第69話

「なんだその禍々しい剣はっ!」

「あら、随分を持っているじゃない」

「ああ…この日のために作ったとっておきだ…」

「フィーネあれは?」

わざわいの剣よ」

「恐ろしいなにかを感じる剣だ…」

「あら、ラインにもわかるのね」

「フィーネ…あんな禍々しいもの大丈夫なの?」

「ええ、大丈夫よ。あれは恨みを晴らすための剣」

「どういうことですか?」

「自分で自分に呪いをかける剣なのよ」

「え…ザイードさんなんてことを…」

「ナダン、人にはすべてをかけてでもやらなければならないことがあるのよ」

「ですけど!」

「あれは特定の条件を刻むことで圧倒的な力を手に入れることができる剣」

「じょ、条件とは…」

「簡単だ…この剣で俺は嫁と娘の仇をうつ…その代償は俺の命!」

「なっ!?」

「あの剣は条件が厳しいほど深紅に美しく輝く…あそこまで輝くには相当の代償を刻んだ証よ」

「た、達成したらどうなるんですか?」

「さぁ?」

「えっ!?」

「あの剣を使って何かを成し遂げた人を私はしらないもの」

「そんな!」

「ナダン…水を差すな…タチバナバカを見習えよ」

「え!?」

「タチバナ様!血が!!!」

「ぐぬぬぬぬぬぬ!!!!」

「ザイード、アンリ…タチバナ様にも我慢の限度というものがあります」

「ああ、そうだな…んじゃ…斬るぜ」

「くそっ!なんてことだ!!私はこの馬鹿王にのせられただけだ!」

「なに!?お前がうまい話があると余にいったんではないかっ!」

「見苦しいぜ…とりあえず《自由を斬る》」

「がっ!?」

「ぎゃぁぁぁぁぁ!!」


ザイードが宰相と国王を剣で軽く切りつけると斬られた場所は不思議と赤い線になるだけで血などは一切でてませんが二人は尋常ではない痛がり方をしています。


「これは俺がやられてまいっちまった攻撃でよ…こいつは指定したものを切り落とすことができるんだ…今おまえらから手足の動きを奪った…」

「あら、ちゃんと勉強してたのね」

「ちっ!…あれは最悪だったぜ…まぁいい…あれのおかげで俺はお前らをあっさり楽にしてやらなくてもいいってことを学んだからな」

「くっそぉ…」

「次は匂いを斬る」

「ぎゃぁ!!!!」

「熱い!熱いぃぃぃぃぃ!!」

「はっ!傷口が焼けるようだろ?本来斬られて出るはずの血がすべて痛みとなる…血が出続けている間、その痛みは続くぞ」

「なっ!」

「痛いぃぃぃ!!熱いぃぃぃ!!た、たすけてくれぇぇ!余はこの国の国王ぞ!!」

「次は見ることを斬る」

「や、やめっ!ぎゃぁぁぁぁぁぁ!!!」

「やめてくれぇぇ!!いだい゛ぃぃぃぃぃ!!!」


痛みにたえきれずもがこうとするも手足がうごかず体だけがミミズのようにくねくねと動いて気持ち悪いです。


「さぁ…これでいつどこを斬られ何を奪われるか…わからなくなったろ?」

「ひぃぃぃ!も、もうゆるしてくれ!余が悪かった!お前の望むものをやろう!」

「ほぅ、俺が望むのはただ一つだ」

「なにがほしいんだ!?金か?地位か?女か?余がなんでも用意してやる!だからもうやめてくれ!」

「下衆はどこまでいっても下衆ね」

「ああ…俺が欲しいものは…お前らが痛み苦しみ絶望し死ぬことだ」

「なっ!?」

「くっ!なめおって!…」

「フィーネ…こいつらから抜き取るものはあるか?」

「んー…そうねぇ…じゃあ宰相から頂こうかしら」

「ああ、かまわねぇよ」

「やめろ!私に障るな化け物が!」

