第48話

「へぇ…それでのネックレスをつけてるというわけね?」

「ええそうですとおっしゃられたので」

「ふぅ~ん…まぁいいわ…それで首尾はどうだったの?」

「上々かとおもわれます、元職場の方々やその他取引先の方々がみていたのは確認済みですので効果はあるとおもいます」

「そう」

「ええ」

「その作戦が上手くいったのならもうネックレスそれつけなくてもいいんじゃないの?」

「買っていただいて翌日すぐに外してしまってはさすがにタチバナ様のお心にトラウマ級の傷をお付けになってしまうかと思っています」

「うっ…そ、それは…そうだけど…」

「それにテトも一応お揃いにしてあります」

「え?あっ!」

「にゃぁ~」

「首輪の留め金がハートに!?」


胸に抱いているテトを優雅に撫でながら淡々と話すアリスに他のメンバーは驚きを隠せないでいた。


「ところで当のタチバナはどこにいるの?」

「本日の夜にご友人の結婚披露宴にご出席し友人代表としてスピーチをなさるそうで」

「すごいですね!」

「それで?」

「なんどもお作りになられたスピーチの文章をお読みになり今から緊張で死にかけております」

「ぶっ!あんなに緊張するのになんで引き受けちゃうかなぁ!」

「タチバナ様ですので」

「心よりご友人をお祝いしたいお優しさからだとおもいます」

「そうね」

「私とモネとルイで会場までお送りするわ、いいわよね?」

「かまいません」

「ええ、問題ないわ」


ナタリーもモネもルイも露骨に私に敵意をむけ警戒しているようです…はぁ~…昨日はやりすぎたのかもしれません。


「ふぅ~…あれ?皆さん集まって何をしてるんですか?」

「タチバナ様はなぜそのように汗をおかきに?」

「ああ、今日のスピーチのことを考えると緊張してしまうんで体を動かして気をまぎれさせてたんですよ」

「そうにございますか」

「はい、それとこれから夕方までちょっと仕事をしておきたいなと思いまして」

「かしこまりました、モネ、ルイ、タチバナ様にとりあえずシャワーを」

「「はい!」」


たった数十分まえには原稿をもって部屋をウロウロなさっていたのにあの汗の量…どのような負荷をおかけになった運動をなさっていたのか…。


「タチバナ!トレーニングするときは次から声をかけてよね!」

「え?アンリさんのところに行ったらいなかったんで…次からは事前に連絡します」

「そうだったの、ごめんなさいね。ええよろしくお願いね」

「ではナタリーあとはよろしくお願いします」

「わかったわ、任せてちょうだい」


カリンの話では同じ冒険者でもタチバナと接触しようとしているメス豚共がいるようでカリンとナタリーに目を光らせておいてもらうことになりました。


「ダイスケ=タチバナです」

「え?は、はい!立花様ですね!ありました…こちらが席表としおりとなっております」

「おそれいります」

「では私たちはこれで、お帰りの際にはお迎えにあがりますので」

「3人ともありがとうございます…帰りは職場まで自分で」

「いえ、必ずお迎えにまいりますので…それでは失礼いたします」


式場まで送ってもらえたけど…ナタリーさんとモネちゃんルイちゃん…目立ちすぎだよ!注目を集めて仕方ねぇ!!!!


「え、えっと…立花君…よね?」

「え?ええ、そうですが…」

「私…同じ大学だった…」

「ん?あっ!もしかして大野さんですか?」

「え、ええ…おぼえてくれてたんですね」

「もちろんですよ、久しぶりですね」

「うん久しぶり…それでさっきの人たちって…」

「え?ああ、一応秘書みたいなことをしてくれている方とメイドさんみたいなことをしてくれている子たちだよ」

「そ、そうなんだ…そんな人たちを雇えるなんてすごいね…」

「俺自体はすごいわけじゃないんだけど…ちょっと色々あってね」

「そ、そうなんだ…今はどんな仕事をしているの?」

「ああ、5か月くらい前に独立して今はフリーのプログラマーみたいなものかな」

「独立したんだ…それで今って」

「あ、会場にはいれるみたいですよ」

「え、ええ…そうみたいね…じゃあ…また今度」

「そうですね!機会があればまた今度みんなであいましょう」


いやぁ、俺なんかのことを覚えてくれている人もいるんだなぁ、まぁ大野さんはまじめだったからな。


「は、はい!…………明夫君は…」


ふひぃ~…な、なんとか噛まずにスピーチできたぜぇ…めっちゃ緊張した!

なんか前に出た瞬間から皆にめっちゃみられたし新婦の中之森さんもなんか驚いた顔してずっと俺をみてたしな…アリスさんに選んでもらったスーツだから似合ってないとは思わないけど…もしかしたらスーツが立派すぎて着こなせてなかったのがバレバレだったのかもしれない。


「あらためておめでとう」

「ありがとうよ、大輔…人前がにがてだったのに悪かったな」

「いや、二人のおめでたい席に呼んでもらったんだこっちこそありがとうな、中之森さ…えっと梓さんもおめでとうございます」

「え?ええ、来てくれてありがとう」

「いやいや、それにしてもこんな可愛い奥さんがもらえて羨ましいよ」

「へっ!先に幸せになっちまってわるいな!」

「かぁ~!ごちそうさま!おっと、他にも人がいるから俺はこれで、明夫ほんとにおめでとう!」

「ああ!サンキュー!!」


幸せそうでよかった!あいつは人当たりもいいし、仕事も評価されてるきっと幸せになれるだろうな!うらやましい!!!


