第43話

「レティー、この子たちに見覚えはある?」

「い、いえ…そもそもこの国のものではないのではないでしょうか」

「そう」

「カリン目を覚まさせてあげたらどうですか?」

「はい、そうですね」


カリン先生が緑色の怪しい液体を無理やり口に数滴たらすと二人はガクガク震えだした。


「ぎゃぁぁぁ!」

「ぐわぁぁぁぁ!!!」

「なっ!なに!?カリン先生!なにこれ!?」

「気つけ剤を使っただけですから大丈夫ですよ」

「そ、そうなんですか?でも死にそうなほど悶えてますけど…」

「死にはしませんよ、ただ通常なら数百倍に薄めたものの臭いをかがせて起こすのをめんどうだったので原液投与しただけです」

「え゛…」


拘束されている椅子が倒れてもそのまま暴れている二人をみながらなんでみんな平然としてるんだろう…。


「カリンすこしうるさすぎるわ」

「すみません、けどそろそろ薬が効いてくると思いますよ?」

「気つけ剤なんですよね?」

「はい、そうです。ただ用量を守らないと副作用がいくつかでるんですよ」

「え…ど、どんなですか…」

「見てればわかりますよ」


どす黒い笑顔を浮かべるカリン先生に俺はもうなんもいえねぇ…。


「んんん!!あっ!あ゛ぁぁぁぁ…」

「カリン先生!?これどうなったの!?」

「副作用ですよ」

「カリンどんな症状がでるの?」

「人それぞれ微妙に違いますし作用の強さもかわるんですが、とりあえず身体がうずいて仕方ないみたいですけど体に力がはいってませんねぇ…運が悪いですね今回はよく効いてますよ」

「そう、大変ね」

「ちょっとカリン、漏らしちゃったじゃない」

「後始末が大変ですよ?カリン」

「あら、それは申し訳ありません。けどお漏らしだけなんですかね?ふふふふふ」

「…………………」


ヤダ、なにこれ怖い…………………。


「どれくらい効果があるの?」

「体の脱力だけならもうすぐとけるとおもいますよ」

「そう、レティー?みんなにお茶を用意してもらえるかしら」

「え?か、かしこまりました」


言葉にならない声でうめいている二人をよそになんでこの人たちまったり紅茶をたしなめていられるんだろう…ってか俺どうしたらいいんだろう……。


「あ゛ぁぁぁぁ、さ、触らせて!疼きをおさめさせてぇぇぇ!!!」

「やっと話せるようになったわね」

「ええ、そうね」

「ですが情報を聞き出せる状態ではないようですが?」

「こまったわね、紅茶がなくなるまえに収まってくれるといいのだけれど」

「あ゛ぁぁぁぁ……おかしくなるぅぅぅぅ!!!」

「あ、あなた!おねがいします!!私を抱いて!!!」

「え゛……」


鼻水と涎たらして血走った目で泣きながら言われるとトラウマ並みのホラーでしかない……よもや女性からの初めての誘いがこんな怖い形で………。


「…………カリン?効きすぎなんじゃないかしら?」

「ちょっとカリン、タチバナ様が怖がってしまっているじゃない!大丈夫ですよ?タチバナ様、私がおりますからね?」

「え?あ、ありがとうございます…」

「カリンこのゴミを黙らせて必要なことだけ答えるようにはできないのですか?」

「そうですね…タチバナさんに迷惑をかけてしまいましたね……あなたたち?疼きをおさめてほしかったら質問に答えてください」

「な、何でも答えるわ!!!だから!!そこのあなた!おねがいします!!!」

「なんでもいいから!!!」

「ひぃ……」

「わかりました、この方は無理ですが別のイケメンを用意してあげます、あなた方は誰の命令でもぐりこんだんですか?」


こわ!興奮を抑えながら話すっていうか叫ぶ女の人ってこわっ!あとやっぱり宰相さんと向こうの国の王子が手引きしてたのかぁ…なんか偉い人ってのも大変なんだなぁ。


「カリン、もういいわ」

「はい」

「うふぃ」

「んぐっ!がっ!」


フィーネさんに言われてカリン先生がなんか…めっちゃ体に悪そうな液体を無理やり口につっこむと二人とも泡ふいてきをうしなってるんだけど!?


