第17話

「もうすっかり大丈夫ですね」

「カリン先生ありがとうございました!」

「いえいえ、これでタチバナさんとテトちゃんも完治です」

「にゃぁ~」

「カリン感謝します、お礼に快気祝いの夕食をご馳走します」

「え?いいんですか?」

「場所はここなので構いません」

「ありがとうございます、では夕方にまた」

「はい」


土曜日の朝、ここ数日ゆっくりしたおかげで体調もケガもばっちり治った。


「さて、カリン先生にお墨付きももらったしクエストでも…」

「本日はございません」

「え!?」

「そのかわりにギルドにご同行ねがいます」

「わかりました」


テトを抱いたアリスさんの後に続いて異世界に行きギルドに向かった、数日きてないだけで街並みをみるとなんか不思議な感じがした。


「ナタリー、タチバナ様をおつれしました」

「ナタリーさん、ご無沙汰しております」

「タチバナさん!もうお怪我はよくなられたのですか!?」

「はい、さっきカリン先生から完治のお墨付きをいただきました」

「そうですか…よかったです」

「ありがとうございます」


眼鏡なクールビューティーが安堵して笑ってくれるのはすさまじい破壊力だ。


「ナタリー?」

「え、ええ、そうね…タチバナさん少々別室へきていただけますか?」

「はい」


氷のように冷たい目でみるアリスさんに一瞬ビクンと体をふるわせたナタリーさんの後に続いた。


「よくきてくれたな!タチバナ!」

「ガルドさん!ご無沙汰しております」

「けがはもういいのか?」

「はい!もうすっかり良くなりましたよ」

「そうか、よかったな」

「はい」

「タチバナ、今回はすまなかった、ギルドのミスでお前が襲われるようなことになってしまった」

「え?」

「ギルドはその依頼がどのランクの冒険者に適正か、また法に触れるようなことはないかを確認しなきゃいけねぇ…今回は完全にこちらの落ち度だ、申し訳なかった。」

「いやいやいや!俺が弱かっただけなんで!頭をあげてください!」

「すまん」


何度も頭をさげるガルドさんに驚きながらもなんとかやめさせることができた。あんなガチムキなおっさんが勢いよく頭をさげるとそれはそれで圧がひどいことを俺はしった。


「それで、襲ってきた人は?」

「ああ、無事に捕まえた」

「そうですか、よかったです」

「タチバナ様、まだご朝食をお食べになられていません」

「そういえばそうですね」

「ギルドには食事を提供するスペースがございます。医務室に行きカリンを誘っていってみてはいかがでしょうか」

「アリスさんはいいんですか?」

「私は二人と少々お話があるので大丈夫です、テトを連れて行っても大丈夫ですので」

「じゃあ、申し訳ないけど行かせてもらいます」

「はい、ごゆっくり」

「あ!お金が!」

「支払いはあとで行いますのでご安心を」

「ありがとうございます!テトいこう!」

「にゃぁ」

「あれ?行きたくないの?」

「にゃぁ」

「しかたない、なんかおいしそうなものがあったら2人分テイクアウトが頼めるかきいてみるよ」


実は腹が減ってたから助かった!テトは人見知りなのかもしれないなぁ…とりあえずカリン先生がまだ朝食をたべてなきゃいいな!


「それではギルド側の対応をお伺いいたします」

「ああ、まず俺は3か月給料なし、下調べをしていた職員は部署の変更と1か月の出勤停止だ、そして俺の給料はそのままタチバナに迷惑料として支払われる」

「それで 盗賊たちがため込んでいた金品の買取金は誰に支払えばいいのかしら?」

「タチバナ様のカードにご入金をお願い致します」

「いいの?」

「はい、カリンからの承諾も得ております」

「わかったわ…今回は正規より多少だけど金額を多めに買い取ったから」

「いくらだったんですか?」

「148200ガルよ」

「それにSランク評価と盗賊からの護衛で依頼達成料+10000ガルも振り込む」

「わかりました、手続きを終えたら入金確認をさせていただきます」

「わかったわ」

「しかし…思ったより早く回復してくれたな」

「思ったほどの怪我じゃなかったんじゃないの?」

「いえ?当初カリンの見立てでは早くても2か月はかかるといわれました」

「なに!?」

「え!?あのカリンが見立て違いするわけないし……どういうことよ!」

「わかりませんが、驚異的なスピードで回復なさっておりました」

「あいつはまだスキルを取ってねぇはずだ……ま、まさか固有スキルか?」

「わかりません、なにせタチバナ様ですから…ご自身のことをそこまで詳しくは」

「はぁ~…それはお前の育成ミスじゃないのか?」

「いえ、タチバナ様はLVのあがりに知識と技量そして経験が追いついておられませんので」

がなにかをやってLVをあげさせてたんじゃないのか?」

「いえ、依頼だけです」

「まさかそれも固有じゃねぇだろうな……」

「それもわかりません」

「ねぇ、一度タチバナさんをに視てもらったら?」

「…………気がむきません」

「そうも言ってられないでしょ?あんたが担当なんだから」

「機会があれば」

「はぁ~…タチバナさんといい、そのクトゥールといい…意味わからないわ」

「ちなみには?」

「バイトより効率いいって頑張ってる女の子が1人、討伐だけ異様にがんばる中年が1人、あと数名は来たり来なかったりがいいほうで、1度来ただけでもう来ないのが大半よ」

「タチバナ様のような方は?」

「いるわけないじゃない!」

「そうですか」


やはりタチバナ様のようなタイプはいらっしゃらないようですね、ナタリーの話を聞く限り正直に言わせていただければ、タチバナ様は格が違うということなのでしょう…気はまったくむきませんがやはり1度タチバナ様とテトをあの子に見せたほうが良いのかもしれません。


