第22話

「そうですか、わかりました。それでそちらの方のお名前は?」

「え?」

「……………」

「も、申し遅れました…私の名はエミリー=ライオネルと申します」

「ライオネル?…もしやあなたは…」

「はい…」

「これはご無礼をいたしました」

「いえ!」

「すぐにギルドを通し城へご連絡致します」

「お願いします」

「タチバナ様はこちらでエミリー様をお守りください」

「え?は、はい!」

「テトいきましょう」

「にゃ!」


これまでのいきさつを話すとなぜかアリスさんが驚き、めずらしく焦ったようにテトをつれてギルドにいってしまった。


「あ、あの!」

「え!?は、はい!」

「服はないんであれですけどなにか食べませんか?のども乾いたでしょ?」

「え?え、ええ…お心使い感謝します」

「いえ!今日はお菓子と菓子パンを持ってるんですよ!どうぞ!いま水をもってきますから!」

「え?え、ええ……ありがとうございます」


ふっふっふ!俺のすきなメロンパンとせんべいが火を噴くときがきたぜ!


「おまたせしました!」

「いえ……あのこちらは?」

「よくぞきいてくれました!俺の好物メロンパンです!それと子供のころから食べているこっちは動物、こっちはアルファベットの形をしたビスケットです!おいしいですよ!遠慮なくたべてください!」

「あ、ありがとうございます…では……ん!お、おいしい……」

「でしょ!このメロンパンは普通のメロンパンじゃなくてですね!このクッキーのぶぶんとパンとのつなぎ目もサクッとふわっときれいに焼けてるんですよ!」

「そ、そうなのですね」

「はい!さぁ!遠慮しないで!」

「ふふふふ、ありがとうございます」


エミリーさんがやっと笑ってくれた!あんなに怖い思いをしたんだ、せめて少し気が紛れてくれればいいんだけどな…コミュ障だから場がもたない…アリスさん早く帰ってきて…。


「はぁ!?ほんとうか!」

「はい」

「それでその盗賊たちはどうしたんだ!?」

「にゃぁ~♫」

「テトのお腹の中にいるようです」

「……………そ、そうか…」

「にゃぁ~」

「それでさきほどテトにアジトの場所を地図でおしえていただきました、その場所がこちらです」

「わかった!情報提供料はあとでタチバナのカードにふりこむ!恩に着る!」

「わかりました」

「そ、それで今は大丈夫なの?」

「はい、タチバナ様がご一緒なさっておいでですから」

「ちょっとそれ大丈夫なの?」

「大丈夫です、では城からの迎えはにお願い致します」

「ああ、わかった…感謝する」

「いえ」


思ったよりもはやく依頼を達成してきたと思えばさらわれたばかりのこの国の第3王女を救ってきたという……あの方はおどろくことばかりなさいます。


「おまたせいたしました」

「アリスさん!テト!おかえり!」

「にゃぁ~」

「……………なにをなさってるんですか?」

「えっと……おやつタイムです」

「はぁ~…自分だけで食べる以外の物は原則もちこみ禁止なのですが?」

「ええ!?そうだったんですか!すみません!!」

「やってしまったことはしかたありません……それよりもエミリー様、あちらで湯あみをしてこちらにお着替えを」

「え?あ、ありがとうございます!」

「おひとりで大丈夫ですか?」

「はい!」

「おぉ!さすがアリスさん!いつまでも袋をかぶってるわけにはいきませんもんね!」

「購入代金はタチバナ様のカードを使用いたしました」

「え!?い、いや!うん!こういう時はしかたありませんよ!必要経費です!」

「そうですね」

「にゃぁ~♪」

「あ!そうだった!アリスさん」

「なんでしょうか」

「今回はテトが大活躍してくれたんで今回の報酬をつかってテトにお礼がしたいんですけど!」

「かしこまりました、では明日、カリンを交えてテトと出かけてまいります」

「え?俺は…」

「なにか?」

「よ、よろしくお願いいたします」

「はい」


や、やっぱり女の子同士の方がいいもんね!う、うん!…ぐすっ。


「おまたせいたしました」

「お!おぉ~!」

「ど、どうでしょうか」

「よくお似合いになられておりますよ」

「そうですね!まるでお人形さんみたいですよ!」

「え?そ、そうですか?ふふふ、ありがとうございます」

「あちらで私が御髪を整えさせていただきますのでご移動を」

「え?よろしいのですか?」

「もちろんにございます」

「ありがとうございます、宜しくお願い致します」

「にゃぁ~」

「あら、あなたもついてきてくれるの?ふふ、ありがとうございます」


アリスさんとテトがエミリーさんと奥の部屋へといってしまった…しかたない…おやつをかたずけて待つとするか…なんて疎外感!