「ナタリー、王妃様に連絡を」

「ええ、部屋も変えてもらうから準備しててね」

「わかりました」


アリスさんもナタリーさんも普通過ぎない!?女性不信になるわ!


「ふぅ~……あらかた来賓もかえってったぜ」

「まだ残っている人たちもいるんですか?」

「ああいるぜ?色々悪だくみしてそうな狸どもがな」

「あんたはまだいいわよ…はぁ~」

「アンリさんどうしたの?」

「かっかっか!こいつ色んな奴に言い寄られて参ってんだよ」

「はぁ!?」

「妾にならないかとかもうウザいのよ!」

「はぁ~…やっぱ美人は美人で大変なんですねぇ」

「え!?そ、そうね!ふふふ、けどまぁ大丈夫よ、私はタチバナのそばから離れる気ないし」

「けっ!」


仲良し兄妹だなぁ…美形だし…。


「ところでタチバナはなんで朝からそんな汗かいてるの?」

「え?トレーニングしてたからですけど?」

「え!?修行してたの?」

「ええ、タチバナ様はこちらにいらしてからも時間をみてはおこなっておりました」

「えぇぇ…私誘われてないよ…」

「習った型の確認とかるく体をうごかす程度ですから」

「はぁ~…次からは声をかけてよね」

「はい」

「そうだアンリに私聞きたいことがあったのよ」

「なに?」

「薄い紙を吊るしてそれを殴るトレーニングになんの意味があるの?」

「え!?そんなの教えていないわよ?」

「そうなの?じゃあタチバナ独自のトレーニングなのかしら?」

「え?ああ、見られてたんですか」

「たまたまね」


ヤバイ…漫画の必殺技をやってみたくてなんてとても言えない…カ〇ハメ波を試しているのを身内にみられたような恥ずかしさだ…。


「タチバナ、どんな意味があるの?」

「いや、突きの練習です」

「意味が解らないわ」

「ヒラヒラしている薄い紙に拳をくっつけてそこから殴って穴をあける練習です」

「え…」

「はぁ!?」


なんでアンリさんが絶句してザイードさんが驚いてるんだろう…。


「おい!タチバナ!おめぇそれができるのか!?」

「うぉ!?い、いえ、まだできませんよ」

「何をそんなに驚いているのよ」

「気づかねぇのかよ!」

「意味が解らないわ」

「ヒラヒラしてあんな軽いものにダメージを0距離からあたえるんだぞ?」

「ええ」

「普通、どんな武器だろうが攻撃してあたっても威力ってのは分散するんだ」

「そうでしょうね」

「こいつがやってるのは分散せず威力を全部つたえる攻撃だ」

「え…」

「そんな効果が…」

「おめぇ…自分でやってる修行のくせになに1番驚いてんだよ…」

「いや…まさかそんな効果があるなんて…」

「効果がどうなるかわからねぇ修行をせっせとやってんのかよ!馬鹿か!」

「そうですが?」

「うぐっ!…アリスさん…あ、で、でもですね?いきなり紙からためしたわけじゃないんですよ?俺だってちゃんと段階ふんでるんですよ!」

「はぁ!?」


あれ?アリスさんの視線にたえきれなくて言い訳したのにさらに視線が痛くなってきた…。


「こ、この際だ…順になにをやったかきかせろ」

「え?た、たいしたことでは…」

「タチバナ様?」

「ひぃ!…わ、わかりました…まずは…使わなくなった敷布団からはじめまして…」

「はぁ!?」

「タチバナ!それ撃ち抜いたの!?」

「え?ええ…次に掛布団から毛布…シーツ…段ボールそこから厚紙を…そしてテッシュをいまやってます」

「ま…マジかよ…」

「すごい事みたいね」

「タチバナの打撃…ガードではもう防げないわ…」

「はぁ!?ほんとうなの!?」

「あ、ああ…考えてみろよ…こいつのフルパワーが拳の面で限りなく100%の威力なんだぞ…防いだってダメージが…」

