第44話

 自身の生まれを知ったユーファは、一つ疑問に思った。


 なぜ、自分を殺さないのかという疑問だ。


 兄妹の間に生まれた禁忌の子ならば、閉じ込めるのではなくて殺してしまったほうがいい。そうしたほうが、証拠がなくなる。だが、ユーファは生かされている。


 それは、何故なのか。


 ギザは、にやりと笑った。


「それは、魔法使いの才能を持った子供が少ないからだ。お前は、もしもの時のために飼い殺しにされているんだよ」


 閉じ込めるほどに嫌っているのに、有効かもしれないので殺さない。


 その矛盾に、ユーファは首をかしげる。


 会ったことはないがユーファの両親はかなり複雑な思いをもって、自分を幽閉していたらしい。


「私は、不死なの?」


 死んだことはない。


 おかげで、自分が不死なのかどうかは分からない。


「不死じゃない」


 ギザは、そう言った。


「不死になるには魔力が致命的に足りない。いくら血を濃くしても、魔力は不死になれるだけの魔力に届かないことが分かった」


 兄妹の両親を持つ子供は、ユーファの他にもう一人いるという。だが、その子供はそもそも魔力を持たなかったという話だとギザは語った。


「魔力は血によって決まるんでしょう。なら、その子は強い魔力を持っているはずなんじゃないの?」


 ユーファの言葉に、ギザは言葉に詰まる。


「……その、どうしてその子供が魔力を失ったかは分かってない。お前は、平均より高い魔力を持っているのにな」


 ギザは、本気で分かっていないようだった。


 ユーファは、魔力を持っていないという自分と同じ生まれの子のことを思った。その子も、自分のように閉じ込められているのだろうか。


「その子は、どんな生活をしているの?」


 尋ねたユーファの頭をギザがなでた。


「お前と違って、拘束されずに成長しているよ。身分はあっちのほうが高いからな」


 そのことに、ユーファは少し安心した。


「その子の名前は?」


 ユーファは、尋ねた。


 ギザは、困ったような顔をした。


「言えない。高貴な方なんだ」


 ユーファは、その高貴な人間が何を差すのか分からなかった。


 ギザに教えてもらおうとしたが、彼は本当に困ったような顔をしていた。そんな人間に、ユーファはものを強請れなかった。


「だから、お前も自由になるべきだ。俺たち世代の忌まわしい遺産になんてならずにな」


 ギザはそういうが、ユーファは頷けない。


 ユーファは、今の生活に満足している。


 外なんていらない。


「私は、ずっとここにいる」


 ユーファは、そう答えた。


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