「ふふふ、あなたやっぱり面白いわ」

「え?そうですか?」

「ええ、とっても」

「あまりタチバナ様に近寄らないでください!」

「つれないわねぇカリン、ちょっとくらいいいじゃない、それよりも、あなたタチバナっていうのね」

「はい、そうですけど…あなたは?」

「あら、まだ名乗っていなかったわね。私は」

「こんなところでなにをしているのですか?フィーネ」

「あらアリス久しぶりね、たまたまここの前を通ったら面白い子がいるって

「あの、失礼ですがフィーネさん?はアリスさんとカリン先生のお知り合いなんですか?」

「ええ、古い付き合いなのよ」

「へぇ~ナタリーさんとも親し気だしフィーネさんももしかして仲いいんですか?」

「ええ」

「仲はよいわけではありません」

「そうですよ!」

「あら、酷いいいぐさね…ん?アリス随分と珍しい子を連れているじゃない」

「……こちらはタチバナ様の従魔でテトといいます」

「へぇ~…なおさらあなたに興味が湧いたわ」

「え?俺なんて普通のサラリーマンですけど?」

「サラリーマン?っていうのはよくわからないけどクトゥールを従魔にするなんて、しかもその子ただのクトゥールじゃないわよ?」

「ええ、実はそうなんですよ…テトは普通のよりかなり賢いですし、しっかり者でそうとう可愛いんですよ!もう可愛さだけなら多分ぶっちぎりで留まるところがないんじゃないですかね!?」

「にゃぁ~ん♡」

「え!?猫!?……アリス、カリンもいて、この人にクトゥールのことを教えていないの?」

「…説明はいたしました」

「それでこれなの?」

「…ざ、残念ながら」

「ふ、ふふふっ…あははははは!」

「え?俺なにかしました?」

「ううん!あはははは!あなた最高よっ!気に入ったわ!」


食堂についてメニューを見ていると声をかけられ、まじまじと見つめられたあと、アリスさんも来てなぜかこのフィーネさんに爆笑されている…解せぬ。


「なによ騒がしい…って!げっ!フィーネ!?」

「あらナタリー久しぶりね、私はいま超機嫌がいいから失礼な態度は水に流してあげるわ」

「な、なんであんたがここにいるのよ!」

「タチバナ様の力を感じ取って寄ってきたようです」

「へ?…あんた蚊か何かみたいね」

「失礼ね、でもまぁ、これだけなら仕方ないじゃない?」

「え?それってタチバナさんのこと?」

「当り前じゃない、まぁいいわ!タチバナ行きましょ」

「へ?ど、どこに?」

「私の家に決まってるじゃない」

「え!?で、でも俺これから朝食を…」

「そんなのランチと一緒にしちゃえばいいわ!さぁ!はやく!!」

「タチバナ様、私も同行いたしますので参りましょう」

「え?え、えぇ…アリスさんが言うなら仕方ない…」

「あら、珍しいわね。随分と信頼されているじゃない」

「……………」

「まぁ、いいわ!いきましょ!じゃあねカリン、ナタリー」


アリスさんに促されちゃぁ仕方ない、色々お世話してもらってるしなぁ…ただ…お腹…減ったな…。


「さぁ、タチバナここに座って!」

「フィーネ、その前にタチバナ様に紅茶を」

「え?仕方ないわねぇ……紅茶を3つお願い!それとさらに水を1つね」

「お手伝いさんかなにかいるんですか?」

「え?私はよ?」

「えぇ…じゃあ、誰も持ってきてくれないんじゃ」

「大丈夫です」

「はぁ!?」

「あははは!驚いた?紅茶が来るなんて最高でしょ?」

「え?浮いてはいませんよね?んじゃないですか」

「!!??」

「タチバナ様…まさか視えていらっしゃるのですか?」

「なにがですか?」

「タチバナ、紅茶を運んでいるのが視えるの?」

「え?水色の髪と赤い髪の可愛いメイドさんが」

「!!!!!!!!」

「フィーネ!」

「ま、まさかを視られるなんて…予想以上だわ……」

「どうしたんですか?」


紅茶を運んでいる子たちまで驚いた顔をして俺をみてるけど…せめて紅茶と一緒に運ばれてきたなんかおいしそうな三角のやつをくれないか……。


「と、とりあえず…まずはタチバナ様にそれを、それとこちらもどうぞ」

「おぉ!ありがとうございます!んー!これこれ!!コンビニとかでも買うけどやっぱアリスさんの作ったサンドイッチが一番うまいんですよね!!」

「…そうですか、それはなによりです」

「おぉ!この三角のやつもすごくおいしいですね!」

「…~~~~~…」

「そうなの?これがスコーンってやつかぁ、ありがとう!すごくおいしいよ!テトも食べてごらん?すごくおいしいよ」

「にゃ、にゃぁ~」

「……アリス、タチバナってほんと何者なの?…声まで聞こえてるじゃない……」

「タチバナ様としか答えようがありません」


ぐったりして答えずらそうにアリスさんが目線をそらしていうのをティーカップを持ちながら呆気に取られながら聞いていた。





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