「私だって脂ぎったハゲ頭にさわりたくはないわ」


タチバナ様に褒められたことが芯にのこっているのかフィーネは気にした様子もなくあっさり宰相の記憶を抜き取ったようでした。


「もういいわ」

「お母様…お父様が…」

「エ、エミリー!余の可愛い姫よ!父をたすけてくれ!」

「お、お父様!」

「エミリー、自分が良いと思うことをしなさい」

「え?…わ、わかりましたお母様…」

「どうした!エミリー!助けてくれ!」

「ザイードさん」

「なんだ?姫様のご要望でもこいつらを生かしてやることはできねぇぞ?」

「それはわかっております…ですが父と宰相にはやってもらわなければならないことがあるんです」

「ああ?なんだよ」

「この国を陥れようとしたことを民に」

「…いいのかよ…下手したら暴動がおきて王家がつぶれちまうぜ?」

「しかたありません…父が国王としてしてしまったことです…このままでは腐った国になり民がただただ悲しみと苦労をするだけですから…」

「はっ!王子と姫さん、あんたら王妃に似てよかったな!その願い聞き入れたぜ!」

「タチバナ様出番です」

「!?はい!テト!ロキは第2王子と第1王女をはこんでくれるかい?」

「にゃぁ」

「ワン!」

「モネちゃんとルイちゃんはレイと一緒に王妃様とエミリー様をお願いします!」

「おまかせください」

「カミューさんとレティーは街の人に声をかけてください!ルフ二人をおねがい!」

「はい!レティーさんいきましょ!」

「はい!」

「ザイードさんとアンリさんはライン様とご一緒してその二人を広場までおねがいします」

「わかった、罪人を護送する荷馬車を用意しよう」

「目立つようなのをたのむぜ?」

「ああ、わかっている」

「あとはアリス、フィーネ、カリン、ナタリー4人は申し訳ないですけど俺と一緒にいてなにかあったら助けてください!」

「ダイスケ私にまかせておきなさい」

「私だってがんばりますよ!」

「タチバナ様、いつでもおそばにおりますのでご安心ください」

「はぁ~…なにを情けないことを…とりあえずまいりましょう」

「うぐっ!お、おねがいします…」


私たちは一足先に広場に行き道中と広場の安全を確認することにしました。


「ホォ」

「ええ、ルフありがとう。

「フィーネが上から監視します、ナタリー周辺は大丈夫ですね?」

「ええ、周辺のを把握したわ」

「カリン」

「大丈夫です」

「タチバナ様準備は整いました」

「はい、やっぱり皆さん凄いですねぇ」

「はぁ~…感心しておらず…しっかりなさってください。民が集まってまいりましたよ」

「はい!」


はぁ~…この緊迫した中、この方と話すと力が抜けてしまいます…。


「ライン王子様だ!」

「お、おい!あの檻にはいってるのって国王様と宰相様じゃねぇか!?」

「マジか!」

「ほんとだ!あの馬鹿王とうとうなんかやらかしたかっ!」


檻のついた馬車の中で両手と腰についた鎖によりつるされた二人が民の視線を集めながら広場へとやってきました…民にまで馬鹿といわれる王もめずらしいことです。


「というわけでこの者たちは国を売り渡し自分たちだけが甘い汁をすうという外道な行いをやろうとし、あろうことか敵国の兵を自由にこの国に入れ街を!国を!戦火の渦に巻き込もうとした!よって私が今!この場で国王となりこの罪人どもに罰をあたえようと思う!この国を愛するわが友たちよ!それを認めてくれるだろうか!」

