第64話

「ふぅ~!」

「お疲れ様です」

「ありがとう」

「お体の調子はいかがですか?」

「全然問題ないよ」


ここ1か月こっちの仕事をメインにがんばった!クエストは棟梁の現場と親方の採掘くらいしかしてないなぁ…。


「お疲れ様でした、これでしばらくはこちらの仕事はひと段落となります」

「わかりました、ありがとうございます」


ナタリーさん…この1か月でPCの使い方を覚えちゃって…できたデータを次々と送って相手ともやり取りを全部やってくれるようになったよ…。


「ちょっと出かけてきてもいいですか?」

「はい、お気をつけて」


アリスさんが職場と繋がっているドアをつけてくれたおかげで自由に家と職場を移動できるようになったのは便利だけど…すげぇ技術だなって思う…。


「テトとロキは食べ物がわかるけどルフとレイって何が好きなんだろ…ペットショップにいってきいてみようかなぁ」

「ふぅ~、はぁはぁはぁ…」

「…………」


陸橋をベビーカーと荷物をもって2歳くらいの子を背負ってる女性がいる…手伝いたいけど…変質者あつかいされないかな…。


「きゃ!」

「あぶない!」

「え…」

「だ、大丈夫ですか?」

「ありがとうございます」


足滑らせるとか!間に合ってよかった!!!


「荷物もちますよ」

「え?…あ…」

「?????」

「いえ、すみません、たすかります」

「いえいえ」


ほっ、断られないでよかったよ…。


「ここで大丈夫ですか?」

「はい、ありがとうございました…えっと失礼ですが立花さんでしょうか」

「え?どこかでお会いしましたか?」

「申し遅れました、私Tコーポレーション、システム課部長をしております多田と申します」

「え!?こちらこそいつもおせわになっております」

「ふぇっ」

「あぁ…おこしちゃいましたか!?もうしわけありません」

「いえ」

「クチュン!」

「えっと…寒いのかな?あ、じかんがあるのでしたらあそこの店にいきましょう」

「え?」

「少し温まったほうがいいですよ」

「そ、そうですね」


やべぇ…勢いでつい誘っちまった…しかも昔ながらの喫茶店って…。


「つい誘ってしまってすみません」

「いえ、助かりました」

「大荷物で大変ですね」

「シングルなので…」

「あ、ああ…もうしわけありません」

「いえ」

「でも平日はお子さんどうなさっているんですか?」

「支社にいた時は地元でしたので両親がみてくれていたんですが、こちらに来てからは託児所にあずけてます」

「あ、ああ…大変ですね」

「ええ、家賃も高いのに託児所代も馬鹿にならないので休日はこうやって安いお店に大量に買いに行くんですよ」

「なるほど…」

「立花さんにこのような話をしてしまってもうしわけないです」

「いえ、環境の変化は大きいと本当にきついですからね」

「私も立花さんくらい優秀でしたら独立できたんでしょうけど…」

「いやいや、俺は万年平社員でしたから!」

「それは…実は前の係長たちが立花さんの功績をもみけしていたからなんです」

「えぇ…」

「つい最近発覚しまして…社長が直々に謝罪しなければとおっしゃっておられました」

「そんな、社長に謝っていただくことじゃないですよ」

「一応お伝えします…それまで私が職場に席があればですが」

「どういうことですか?」

「生活が厳しいのでやめて地元に帰ろうかと考えてまして」

「もったいない…せっかく部長になったのに」

「娘もまだまだ手がかかりますので…」


どうしたらいいかなぁ…社長がシングルマザーだけどすごく優秀だっていってたよなぁ…もったいないな…。


「あの、少々電話してもいいですか?」

「え?ええ」

「すみません」


こういう時はアリスさんかナタリーさんに相談してみよう。


「どうなさいましたか?」

「アリスさん、こちらの仕事で人を雇うとかできませんか?」

「…唐突ですね」

「えっと…もし可能だったらこれから職場に連れて行こうかと思ってまして」

「なるほど、なぜお雇いになりたいのかやお雇いになられる際の給与など色々お話をきかねばなりません」

「そうですよね…」

「お近くならお越しください、ナタリーと待ちます」

「ありがとうございます!!」


やっぱアリスさんだぜ!!


「おまたせしてすみません」

「いえ」

「じゃあ、いきましょうか!」

「え?」

「あ、ああ!えっとこれから俺の職場にいきませんか?」

「え?ええ、それはかまいませんけど…」

「もし条件が合えばうちで働いてもらおうと思って!」

「え!?」

「とりあえず行きましょう!詳しい話をしてくれる人がいるんで!」

「わ、わかりました」


これは電車じゃだめだ!タクシーの使いどころだぜ!…お金たりなかったらカードをきらせてもらおう…うん…。


「というわけなんですよ」

「なるほど…」

「ナタリーどうですか?」

「そうね…こちらからの条件としては年20日の有給休暇で20日繰り越しで最大40日、社会保険、給与は今の会社と同額で評価によっては年2回までの昇級というところかしら」

「そ、そんな厚遇ほんとうですか…」

「ええ、他にタチバナ様から条件はございますか?」

「そうですね…うちは営業とかないのでお子さんを連れてきてくれてかまわないのと、ナタリーさんとアリスさんからのノルマを期日までにこなしてくれるなら業務開始時間と終了時間、それと休日も自由でいいですかね?」

「それでしたらお雇いになられる人をお増やしになられなければならなくなると思います」

「そっかぁ…伝手がない…」

「それではしばらくの間、お子様をお連れするのは構いません、業務開始時間は午前9時終業時刻は18時で祝日と土日が休みでどうでしょう」

「こ、こちらはそんな待遇でむかえいれてくださるのなら問題などありませんが…」

「じゃあ、明日社長に会いに行って多田さんのことを打診してみましょう!」

「あ、ありがとうございます」

「3階をフリースペースと改装いたしますので業務中はご自由におつかいください」

「あ、ありがとうございます…私からも社長にはお願いしてみます」

「はい、ではこちらとしてはそちらの都合にあわせいつきていただいてもかまいません」

「タチバナ様、ちなみにこれくらいの条件でよいのならあと5人はお雇いできますので」

「わ、わかりました…」


やっぱ二人はすげぇな!


