第59話

「ザ、ザイードさん!これは!」

「俺にもわからねぇがタチバナの力だ」

「う、うそ!こんなに力を出して大丈夫なの!?」

「わからねぇ!あいつらに任せるしかねぇ!今はフィーネからもらったこれで姫を守ることだけ考えろ!」


ぐっすり眠る姫のベッドの周りをいくつもの札がついたロープで囲ってザイードやカミュー、アンリまでもが全力でそのロープに力を注ぎ始めた。


【カルテット オブ ア カインド】


「くぅ!」

「カ、カリン!なまってるんじゃないのっ!?」

「なっ!そんなことはありません!タチバナさんは必ずまもってみせますっ!」

「当然でしょ!」

「フィーネ」

「大丈夫よ!それよりここからよ!……一気におさえこむの!」

「ええ」

「来るわ!いくわよ!」

「「「 !!!! 」」」


着ていた布団もお召し物もすべて吹き飛び自身の体からあふれ出る圧倒的な力で宙にういているタチバナ様の力がどんどん大きくなっていきます…人を殺めてしまい心に影がある状態のこのタイミングは最悪です…心を闇にのまれないでほしい…。


「ぐっ!かはっ!」

「タチバナ様!」

「力に身体が!」

「タチバナ!」

「がはっ!!!!」


ご自身の力に身体が悲鳴をあげはじめてしまいました…また私は守れないのでしょうか…。


「アリス!しっかりしなさいっ!目の前にいるのはタチバナなのよ!」

「!!!!」

「し、死なせません!!!」

「当然でしょ!タチバナ様がいなくなるなんて生きていけないわっ!!!」

「タチバナ!がんばりなさいっ!!」

「ぐぅぅぅぅ!!」


声がとどいていないのかタチバナ様の身体がどんどん闇にのまれていってしまう…またまもれないのでしょうか…。


「タチバナ様…おもどりください…」

「!!!がぁぁぁぁぁぁぁ!!!!!!!!」

「「「きゃっ!!!」」」


祈るようにお声をかけるとタチバナ様の力が一気にはじけてしまいました…。


「み、みんな!だ、大丈夫!?」

「は、はい!」

「私も大丈夫よ!それよりタチバナ様は!」

「………………………」


今……私の目の前には安らかに寝息をたてるタチバナ様の姿が歪んでうつっています…力を浴びすぎたのか…視力がおかしくなっているのかもしれません……。


「アリスあとは任せるわ…カリン目が覚めたら一応調べてあげてね」

「はい…アリスおまかせしますね」

「はぁ~…仕方ないわね…タチバナ様がお目覚めになられたら絶対1番にしらせなさいよ?」

「…………………はい」

「さてと、お風呂にでも入るわ…タチバナが目覚めるまえに綺麗しておきたいわ」

「!わ、わたしもです!!」

「げっ!このままじゃお顔を拝見できないわ!!」


人の悪そうな顔で笑ったフィーネに続いて二人も急いで部屋をでていきました。


「はぁ~…人の苦労も知らずに…お風邪をひいてしまいますよ?」

「んふぅ~…」


フィーネに言われお着替えを用意していますがとりあえず毛布を敷き上からもおかけし優しく頭をなでると幸せそうなお顔をなさっています…私は今度こそ守れたのでしょうか…。


「へ、へっくしょぃ!!さ、さぶっ!!!」

「お目覚めですか?」

「え?ア、アリスさん?おはようございます」

「おはようございます、とりあえずその元気におなりになられているものをお隠しになられては?」

「へ?え゛……きゃぁぁぁぁ!!!!」

「タ、タチバナ様!どうなさいました……か…」


くしゃみをし目がおめざめになりわたしをみるなり驚いて立ち上がりましたが何も着ていませんので生理現象で大きくおなりなったものが目の前で暴れました、悲鳴をきいたモネとルイからみたらしゃがむ私が立ち上がり悲鳴をあげているタチバナ様の大事な部分にナニかをしているようにみえていたようです。