『おぉーーーー!!!』

「これでこの国もまっとうになるぜ!」

「ああ!あの元馬鹿王は極刑だ!」


しばしの沈黙のあと街が揺れるほどの声があがりライン様が次期国王と民にみとめられたようです。


「では…この者達は次の刑と処す!」

『…………………』

「元国王ライハルト並びに元宰相ダムドは極刑とし第2王子ダイン並びに第1王女ルージュ!両名の母たちも地位剥奪の上、地下監獄へ投獄とする!二人をつけれて行け!」


ライン様の宣言の後、第2王子、第1王女は力なくフィーネの式に連れて行かれました。


「ザイード殿、準備はいいか?」

「ああ…いつでもやってくれ」

「赤剣でやってくれるか?血が出るのは困る」

「ああ、そのつもりだ」

「カミューさん、レティー、モネちゃん、ルイちゃん小さな子たちとかが視ないようにできないかな?」

「わかりました」


タチバナ様の言葉を受け、4人はの指示に従い次々と子をもつ親たちに声をかけて行っておりライン様も少し満足げにタチバナ様と街の様子をみていたようです。


「ではザイード…まずはダムドから」

「ああ」

「ひぃぃぃ!ゆ、ゆるしてくれぇぇぇ!死にたくないぃぃぃぃ!!!か、金なら払う!どうだ!言い値をだすぞ!にがしてくれぇ!」

「どこまでも腐ってんなてめぇ…その金はどうやって手に入れたんだ?あぁ?」

「そ、それは!ギャ!…」

「痛覚以外のすべてを切った…ナターシャターニャ…今こそ…敵を討つぜ?」


一度、天に顔を向け何かに祈るように言葉を紡いだザイードが目にもとまらぬ速さで剣を振るい元宰相ダムドの首を切り落としました…あまりの速さに首が落ちた今も民たちは反応できずにいます。


「つ、次だ」

「ああ…」


我に返ったライン様の指示に頷いたザイードは民から見えぬように元国王ライハルトを数回切り付け今も足に剣を突き刺したままです…すでにライハルトは言葉などをうばわれているのでしょう声はでない、目もみえないのに目を見開き口を開け痛みに耐えきれず声なき悲鳴をあげているようにみえます。


『………………………』


ザイードは見えない様にライハルトの足の指を剣で切り落としていき、ライン様の手を振る合図にライハルトの首を切り落としました…地に転がるライハルトとダムドの表情は痛みと絶望を刻んだままでそれを兵たちが乱雑に箱に入れ、身体も荷馬車に乱雑に放り込んで城へとさっていきました。


「これからこの国は生まれ変わる!誰しもが清く楽しく暮らせる国に!この国に暮らす私の友たちよ!力を貸してくれ!」

『……お、おぉぉぉぉぉぉぉぉぉぉ!!!!新国王様バンザーーーーーーイ!!!!』


ライン様は民たちの声援を受けながらゆっくりと馬にまたがり手を振りながら城へもどられました。


「俺たちも城にいったほうがいいんですか?」

「はい、参りましょう」


タチバナ様はザイードとアンリには声をかけず城へ戻るようです。


「ふぅ~…」

「お疲れ様でした」

「いえ、皆さんもお疲れ様でした」

「でも城はあんな感じのままでいいんですか?」

「あれは新国王の仕事です」

「そうね、私たちの仕事じゃないわ」

「………タチバナ」

「ダイスケ…みんなもありがとう…私はてをくだせなかったけど…仇はとれたわ」

「2~3日ゆっくりして温泉にいきたいですね」

「え?わ、わかりましたそのように手配いたします」

「ありがとうございます、ああザイードさんとアンリさんは欠席で」

「ダイスケ!?」

「二人は里帰りしなきゃいけないので」

「かしこまりました、ナタリー二人に旅の費用を」

「わかったわ」

「お、おいタチバナ」

「その剣…奥さんとお子さんの墓前におきに行ってくださいね」

「!!!!!」

「ダイスケ……ありがとう……」

「てめぇは……俺らがいねぇからってたるんだことやるんじゃねぇぞ?」

「が、がんばります!」

「タチバナ……すまん……恩に着る」

「要りませんって!」


翌朝、ザイードとアンリはザガンドにある妻子のお墓へと旅立っていきました。

あの剣の呪いが達成されたあと…どんなことがおこるのかわかりませんがタチバナ様は奥さんとお子さんが守ってくれると思うんで大丈夫ですよと笑顔をうかべていらっしゃいました…フィーネが何も言わないのでたぶん大丈夫なのかもしれません。








  • Xで共有
  • Facebookで共有
  • はてなブックマークでブックマーク

作者を応援しよう!

ハートをクリックで、簡単に応援の気持ちを伝えられます。(ログインが必要です)

応援したユーザー

新規登録で充実の読書を

マイページ
読書の状況から作品を自動で分類して簡単に管理できる
小説の未読話数がひと目でわかり前回の続きから読める
フォローしたユーザーの活動を追える
通知
小説の更新や作者の新作の情報を受け取れる
閲覧履歴
以前読んだ小説が一覧で見つけやすい
新規ユーザー登録無料

アカウントをお持ちの方はログイン

カクヨムで可能な読書体験をくわしく知る