「うそ…」

「証拠をみせてやるよ…ブロックをもらえるか聞いてみてくれ」


ザイードさんの言葉にナタリーさんが急いでどこかに向かっていった。


「面白そうなことをなさるそうね」

「王妃様!?えぇ…ライン様とエミリー様まで…」

「ダイスケの強さがみれると聞いては来ないわけにはいかないさ」

「ダイスケさん!私楽しみです!!」

「ザイード、このあたりを王妃様よりいただきましたがたりますか?」

「ああ、十分だ。タチバナまずはこのブロックでやってみてくれ」


厚さが30センチくらいある石畳につかうみたいな石のタイル…。


「ふぅ~……やりますよ?…」

「ちょいまて!おい!」

「ふん!!!」

「!!!!!!!!!!!」

「にゃ!?」


やった!痛かったけど撃ち抜けた!これもLVのおかげかもしれない!!


「ど、どうですか?」

「タチバナ様お怪我はありませんね?」

「え?ええ、少し痛かったですけどね!それよりアリスさん!綺麗に抜けたでしょ?」

「ええ…驚くほどに…」

「ふっふっふ!実はびっくりさせようと密かに必殺技を編み出そうとして練習していたんですよ!」

「そ、そうですか…」


ふっふっふ!アリスさんが珍しく驚いた顔をしているぞ!ほんとはテッシュを撃ち抜けるようになってから披露するつもりだったんだけどまぁいい!


「素手でぶち抜く馬鹿がいるか!」

「いたっ!…すみません」

「「「「「「「 ………………… 」」」」」」」


あれ?ザイードさんとアリスさん以外は普通にしてるな……もしかしてもっとすごいの見せないといけないのかな?


「ザイードさん次はどれを」

「ああ、んじゃおめぇのグローブをつけてこの甲冑をやってみてくれ」

「わかりました……ふんぬ!!!」

「!!!!!!!!!!!!!!!!!!!!!」

「やった!実は硬いものはコツがありましてね!それがわかると意外といけるんですよ!」

「そ、そうか…ついでに盾もやってみっか?」

「今日は調子がいいんでやれるかもしれないですね!…………はぁっ!!!!」


おぉ!やった!盾も硬かったけどいける!!


「…………………」

「どうですか?まだ完成した技じゃないんでやっぱ微妙ですかね?」


反応がないのが一番こわい!!


「お…おぉ…い、いいんじゃねぇか?」

「そ、そうね…」


ザイードさんとアンリさんから褒められるのはうれしいな!やっぱ続けていてよかった!


「ザイード、この技をタチバナ様が完成なさったら…」

「くらったら即死の一撃必殺の技になる…」

「そ、そうですか…」

「ああ…考えてもみろ…0距離でこれだぞ…」

「…そうですね」


コソコソとザイードさんとアリスさんが話してる!なんて羨ましい!!


「タチバナは常に私の予想を裏切るわ…」

「え、ええ…よもやここまで成長なさっているとは…」

「あれで完成していないって言ってましたよね!?ね!?」

「タチバナさんとの繋がりをつくってくれたエミリーに今ほど感謝したことはないわ」

「はぁ~ダイスケには我が国の防具が役に立たないんだな…」

「す、すごすぎて…すごいしか言えないです…」


お?みんな驚いてくれたんだな!よし!もっと驚かせてやろう!!


「アリスさん!」

「はい、なんでしょうか」

「いつか完成した必殺技のをみせてあげますからね!」

「え…」

「お、おい…ま、まだあるのか!?」

「秘密です!」


ふっふっふ!漫画も馬鹿にならないな!これはもっとがんばるしかない!

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