「ふふふ、ダイスケらしいじゃない」

「まぁそうですね」

「その方は野放しでも大丈夫なのですか?」

「カリン、大丈夫よ」

「フィーネが言うなら大丈夫ですね!」

「ええ、ダイスケはいい人材をもってきたわ」

「そうですか」

「アリス、ナタリー、あの子たちも引き抜いてしまっていいわ」

「本当に大丈夫なんでしょうね」

「ええ、そのシングルマザーがいるなら大丈夫よ」

「そうですか、わかりました…それはこちらで打診いたします」

「ええ」


その後、具体的に誰を引き抜くのかフィーネとカリンを交えきめて上に報告いたしました、これで明日タチバナ様が挨拶に向かった時点で話が決まると思います。


「朝早くからお時間をいただいてありがとうございます…」

「いや、話は聞いているよ」

「え?」

「少々まっててくれるかい?」

「???は、はい」


話をきいてる?アリスさん達からアポとった時にきいたのかな?


「失礼いたします」

「はいってくれ」

「多田さん、あれ?」

「くっくっく!驚いたようだね」

「4人はなぜ?」

「あはははは!君は本当に聞いてなかったようだね!」

「え?え?」

「君の秘書から連絡が来てね、立花君はしらないのでおどろかせてやってくれと言われたんだ」

「そ、そうですか」

「君の会社とうちが業務提携を結んでね、多田君いがいの4人はこちらからそちらに出向してもらうことになったんだよ」

「えぇ!?」

「多田君は来週から一足先に君の会社に転職となるがね、他四人も随時いってもらうからよろしく頼むよ」

「システム課は大丈夫なんですか?」

「ああ、君の会社がサポートに回ってくれるそうだからね」

「そ、そうですか」

「立花社長、これからよろしくお願いいたします」

「よろしくお願いいたします!」


多田さんだけじゃなくて鈴木さんと田中さんそれに受付の中野さんと近江さんまで来てくれるみたいだ…。


「二人とも元は地方の支社にいたんだ近江君は元は経理部にいた逸材だったし中野君は人事部や私の秘書もつとめたことのある逸材だ」

「逆になぜ…そんな方を…」

「私はパワハラをうけてやる気がなくなったので」

「私はセクハラです」

「え゛……」

「それも…私はしらなくてね…情けない…」

「と、とりあえず社長にはこのように尽力していただいて感謝します」

「いやいや、せめてもの罪滅ぼしもかねているんだ、もうきいてるんだろ?」

「え?」

「昇進の話です」

「ああ、気にしてませんよ」

「君の器の大きさには甘えてばかりで申し訳ない」

「あ、頭をあげてください!それよりもこれからもよろしくお願いします!」

「ああ!こちらこそ」


おどろいた!ってか…この会社の美人社員…しかも四天王とまでいわれていた人たちを俺があっさり引き抜いてもいいんだろうか…。


「おかえりなさいませ」

「ただいま戻りました…ってあれ?誰かきているんですか?」

「はい、タチバナ様にお会いしていただきたい方がおります」

「???????」


会社に来客って珍しいってか初めてだなぁ。


「お待たせして申し訳ありませんって、あれ?登坂さん?」

「おはようございます」

「おはようございます、なにか不備でも?」

「ふふふ、いいえ?立花さんが社員を募集しTコーポレーションと提携を結んで人材を派遣していただくとお伺いしまして」

「え!?随分耳がはやいですね!」

「情報は鮮度と正確さが重要ですので」

「はぁ~、登坂さんもすごいですねぇ」

「ふふふ、おほめ頂きありがとうございます、それでですね」

「はい」

「昨日の夜、Tコーポレーション社長、徳永様からお話をきいた当社の会長が差をつけられてはこまると当社もこの度、立花様の会社と業務提携を結びまして」

「え?はぁ~!?ちょ、ちょっとまってください!ナタリーさん!」

「お呼びでしょうか」

「みんなうちと業務提携をっていってるんですが俺って個人事業主っていう名のフリーランスなんじゃないんですか!?」

「先月まではそうです」

「せ、先月?」

「はい、今はオフィスタチバナという株式会社となっております」

「いっ!?いきなり株式ですか!?」

「資金がございますので」

「そ、そうですか…」

「ふふふ、お話をもどしますがそれで本日付で私がこちらに派遣となりましたので今後ともよろしくお願いいたします」

「ふぁ!?」

「当社の社員は多田のみで他5名については各社あつかいとなっております」

「そ、そうなんですね…」

「はい、それに伴い3階は社員のフリースペース、4階を社長室へと変更済みとなっております」

「はやい!」

「ふふふ、恐れ入ります…それで全員がそろいましたら業務の振り分け等をおきめいたしますのでよろしくお願いいたします」

「は、はい…それでお願いします」


すげぇことになった!?どうすんのこれ!?

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