第76話

 村に戻ってきていたシルメは、そのままヒューイとゲリアの帰りを待った。彼らが、ユーファを連れてくることを願っていたのだ。


 だが、帰ってきたのはヒューイだけだった。セリアも共に帰ってきたが、それは予想の範疇であった。


「ヒューイ、ユーファとゲリアはどうしたの?」


 シルメは、ヒューイに尋ねる。


 ヒューイは、複雑な顔をした。そして、ゆっくりと城で見たことを話し始めた。


ユーファが腕を失ったこと。


その腕をリシャが食べて不死身になろうとしたこと。


リシャが自傷をして、大怪我をしたこと。


ヒューイが怪我をしたリシャを治療することを優先し、その間にゲリアとユーファが姿を消していたこと。


「大怪我をしていたから、遠くにはいけないと思ったのですが……見失ってしまいました」


 その話を聞いていたシルメは、ため息をついた。


 ヒューイには、なんとなくシルメはユーファの行動が分かっているように思えた。


「ユーファは、何か言っていましたか?」


 そう言われて、ヒューイは少し言いよどんだ。


「ユーファ君は、人生は無意味だと言っていました……」


 その言葉を聞いたシルメは「そうか」と呟いた。


「君は、どう思う?」


 シルメは、ヒューイに尋ねる。


「私は、人生には意味があると答えました」


 ヒューイは師を殺した。


 それを許された。


 そこには意味があると信じたい。


 そして、シルメやユーファと出会ったことも意味があると信じたい。


「……シルメ君は、どう思いますか?」


 ヒューイは、年上のシルメに尋ねた。


 シルメは、穏やかに答える。


「そうだね。俺は、どちらでもいいと思っているよ。意味があっても、意味がなくても、ユーファとヒューイが幸せであるならばどちらでもいいと思うよ」


 それは、とてもシルメらしい答えであった。


 その答えにヒューイは納得しながらも、どこか腑に落ちないものも感じた。


「さて、ヒューイ。これからどうする?」


 シルメは、尋ねる。


 ヒューイは、頷く。


「もちろん、ヒューイ君を追います。私たちは、三人でいるべきなのですから」


  • Xで共有
  • Facebookで共有
  • はてなブックマークでブックマーク

作者を応援しよう!

ハートをクリックで、簡単に応援の気持ちを伝えられます。(ログインが必要です)

応援したユーザー

応援すると応援コメントも書けます

新規登録で充実の読書を

マイページ
読書の状況から作品を自動で分類して簡単に管理できる
小説の未読話数がひと目でわかり前回の続きから読める
フォローしたユーザーの活動を追える
通知
小説の更新や作者の新作の情報を受け取れる
閲覧履歴
以前読んだ小説が一覧で見つけやすい
新規ユーザー登録無料

アカウントをお持ちの方はログイン

カクヨムで可能な読書体験をくわしく知る