「はぁ~…とりあえずタチバナ様はこちらにお着替えを、モネとルイはフィーネたちに知らせた後、タチバナ様にお食事をおもちしてください」

「か、かしこ……まりました」


両手で抑えてなおはみ出してしまっているものを凝視しながら二人はフィーネ達の元へむかっていきました。


「な、なんで俺裸で!?べ、ベッドとかもないし!」

「お疲れだったのかずっとお眠りになられていて寝相がひどかったご様子です」

「え…じゃ、じゃあずっと裸で?」

「はい、ご安心を私しかごらんになられておりません」

「それも大問題!!!うぅ…恥ずかしくて死にそうだ」

「そんなことより早くおきがえになられなければ全員にみられてしまいますよ?」

「い゛!?」


いそいそと着替えるタチバナ様はいつもどおりで安心します…、あとはフィーネが調べてくれるはずです。


「タチバナさん問題はありませんね!沢山食べて水分もおとりになってくださいね!」

「カリン先生ありがとうございます!」

「タチバナ様、ご出発までまだお時間がございますのでこちらでお食事を」

「おお!モネちゃんルイちゃんもありがとう!」

「にゃぁ~」

「ん?テトたちもお腹減ったの?じゃあ一緒にたべようか」


モネとルイがテト達ともにタチバナ様を別室にお連れしていきました。


「フィーネどうなの?」

「もう問題はないわ、ただどこかで一度またスキルを調べる必要がありそうね」

「タチバナ様から対価をとるようなら許可できないわよ?」

「ナタリーそんなに怒らなくてもタチバナについてはずっとタダでいいのよ」

「なら問題はないわ……それで?」

「それでとは?」

「まさかとは思うけどお眠りになられているタチバナ様に変なことはしていないでしょうね」

「はぁ~…そのような事はしておりません」

「ですが!見たんですよね!」

「なにをでしょうか」

「はぐらかすの!」

「いまさらです」

「へぇ~…担当の立場って色々つかえるのね」

「本来ならばそこまでいたしませんが、私生活が壊滅的なお方ですので」

「ふぅ~ん…まぁいいわ……今日は気分がいいからゆるしてあげる」

「フィーネ安心してもいいんですよね」

「ええ、タチバナは完全にこちらにしたわ」

「や、やったのね…」

「ふっ…ふぐっ…はい…やりましたね……」

「カリンないていたらタチバナが心配するわよ?」

「そ、そうですね!」

「私は上に報告もありますのでその間はナタリー頼めますね?」

「当然でしょ!あなたは担当かもしれないけど私は秘書なんだから!」

「わ、私も主治医としてしっかりおそばにいます!」

「あなたたちがべったりしていると息がつまると思うから息抜きできるように私もそばにいてあげなきゃならないようね」

「まかせます、では私はいきます」

「ええ、合流地点にはちゃんとくるのよ?」

「わかっています」


無事に適合したと報告いたしましょう…。


「タチバナさん!もう体調はよろしいんですか!?」

「はい、もうばっちりです!ご迷惑をおかけしました」

「いえ!お疲れだったご様子なのでしかたありませんよ!」

「ぐっすり眠れましたし食べ過ぎたってくらい食べたんでもう元気いっぱいですよ!」

「ふふふふ、よかったです」

「はぁ~気楽なもんだぜ…」

「ふふふ、そうね!けど久しぶりにタチバナが戻ってきたって感じがするわ!」

「で、ですが…」

「ナダン言わねぇでも皆わかってるよ、姫さんだけだろ気づいてねぇのは」

「でしょうね!ますます強くなっていい男になったわ!」

「おめぇ兄のまえで男狙う目をすんじゃねぇよ」

「ザイードさんアンリさんだけじゃないですよ…ほら」

「はぁ~レティー集中しろよ?あとカミューポンコツ、アリスがいねぇんだちゃんとやれよ?」

「は、はい!」


アリスさんは今日の宿で合流するらしい、急ぎの仕事がはいったみたいだ、恥ずかしいので心落ち着く時間ができて少しうれしいが居ないのは素直に寂しいな。


「とうとう適合者が…」

「はい」

「そこまで到達したのも驚きだが…乗り越える物が現れてくれるとはな」

「…はい」

「今後もしっかりサポートをしてくれ」

「かしこまりました」

「こちらも最大限のサポートを約束する…たのむぞ」

「はい、ありがとうございます」

「安心しろ、引き続き調査をする」

「お願いいたします」

「彼が心配するだろう、もう戻ってやってくれ」

「…はい」


私の報告を聞き上も驚きを隠せないようです…当然でしょう…ここまで到達した人数は2名…あれを乗り越えられたのはタチバナ様だけです。


「そう、上出来ね」

「はい」

「これでギルドもそうそうタチバナ様におかしなことができなくなるわね」

「元ギルド職員がそんなことをいっていいんですか?」

「かまわないわよ、私が恩のあるのはガルドさんだけですもの」

「カリンはいいの?一応、席はギルドなのでしょう?」

「え?いいえ?違いますよ、ギルドが診察場所を貸してくれるというのでお世話になっているだけで無償の代わりに講義をしていただけです」

「あらそうなの?じゃあ向こうの家1つ貸しましょうか?」

「いりません!かえって高くつきます!」

「ふふふ、そんなことないわよタチバナが世話になっているからタダでいいわ」

「え!いいんですか!?」

「ええ」

「で、では今ザイードさん達が住んでいる場所の一角をかしてください」

「ええ、いいわよ」

「じゃあギルドにもう用はありません」

「ド、ドライね」


あまりの変わり身のはやさにさすがのフィーネも驚きを隠せないようです。


「これをこうやって…できました!」

「それはなんですか!?」

「これは竹トンボです」

「タケトンボ?」

「こうやって飛ばすんです!」

「まぁ!…み、みえなくなってしまいましたね」

「あ、あれ…あ、あははは…大丈夫ですよ…もう1つありますのでやってみますか?」

「いいんですか!?」

「もちろんです」


宿に着き窓から飛ばしたタケトンボなるものが彼方へと消えていったあとエミリー様はお部屋で飛ばして遊んでいるようです…。


「い、いや!だから大丈夫だから!ね?」

「浴室でお倒れになられたら大問題ですので!」

「いやいや、カリン先生も大丈夫だって…」

「もしものためです!」

「なにをしているの?」

「ナ、ナタリーさん!カミューさんが!」

「カミュー…タチバナ様になにをしようとしていたの?」

「え?…そ、それはですねぇ…浴室でお倒れになられたら困るかとおもいまして…お詫びも兼ねて私がご一緒しようかと…」

「必要ないわ」

「ですよね!」

ご一緒するのでご安心ください」

「ぜ、全然ご安心じゃないですよぉぉぉぉぉ!!!!」


モネとルイまで参戦し結局わたしがおとめになる事態になりましたが日常がもどりつつあるようです。

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