第60話

「涼しい国ですね!」

「はい!そうですね!」

「こちらは基本的に通年通して気温が低く冬は雪がつもります」

「まぁ!私雪はみたことがありません!」

「もうすぐ城にお付になられますご準備を」

「はい!」


旅に出てから1週間と少々、無事にフィルドへ到着しました…ここまでくる間ほぼ毎日監視されていましたが手はだしてきませんでした…おそらくはタチバナ様のお力を感じ取られているのではないでしょうか。


「失礼いたします」

「お義理母様!クレメンスお姉さま!」

「先ほどは公式の場でしたから堅苦しいお話しかできませんでしたので」

「ありがとうございます!タチバナさん!こちらがお義理母様とクレメンスお姉さまです!」

「お、おぉお、お初に!」

「申し訳ございません、このような場になれないものですのでお許しを」

「ふふふ、文に書いていた通りのお方のようね」

「お母様からのですか?」

「ええ」

「タチバナ様、妹をここまでおつれしていただき感謝いたします」

「い゛っ!?ク、クレメンス様!そのようなことをなさらずに!!」

「一つ聞いていいかしら?」

「なんでしょうか」

「あなたの夫、この国の王子はどこにいるの?」

「!!!…そ、それは…」

「もしかしてあなたがフィーネさん?」

「ええ」

「……そう…だったら隠し事をしても意味のない事なのかもしれないわね」

「賢明な判断ね」

「お母様?」

「クレメンス…この方々には正直に話したほうがよいでしょう…」

「よ、よいのですか!?」


なにか重大な秘密があるようですね…。


「聞かせてくれるかしら」

「ええ…実はクレメンスこの子は結婚しておりません」

「んんん!?」

「やはりそうよね」

「フィーネ様はお気づきになられていらっしゃったのですか?」

「ええ、さっき初めて見たときにね」

「な、なぜ…おきづきに?」

「しょうがないから今回はタダでおしえてあげるわ…私には視えるのよ、あなたにはいくつか心のといってもいいものが視えるけど…異性とのものが視えない…それにあなた伴侶がいるというのに未だにじゃない」

