第39話
「ザイード、アンリ問題ありませんね?」
「ああ、姫さんの護衛を聞いて俺たちの配備も考慮済みだ」
「まかせて」
「よろしい。ナタリー」
「姫と王妃のご予定、本日到着予定の来賓と護衛の数も把握済みよ」
「エミリー様にはテトちゃんが護衛についてますのでテトちゃんのリュックにいざとなった時の目くらましや解毒剤、止血剤などを入れてあります」
「ナタリー、カリン感謝します」
「一応言うけど本番はパーティー後よ」
「わかっています」
「それでタチバナはあそこでなにをしているの?」
「わかりません」
「タチバナそんなところでなにしてるの?」
「いやいやいや!皆さんこそなんでそんなにくつろげるんですか!?」
「え?どういうことよ」
「見てくださいよ!このフロアもカーペットもソファーも!」
「なにもかわりはないわよ?」
「そうですね」
「皆さんの目は節穴ですか!?クッソ高そうじゃないですか!」
「え?」
「歩いて床に傷がついたとかカーペットが汚れたとかソファーに飲み物をこぼしたとかしたら弁償なんてできませんよ!」
「…ぶふぉ!あははははははは!!!!」
「フィーネさん!笑い事じゃないですよ!俺はフィーネさんみたいなガチセレブレティーじゃないんですから!」
「あはははははははは!!!!」
「おめぇ馬鹿か?向こうから招待されてんだからいいんだよ」
「ザイードさんまで!それに皆さん美男美女で違和感ないですけどね!俺みたいな平凡な一般市民が皆さんみたいに溶け込めるわけがないじゃないですか!」
「ぶっふぉぉぉ!!!あははははは!!!もうだめ!!!死ねる!!!あはははは!!!」
「はぁ~……言い分はわかりましたが大丈夫ですのでとりあえずこちらにお座りください」
「う、うぅぅ…」
部屋の片隅で動かない様にして少しでも安全策をとっていたのにアリスさんが迎えに来て手をとってくると断りきれないぃぃぃぃ。
「あはははは!あなたどれだけチキンなのっ!あはははは!」
「うぐっ!…」
「ずいぶんにぎやかね」
呼吸困難になりそうなほどフィーネさんの笑い声が響き渡る中、にこやかに王妃様が部屋に入ってきて緊張がMAXになったよ!
「というわけなのです」
「…ふ…ふふ…ふふふ…あはははは!タチバナさん!こちらが無理をおねがいしているのに!あははははは!!」
「うっ…」
「ひぃぃぃ…ふふふふ…ごめんなさい…ふふふ…そんなこと言わないからどうぞ…お、おすわりに…あははははは!!!」
アリスさんから俺だけがカチコチで立っている理由を聞いた王妃様は驚いた顔をした後、過呼吸をおこしそうな勢いで笑っていた…庶民の身になってほしい…。
「はぁはぁはぁ…タチバナさんに…ふふふ…殺されそうよ…はぁはぁはぁ」
「気持ちはわかるわ…はぁはぁはぁ」
少しの間、フィーネさんと王妃様の笑い声がひびき、二人は汗をかき呼吸を荒くしながらもなんとか笑いをとめた…何もそんなに笑わなくても…ザイードさんとアンリさんまで下向いて震えてるし…。
「タチバナ様、こちらを」
「うぅ…モネちゃんありがとね…やっぱりモネちゃんの紅茶とルイちゃんのお菓子に癒されるよ…」
結局、緊張しすぎて自室で休むように言われ、話はアリスさん達がきいてあとで俺におしえてくれるみたいだ…部屋に戻るために廊下にでるとモネちゃんとルイちゃんがテトのところから戻ってきて一緒に部屋までついてきてくれた…正直二人がいなきゃ部屋まで来れなかった気がします…。
「私共は常にタチバナ様の味方ですからね」
「うぅ…2人の優しさが心にしみるよ…」
「失礼します!え?タチバナ様どうなさったのですか?」
「にゃぁ~」
「エミリー様、テトぉぉぉ!!!」
ドアが開くと同時にテトがエミリー様の胸から俺の元に飛び込んできてくれた!テトォォォォォ!!!
「いえ、すこし慣れない環境でタチバナ様が少々お疲れになられただけです」
「え!?私のために申し訳ありません!」
「いえいえ…エミリー様の優しさが心にしみます…」
「え!?」
心配げな顔でオロオロするエミリー様にすこし癒される、やっぱいいお姫様なんだなぁ。
「そんなことより俺なんかのところに来てしまっていいんですか?」
「はい!お母様がタチバナさんのお部屋と皆様のお部屋には自由に伺ってもいいと許可してくださいましたから!」
「そ、そうですか…あっ!モネちゃん、ルイちゃんエミリー様にも紅茶とお菓子をだしてもらえるかな?」
「…かしこまりました」
「ありがとうございます!」
「いえいえ!二人の用意してくれる紅茶やお菓子それに料理なんかもすごくおいしいんですよ!是非エミリー様にも味わってほしくて!」
「!!!!…すぐにごよういいたします」
エミリー様はきっと俺なんかじゃ味わったことのない料理とかも沢山食べてると思うけど、二人の用意してくれるものってほんと癒されるから是非味わってほしい!…ってか勝手に二人を自慢したい!
