第77話

 ユーファは、歩く。


 ゲリアは、その後をついていった。ユーファは血を流しながら、前に進む。いつ倒れてもおかしくない状況に、ゲリアはハラハラしていた。なのに、ユーファの歩みはよどみない。


「どこにいくの?」


 ゲリアは、ユーファに尋ねる。


 ユーファはそれに答えようとして振り返り、仰向けに倒れた。ゲリアは、そんなユーファに慌てて駆け寄った。


「ちょっと、大丈夫なの!?大怪我してるのに、こんなに歩くのなんて無茶なんだよ。ヒューイちゃんと合流すればよかったのに……」


 ユーファは、ゲリアのそんな文句を聞きながらも浅い呼吸を繰り返す。


 間違いなく、傷が痛んでいるのだろう。


「ねぇ、本当にどうしてよ……」


 ゲリアは不安だった。


 このまま静かにユーファの命が消え去るのではないだろうか、と思った。


「俺は……ヒューイに意味を与えていたのか?」


 人生は無意味だと思っていた、ユーファ。


 だが、ヒューイはそれは違うといった。


 リシャに否定されても揺らがなかった信念が、ヒューイの一言によって揺らいだのだ。


「……ユーファちゃん、それは仕方がないよ。だって、君たち三人は三人とも互いが大好きなんだから」


 それを聞いたユーファは、目を丸くした。


「えっと……仕方がないことなのか?」


 ゲリアは頷く。


「うん、仕方がないことだよ」


 物音がした。


 ゲリアは顔を上げる。


 そこには、シルメとヒューイがいた。ゲリアは驚かなかった。ユーファがいれば、シルメとヒューイが見つけ出すと信じていたからだ。


「ユーファ、大丈夫?」


 シルメはユーファに駆け寄り、ヒューイは彼女に肩を貸した。


 そして、ゆっくりと山道を歩きだす。


 その後ろ姿をゲリアは見ていた。


 三人で力を合わせて歩みを進める姿は、まるで最初からそうであったかのようにぴたりとかみ合っていた。 


 それを見ていたゲリアは「やっぱり、大好きなんじゃないか」と思った。

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最強武人の三人の弟子たち 落花生 @rakkasei

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