護者の発動時の対策としての魔法を考えて、色んな場面に対応出来る様に他にも色々魔法を考えたら疲れたから、ちょっと休憩したんだっけ?
その後の記憶が無いから、そのまま寝ちゃったのかな? そして今に
「ごめんね、エンケリンちゃん。大分寝ちゃってたみたいだね」
「そうだよ!」
エンケリンちゃんはまだご立腹のようだ。ううう、どうすれば……。
「エンケリン、その辺にしといてやらんか。これから一緒に暮らすんじゃから、時間はたっぷり有るじゃろう?」
オーパ爺がそう言ってエンケリンちゃんを宥める。
「えへへ、そうだった! 楽しみだね!」
途端に笑顔になってそう言うエンケリンちゃん。可愛すぎる……。
オーパ爺、もうその話してたんだ。エンケリンちゃんが嬉しそうにしてるって事は、受け入れて貰えたって事で良いんだよね?
「私が一緒に住んでも良いの?」
一瞬でも嫌そうにされたら立ち直れな――
「大歓迎だよ!」
満面の笑顔でそう答えてくれるエンケリンちゃん! ……嬉し過ぎる。
「
そう言って頭を下げる私。
「ふつつかもの? ん~? こちらこそよろしくお願いします!」
そう言って、その小っちゃな手を差し出してくるエンケリンちゃん。
顔を上げる私。
「えへへ」
可愛いエンケリンちゃんがそこにいる。
これはお触りしても良いって事ですよね!? それでは失礼して……。
壊れ物を扱う様に慎重に両手でエンケリンちゃんの小っちゃな手を握る。
「にへへ」
「うへへ」
笑い合うエンケリンちゃんと私。曇り無き笑顔のエンケリンちゃんに対し、私は緊張と興奮で笑顔が引き
それにしても、この握り返してくる手の小ささよ。それにこの感しょ——
「おーい! そろそろ順番が来るぞい」
「あ、はーい! じゃあまた後でね、リーベスお姉ちゃん」
そう言ってさっと定位置に戻ってしまうエンケリンちゃん。
所在無く伸ばされた自分の両手……。
爺……わざとなのか? 狙ってるのか? 前回に続き良いとこで出て来るね?
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