「エミリー様、毒見などは?」
「大丈夫です!それもお母様からご許可いただいてます!」
「そうですか、ではお口に合うかはわかりませんがこちらをどうぞお召し上がりください」
「ありがとうございます!……んー!なんかほっとする味ですごくおいしいです!」
「おお!ですよね!俺もいつも癒されてるんですよ!ありがとうございます!」
「おほめ頂きありがとうございます」
さすがエミリー様、この素晴らしさにきづいてくれるとは!
「ん?」
「にゃぁ~…」
「テト気を付けてね」
「にゃぁ~…」
俺とテトが同時に気配を感じたみたいでテトが俺の膝から飛び降りて気配のほうへこっそりと向かっていった。
「どうなさいましたか?」
「いえ、テトがちょっと外にでたかったみたいです」
「そうですか、風にあたりたかったのかもしれませんね」
「そうですね」
「エミリー様こちらもどうぞ」
「え!?ありがとうございます!」
さすがだ、二人も何かを察知してくれたのかさりげなくエミリー様のそばに行ってくれた。
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「にゃぁ~…」
「なんだ!?ちっ!姫にくっついてた猫か…ん?おまえもしかして…」
「お?なんだやっぱりお前も気づいて来てたのか?」
「にゃぁ」
「!?」
「おっと!逃げんじゃねぇぞ?こっちはまだリハビリ中なんだ…それにもうそいつからは逃げらんねぇよ」
「ちっ!」
「おいおい!いきなりかよ…けど俺にだけ向かってきてお前大丈夫か?」
「!!!」
「グルルルル…」
「ひぃ!」
「はい、隙ありぃ…いっちょあがりだな」
「にゃぁ」
「こいつは俺が預かるぜ?」
「にゃぁ~」
城の屋根、死角になる部分にいた黒ずくめの男にテトが近づくとほぼ同時にやる気なさそうにザイードも現れ、毒蛇の剣とは違う色の同じ形をした剣で男を数回高速で斬りつけると男は麻痺し動けなくなったようでズルズルと首根っこをつかまれてザイードにつれられて行った。
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「にゃぁ~」
「お?おかえり無事で何よりだよ」
「にゃぁ~」
「あれ?そっか流石ザイードさんだね」
「にゃぁ~」
「あの…テトちゃんは何をしてきたんですか?」
「え?散歩ですよ?」
「ああ、そうなんですね!」
「はい、広いですし慣れてないから一応心配してたんですよ」
「そうですね!」
「にゃぁ~…」
満面の笑みでテトを抱きかかえたエミリー様をみると強い人なのかなって思う、だって俺だったら命を狙われているってわかったら部屋から一歩もでないもの!
「やはりそうでしたか……」
「はい」
「そ、そんな…じゃあエミリー様は実のお姉さんに命を狙われているってことなんですか!?」
「正確にいえば、宰相様ですね」
「でもなんで!?」
「エミリーの姉…ルージュは側室の子なのです」
「え?じゃあ、王妃様の娘さんじゃないってことですか?」
「ええ、エミリーには3人の兄姉がいますがそのうち第2王子と第1王女はそれぞれの側室の子なのです」
「へ?で、では…第1王子様とエミリー様がほんとの兄妹で他はそれぞれ母親が違うということですか」
「ええ、ですのでまずはエミリーを亡き者にしいづれ兄のラインを亡き者にするつもりのようです」
「えぇ!?だ、だいじょうぶなんですか?」
「ラインは大丈夫です…自慢ではありませんが…あの子は小さな頃より天才ですから…証拠はなくとも幼少のころから周りの動きは把握しているので」
「す、すげぇ…王子様で天才なんて…スーパーハイスペックじゃないですか…」
「ふふふ、ありがとう。エミリーもラインも私に似ていると言われていて特に側室の二人には目障りなんでしょう」
「え!?王妃様に似てらっしゃるんですか!?」
「え!?ええ」
「なにをそんなところでおどろいているのよ」
「いやいや!フィーネさん!王妃様に似てらっしゃるってことは確実にびっくりするくらいイケメンですよ!エミリー様をみてないんですか!?お人形さんより整ってかわいいじゃないですか!ってことはですよ!?王子様で天才でイケメンなんですよ!?おどろくでしょ!」
「ぶふっ…あ、あなた驚くところが他とちがいするぎるわ…ぶふふ」
「ふふふ、二人をほめてくれてありがとうねタチバナさん…ふふふ…」
「やっかんだりしないだけタチバナ様の人間性だけはほめられるものです」
「うっ!…やっかむなんてしませんよ…そんなの頑張ればその人に勝てるって思っている人だけですって…はなからもう別の生き物なんですから…そんな気にもなりませんって」
「ぶっふぉ!もうだめ!あはははは!タチバナ!じゃああなたどんな生き物なのよ!あはははは!」
「フィーネさんみたいなミステリアスなくっそ美人にはモテない一般人の気持ちなんてわかりませんよ!」
「あーっはっはっはっは!そんな怒鳴りながらほめられたことなんか初めてだわ!あははははは!!!」
「うぐっ!…」
ザイードさんとテトが捕まえてくれた敵からカリン先生が情報をききだしてくれたけど…エミリー様が命を落とす前に俺の精神が死にそうだよ!
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