第47話

 ユーファの手は、リシャに掴まれていた。


 それによって、逃げることができなくなっていた。


「君は、僕の味方になる。そうなるように、生まれてきたんだ」


 ユーファは、違うと否定して逃げ出したかった。だが、リシャが手首を握る力が強すぎて逃げることができなかった。


「あなたは不死になれない。魔力が足りないからよ」


 ユーファは、リシャを拒絶する。


「足りない魔力は、補充できる」


 リシャは、そう言った。


「どうやって補充するの?」


 ユーファは、尋ねる。


 魔力は、生まれついてのものだ。他人に受け渡すことはできない。少なくともユーファやリゼリザはできない。


「魔力は魔法使いを食べることで、それを受け継ぐことができるんだよ」


 ユーファは、背筋に寒いものを感じた。


 リシャは、相変わらず微笑み続けている。


「あなたは、魔法使いになった私を食べるの?」


 逃げたい、とユーファは思った。


 リシャは、ユーファに囁いた。


「そうだよ。君は、不死になるための僕の食事だ」


 ユーファは、悲鳴を上げた。


 その悲鳴を聞きつけたのは、リゼリザの元を訪ねてきたギザだった。ギザはユーファの悲鳴を聞くと、すぐに彼女の元に駆け付けた。ギザは、リシャが掴んでいたユーファの腕を放させた。


「ユーファ、大丈夫か?」


 力強いギザは、ユーファを腕の中にかくまう。


 ユーファは、震えていた。


 リシャは、降参とばかりに両手を上げた。


「なにもやっていないよ。なにもね。なにせ、彼女は僕の将来の食料だからね」


 ユーファは、その言葉に震える。


「その計画は、中止されたはずだ」


 リザは、リシャを睨みつける。


「魔法使いの肉を食べたからと言って、魔力の継承は行われない。それは、ただの伝承だ」


「でも、誰も実験したことがない伝承だ」


 ギザは、リシャをぎゅっと抱きしめる。


「たとえ本当だとしても、ユーファには指一本触れさせない。こいつは、すでにリゼリザの保護下にある。王の信頼も厚いリゼリザならば、ユーファを守れる。現王も、お前には王位を継がせないはずだ。いつかお前は、幽閉される」


 ユーファは、その時に初めて自分がリゼリザの養女となった本当の意味を知った。彼らは、最初からユーファを守るために行動していたのだ。


「あきらめないよ。僕は、いつか彼女を喰らう」


 リシャはそう言って、去っていた。


 ユーファは、ギザの胸の中で思った。


 自分は思った以上に、色々なものに守られていたのだと。


「私……一人前になったら、守る側になりたい。奪うものではなくて」


 ユーファは、そう呟いた。


「そうか……お前は、俺たちの跡を継いでくれるのか」


 ギザは、どこか不安そうにそう呟いた。


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