「!!!!!!!!」


全員クレメンス様の秘密を暴露されたことに驚いておいでですがタチバナ様だけはフィーネの力に驚くように感心なさっています…。


「フィーネさん…やっぱ…すげぇ…」

「ふふ、そう?ありがとう…それで?なぜこんなことになっているの?」

「かなわないわね…実は…ここフィルドは私の祖母が王妃だった国なのです」

「!!!!!!」

「元々このフィルドというのはいくつもの小さな国が統合してできた他国からくらべれば歴史浅い国なのです」

「ええ、知っているわ」

「2代目国王の王妃が私の祖母、そして現国王は私の兄なのです」

「なぜそれがばれていないのですか?」

「私は身体が弱く、この国の厳しい冬には耐えれないと父と母が判断なさり温暖な国で育てられていたこと…そしてその国で見初められ側室に入ったことを…」

「エミリー様の母、王妃様が逆手に取ったということね?」

「あの国は意外とずさんですから…それに私に関する資料も王妃様がすべて改ざん済みなのです…きっと他国にも情報操作をなさっているとおもいます」

「さすがねぇ…でもそれは第2王子と第1王女からクレメンス様をおまもりするために?」

「はい、それと」

「いざとなった時に国の外からエミリー様やライン様をお助けするため…」

「そうです」

「なるほどね、嘘はないようね。正直に話してくれてうれしいわ」

「あなた方が敵になるほうがよほど怖いですもの」

「ふふふふ」


流石というか…この方もタチバナ様の底が知れないお力を感じ取っているようです。


「あの…エミリーはいつまでこちらに?」

「期間はもうけておられないようです」

「そう!なら久しぶりに二人でゆっくりお話しできるのね!」

「はいっ!私お姉さまにここまでの旅でみてきたことなどお話したいことが沢山あるんです!」

「そう、楽しみだわ」

「この城は今のところ安全のようなので我々は一度荷の整理などをしたいのですが」

「かまいませんよ」

「あ、一つお願いをしてもいいですか?」

「なにかしら」

「俺…えっと私の獣魔をエミリー様にお付けしたいんですが」

「タチバナさんいいんですかっ!?」

「ええ」

「それはかまわないけど…」

「お姉さま!私の可愛いお友達を紹介します!」

「お二人とも…驚かぬよう…ご留意していただければ」

「そ、そんなにすごいの…」

「モネ、ルイつれてきて」


モネとルイが馬車に戻りテト達をつれてきました。


「………………」

「まぁ!可愛らしい!」

「はい!こちらがテトちゃんでロキちゃん、ルフちゃんにレイちゃんです!どの子も賢くて可愛らしいのです!」

「さ、さわっても?」

「ええ、もちろんですよ!」

「モフモフですね!」

「はい!」

「……………………」

「おっしゃりたいことは十二分にご理解いたしております…」

「皆、ここにいる間は二人を守ってね?」

「んーーー!!!可愛いですね!お母様!お庭に!お庭にいってもよろしいかしら!」

「え、ええ…」

「エミリー!いきましょう!」

「はい!」


エミリー様がレイをクレメンス様がテトを抱きかかえ嬉しそうにでていきました…大丈夫でしょうか。


「あの…」

「クトゥール、フェンリル、テレゴノシス、レーキにございます」

「や、やっぱりそうよね…すごい従魔をおつれなのね」

「タチバナ様ゆえ…としか…」

「そ、そう…」

「あの子たちはすごく優しいし賢いのでお二人を守ってくれますよ」

「で、でしょうね…心遣い感謝いたします」

「いえいえ!」


気疲れなさったのかその後は自室にもどられたので我々も準備に取り掛かることにしました。


「なるほどな…どうりで厳戒態勢しいてるとおもったぜ」

「そうね」

「我々も城での滞在をご許可いただき来賓として部屋を用意していただいております」

「俺らもかよ」

「はい、ザイードとナダン、アンリとカミューが同室になりますが」

「え!?嫌よ!臭いがうつったらタチバナに近づけないじゃない!」

「うっ!うぅ…も、もう大丈夫ですから…そのようなことはおっしゃらず…」

「モネとルイはエミリー様についていてね」

「…………かしこまりました」

「仕方ないじゃないアンリは護衛しかできないんですもの」

「二人のお茶やお菓子がないのは寂しいですけど二人が一緒ならエミリー様も安心ですからねぇ」

「タチバナ様……お任せください!」


テトと同じ空間にいることに耐えれず執事とメイドが倒れてしまったのでしかたありません…私とナタリーも手伝うことにしました。


「けどよ?一番の問題をいっていいか?」

「なんでしょう」

「なによザイード」

「テト達もいねぇ、そこの二人もついてねぇでタチバナそいつ大丈夫なのか?」

「…………ザイードさん…子供じゃないんですから」

「抜かりはないわ」

「ええ、そうね」

「はい!」

「どういうことだ?こいつスイッチ入ってねぇときはてんでダメで並みのポンコツじゃねぇぞ?」

「えぇ…」

「理解しております」

「アリスさんまで…」

「具体的には…どんな」

「タチバナ様には個室はないわ」

「え!?じゃあ俺は馬車かなにかで?」

「はぁ~…そのようなことはいたしません…」

「じゃあ…俺はどこで」

「タチバナ様、今回ご用意していただいた部屋なのですが特別な部屋なのです」

「特別?」

「エミリー様と同フロアにあります」

「マジかよ!」

「どういうことですか?」

「馬鹿かてめぇ!王族と同じ扱いだっていってんだよ!」

「いっ!?」

「そうです、そしてタチバナ様のお部屋ですが1つのリビングに4部屋がある部屋なのです」

「なるほどな、じゃあ心配はねぇな」

「はい」

「ど、どういうこと!?」

「タチバナ様と姉さんたちが同じ部屋だってことですよ」

「えぇ!?」

「これならば私やナタリーがエミリー様にお付しなければならない時にはカリンとフィーネがおりますしお一人になることはありません」

「だったら私もそっちがいい!」

「アンリは護衛としてエミリー様におつきするので無理です」

「先輩!」

「論外です」

「うぅ……そんなぁ~」


話も決まりましたので移動します。


「落ち着かない!」

「タチバナ、今のうちにスキルを見せてもらうわよ?」

「え?」

「アリスいいわね?」

「お願いします」


さて…増えているのでしょうか…いえ、何枚ふえているのか…でしょうか。


「!!!!!!!!!!!」

「フィ、フィーネ大丈夫?」

「え、ええ…いうわよ」


震える手でカードをみたフィーネが覚悟を決めたように言い始めました…………。


「ふぅ…覚醒者アウェイクニング…」

「ひっ!」

「カリン!しっかりして!」

「は、はい!」

「!!!…………」


ひ、ひとつめでこれですか…カミューは驚きすぎて気を失ってしまいました…。


「……乗り越える者オーバーカム

「!!!!!!」

「次…タフネスに精神耐性が組み込まれたみたい」

「え…覚醒者に乗り越える者、そして耐久心体ってことですか!?」

「……ええ」

「もう人間じゃないじゃないですかっ!」

「え!?えぇ…」


カリンの叫びにタチバナ様の心が折れそうです、タフネスとは…。


「あとはまた自由な人がでたわ…」

「ということはスキルがランクアップしているってこと?」

「そういうことね」

「…………たった6つしかないスキルなのに…」

「視ておいてよかったわ」

「そ、そうですね…」

「カードにはスキルが記載されていないだけに…驚愕です」

「固有になるからね…しかたないわ…」

「アリス…LVは?」

「…………124です」

「う…うそ…」

「残念ながら…事実です」


普通はLV100でカウンターストップしてしまいます…そしてLV100などやすやすと到達できるものでもございませんが…この方は…。


「そ、そういえばタチバナ」

「はい?」

「あのパンチは完成しているの?」

「ああ、してますよ!けどあれは必殺技のベースになる練習なんでここからですね!」

「アンリ!スキルだけで精いっぱいだったのになんてことをお聞きなさるのよ!」

「話題を変えようと思ったんだけど…」

「と、とりあえずこのことは絶対秘密にして」


フィーネもなんとか口止めをするだけで精いっぱいのようです。

この方はとどまるところがないのかもしれません…………。



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