「エミリー様、だいじょうぶにございますか?」

「え?…」

「お気を使わせもうしわけございません」

「い、いえ…」

「しかしご安心を…賊はすべて成敗しておりますので」

「!!!」

「失礼を承知でお尋ねいたしますが純潔は」

「それは誓って大丈夫です…」

「それでしたら…辱めを与えたものはもうこの世におりませんのでご安心くださいませ」

「にゃっ!」

「まさか…タチバナ様」

「あ、あれは不可抗力ですので!私も気にしておりませんから!!」

「そうですか、ただいなるご慈悲感謝いたします」

「いえ!逆に感謝しておりますから…」

「そうですか」

「ええ」


タチバナ様のことですからきっと思いっきりてんぱったことでしょう、とにかくお咎めがないようでよかったです。


「失礼いたします!」

「爺!」

「姫様!よくぞご無事で!」

「え?ひ、姫様!?」

「ん?そちらは?」

「申し訳ございません、少々常識がたりないお方ゆえおゆるしを」

「え、ええ…アリスさんひどい…」

「ふふふふっ、タチバナさん驚かせてしまって申し訳ございません」

「い、いえ!こちらこそ失礼を!けどお姫様だったんですね…どおりでドレスがすごいにあってるしお人形さんみたいにきれいなはずですよ…」

「ふふふふ、ありがとうございます」

「姫様こちらのお方は?」

「私を救ってくださったタチバナさんとテトちゃんです」

「は、はじめましてタチバナです」

「にゃぁ~」

「ふふふっ」

「そうにございますか!姫様をお救いいただき感謝申し上げます!そ、それよりも姫様様そちらのテト様はもしや…」

「テトはタチバナ様の従魔でクトゥールにございます」

「なっ!なんと!?クトゥールを従魔に!?姫様あぶのうございます!」

「爺!失礼なことをいわないで!テトちゃんはとっても優しいいい子です!」

「にゃぁ~」

「ふふふふふっ、かわいい♡」


エミリー姫様が両手をひろげるとテトが飛び込み抱かれてなおとなしくなでられているのを爺とよばれている爺さんと鎧をきたでかい男たちが驚いて固まっていた。テトは賢いしかわいいから大丈夫なんだけどね!


「はぁ~…とりあえず姫様ご無事でなによりでございました…さぁそろそろ城へ」

「わかりました、タチバナさんこの御恩は忘れません」

「タチバナ様には後日褒美をあたえると国王様がおっしゃられておいででしたので」

「え!?そ、そんなの!」

「いいえ、受け取ってください!」

「そういわれても…あ!そ、そうだ!なら1つお願いをきいてもらえますか?」

「え?私にかなえられることでしたらかまいませんが」

「あれですよ!この洞窟から持ってきた袋の中身!持ち主をみつけて返してあげてもらえませんか!」

「え!?いいんですか!?」

「タチバナ様、盗賊の持ち物は原則、とりかえした者が所有権をもつことになっておりますので返さずともよいのですが?」

「いやいやいや!なんかすごそうなのとかもあったんできっと取られた人は困ってると思いますよ!」

「本当によろしいのですか?」

「はぁ~…タチバナ様が所有権をおもちなので御意向をお聞きくだされば幸いです」

「わかりました…持ち主がわかるものは必ず持ち主にお返しします」

「ありがとうございます!よろしくお願いいたします!」

「はい、それではタチバナさん、アリスさんテトちゃんありがとうございました」


まさかお姫様だったとはなぁ~めっちゃ緊張したぁ


「かなりの額になると思いますがよろしかったのですか?」

「え?もちろんです。他の人が大事にしているものを自分の物にして売ってお金にしてもそれって盗賊と結果がかわりませんから、地道にクエストをこなしてお金ためるほうが性にあってますよ」

「なるほど稀に見る小心者だったのを失念しておりました」

「ふぐっ!」

「無事に依頼も達成しておりますし、本日はこのままお戻りになりゆっくりお休みください」

「はぁ~、そうですね…なんか気疲れもしてしまいましたしそうさせてもらいます」

「夕食の時間になりましたらお知らせいたしますのでご安心を」

「はい、ん?テトは残るのかい?」

「にゃぁ~」

「そっか、じゃあアリスさんテトをおねがいします」


気が抜けてしまって一気につかれたから着替えてそのままベッドにダイブすると一瞬で寝ることが出来た。


「はぁ?タチバナさんってバカなの!?」

「そうですがなにか?」

「あんたフォローなしなのね…」

「まぁその辺にしておけ、あいつらしいことだ…それに俺的にはいい判断だったと思うぜ?」

「どういう意味ですか?」

「まぁ簡単に言えば姫様に好印象をうえつけたってところだ」

「まぁそうですね」

「俺はあとあとそれが役に立つと思うぜ?まぁ勘だけどな」

「また勘ですか…」

「ああ、まあな!」

「たしかにすごい人だとは思うけどマスターまでがそこまでかうほどの逸材なのかしら…」

「さぁ?それはわかりかねますが…それに気づかないところがあなたの限界なのかもしれませんよ?」

「なっ!」

「これは私のですが、ナタリーあなたもそのうちタチバナ様のほんとうのすごさを体験するとおもいます」

「あっはっは!だといいがな!」


ナタリーあなたは気づいていないんですよ…あの方の天性の引きの良さを…早く気付かなければそれはあなたにとって致命傷になるかもしれませんよ?


「うめぇ!最高!」

「そうですか」

「はい!」

「ところでタチバナ様?」

「はい?」

「エミリー姫の裸をみてしまったそうで?」

「うっ!す、すみません…裸で拘束されてたんで…け、けど!そんなまじまじとは見たりしてないですから!すぐに袋をきてもらいましたから!!」

「そうですか、お咎めがなくよかったですね」

「え!?じ、時間差でくるとかはないですよね?ね!」

「………」

「えぇ!!!ないっていってよぉぉぉぉ!!!」


この不思議なお方の担当はしばらく退屈しなさそうです。


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