「お前が立花だとはなぁ…見違えちまったな」

「え?そうかな、大して変わってない気がするけど」

「立花君は2次会くるの?」

「ああ、えっと2次会はいかないつもりなんだ」

「ええ!せっかくだから行こうよぉ」

「え?いや、ちょっと仕事が控えてて、すみません」

「えぇ~、じゃあさ!せっかくあったんだから連絡先を交換しようよ!」

「え?ええ…いいですけど…あれ?」

「どうしたの?」

「…………ごめんスマホ忘れたみたいで……」

「え?」

「お前そういうところはかわってねぇんだな」

「いや、スピーチのことで頭がいっぱいで…」


お色直し早く終わって入場してくれ!!


「大輔今日はほんとにありがとな!」

「いや、俺なんかでほんとによかったのかよ」

「ああ!最高のスピーチだった!」

「そっか…そういってもらえてうれしいよ…あ、跡が使えてるからこれで、明夫、梓さんおめでとう!じゃあまた!」

「おう!今度ゆっくりな!」

「…………え?あ、ああ!大輔くんありがとう!」


しあわせそうでなによりだ!友達が幸せそうだとなんか気分がいいな!


「お迎えにまいりました」

「3人できてくれたんですか?」

「はい、タチバナ様つぎの催しものにはご参加なさらないのですか?」

「ええ、俺なんかが行っても浮いちゃいますし、明日はちょっと受けている仕事の仕上げもしたいので」

「そうですか、では参りましょう」


玄関ロビーにいくと人目を集めに集めていたナタリーさんたちが俺を見つけて笑顔で出迎えてくれ視線に耐えきれず急いで車に乗り込んだ。


「いやぁ~大学時代の友人に連絡先を交換しようって言ってもらえたんですけど俺スマホを忘れてたみたいで!よっぽどテンパってたんですねぇ」

「ふふふ、緊張なさっておいででしたから仕方ありませんよ」


ふぅ、なんか今日は疲れたなぁ…シャワーでもあびて今日はもう寝よう…。


「タチバナ様は物に執着なさらない方で助かるわ」

「ナタリーそれはただの無頓着というんです」

「ぶふっ!タチバナだから仕方ないわね!」

「欲が深い人よりずっといいですよ!」

「カリン様のおっしゃる通りだと思います」

「それで?タチバナは?」

「ご入浴されティーを嗜みながら小腹をみたしてお休みになられました」

「あら、パーティーではたべなかったの?」

「おおかたスピーチの前は緊張で、おわったら人にあてられてお食べになれなかったんだと思います」

「あはははは!それしかないわね!物にも食べ物にも色にだって執着しないのね」

「ですが大事になさっておられるようです」

「へぇ…よほど大事にしているのね」

「ご入浴やお休みになられる際、鍵付きのデスクの中にある小型金庫にしまわれておりますので…」

「ふぅ~ん…」

「たぶん近々きっとのアクセサリーも身に着けているはずですけどね!」

「カリン…めずらしくグイグイいくのね」


スマホをタチバナ様のポケットから抜き取っていたナタリーでしたがカリンの思わぬやる気に驚いているようです。


「ふぅ~…あれ?フィーネさん、これ落としましたよ」

「あら、私としたことが悪いわね…きゃ!?」

「うぉ!?」

「ど、どうなさいました!?」

「タチバナ様!」


フィーネさんがトランプを落としたから拾ってあげて手渡した瞬間カードが噴き出した!あれ?これって前にやったやつかな?


「ちょっと二人とも私の心配もしなさいよね」

「申し訳ございません…フィーネ様お怪我はありませんか?」

「ええ大丈夫よ…え?…なんで…2人とも今すぐ皆をよんできて!」


落ちたカードを拾ったフィーネさんが珍しく血相をかえていたし、モネちゃんたちも驚いた顔をした後、走り去っていってしまった…あの二人めっちゃ足速いな…。


「タチバナは?」

「お仕事へ」

「そう」

「フィーネどうしたの?タチバナ様のことでなにかあったの?」

「ええ、あったわ…おどろくほどのことが」

「え?まさかなにがご病気に?」

「わ、私が診察を!」

「落ち着いてください、フィーネ説明を」

「ええ…これをみて」

「フィーネ…まさかこれは?」

「ええ…タチバナの固有スキルを示すものよ、さっき偶然が重なってでてきたの」

「え?前回と同じものなんじゃないんですか?」

「カリン、このカードは一度でた固有スキルはでないのよ」

「え?ということは…」

「レベルがあがって新たな固有スキルに目覚めたというところではないかしら」

「そのようなことがあるんですか?」

「いいえ…はじめてよ…」

「と、とりあえず…どんなものか教えて!」


私も含めてですが…全員かたずをのんでフィーネに注目してしまいます…あの方は常におどろかせてくれます…。


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