第17話 自分の生まれた理由と家との関係

分娩室から、元気な赤ちゃんの誕生の泣き声が聞こえてくる。


「おんぎゃ、おんぎゃ、、、、」


「おめでとうございます!元気な男の子ですよ!」


どんな人間だって、母親のお腹に宿り、10月10日だったか、この世に生まれるのを、誰もが楽しみにしているもんだ。人間ならば、両親は勿論、祖父母や親戚、友人等。


こちら側でも、無事にこの世に誕生できるように母親のお腹に宿るところから、いや、もっと言うなら、一緒に降りるんだ。それからずっと、この世に別れを告げるまで、守ったり、導いたり、時には厳しい現実を突きつけたり。俺達、守護する者がそばにつく。



ひかり「ねぇ、シヴァ様、私が生まれた理由ってあるの?やっぱり、修行とか、カルマとか?私が生まれる時ってすっごく大変だったって、母さんによく言われてね、それで、五体満足で、感謝しなさい。って言われるんだよ。」


シヴァ「そうなんだよ!すっげー大変でさ、俺たち守る側もそうだけど、ひかりの母さんもひかりもよく頑張ばったぞ!」


お不動様「ひかり。。不動だ。」


お不動様が初めてひかりと話をする。


ひかり「え?お不動様?私にはお不動様もいてくださってるの?」


俺は、頷き微笑む。


お不動様「ひかり、人は皆独りではない。視えない所にはこのひかりの生まれた家の御先祖様、そして、母親の方の御先祖様もおられる。」


ひかり「御先祖様はわかるよ。生まれた家は。だけど、ここは、母さんの生まれた家じゃなくても、母さんの方の御先祖様は居てくれるの?」


お不動様「勿論じゃ、ひかりは父親だけの力で生まれたわけではなかろう。必ず母親が居なくてはひかりは、人は生まれられぬ。だから、主となり動いてくれるのは、ひかりが名乗る名字の家の御先祖様じゃ、そして、補佐的に助けてくれるのが、母親の方の家の御先祖様なんじゃよ。」


ひかり「そうなの?じゃぁ、仲良しなの?御先祖様同士。」


お不動様「人にもよるが、一般的には父と母が出逢い愛を育みそして、結婚となれば、必ず御先祖様は動かれる。双方の御先祖様がお話合いをされ手を繋ぎ、それが、現実にも、結婚と言う形で、進んでいく。しかし、中には双方が反発しあい、結婚に至らぬことも。ただ、そこに、その家にどうしても、役目あり、子を誕生させる為に、結ぶ事も意外に多いんじゃよ。」


ひかり「ちょっと待って下さい、子供を誕生させるなら、別の女性ではだめなの?」


シヴァ「縁っていうのがあるんだ。」

ひかり「縁?」ひかりは、きょとんとした表情で俺を見る。


シヴァ「子供となり、その家に誕生するには、母親との魂の縁や、父親、祖父母等何らかの縁がないと、全く縁の無いところには、御霊を降ろせないんだ。ただ、稀にあるちゃ、あるが。」


ひかり「じゃぁ、私も魂で、母さんや父さんとも?」


お不動様「そうじゃよ。お前をどうしても、この家に誕生させねはならなかったからな。その為には母親は彼女でなければならないのだ。」


ひかり「私がどうしてもこの家に誕生しなければならないって?そんなんあるの?私ならもっとお金持ちなお家が良かったとか、よく、思ったよ。なんで?この家にきたんだろう?って考えた事あるけどさ、わかんないし。」


お不動様「ひかりもそうだが、大半は、家系を綺麗にする為だ。つまり、御先祖様を元の身仏様にお返しする事。」


ひかりは意味がよくわからないようで、もう少しわかり易くと言う。


お不動様「つまりは、御先祖様でも、様々な方々がおり、きちんとこの世を全うされ身仏様の所へ還る者。嫌がり、我々が還るように促しても帰ろうとせぬ者。また、何かの事情により、恨みを遺し留まる者。いろいろなんじゃよ。その方々を一人でも救うべく、我々がこちら側から働きかけ、また、子孫と言う立場にて、生きている者が供養をする事で、その留まりし者を導き還す。その為にはその、家系を救うべく子孫である役目を背負う子を誕生させねはならない。また、これは、余談だが、虐待をしてしまう親に、また、その流れがある家系にはその流れを止める為に生まれる魂もいるのだよ。だから、皆、自分の生まれた家がどんな家かは祖父母から、出来事や、特徴を教えてもらうがよかろう。」


ひかり「なせ?祖父母なの?」


シヴァ「年代的に生きておられ、家系について、割と知っている方々が多い事、そして、御先祖様や神仏に対して一番信心があるとされているからな。それに、若き者はどうしても、おろそかになりがちだ、また、文明が栄えている今の時代だからな、尚の事、そういった事から離れがちだからな。」


ひかり「確かに。。。」


シヴァ「お墓参り行けない人が多いだろ、核家族ばかりだしな、たまに行けても、再々は行けない。だけど、御先祖様はいつも側にいる。じゃ、どうやって供養すりゃいいんだ?ってな。」


お不動様「偉いお寺などてよく供養をされたりするが、一番は子孫の心じゃよ。お家にお線香、お仏壇なくとも、前に故人の写真や紙に「〇〇家先祖代々」など、書いて置きその前にお線香を少しずつさせてもらうだけでも届くものじゃよ。もっと言えば何もなくても、心でいつも感謝しておれば、届くと言うものじゃよ。」


シヴァ「一番まずいのが、自分一人で生まれた気でいる事や、存在を無にしてしまう、粗末にすると、叱られ、人間からは、災いとされるような試練を与えられたりするもんだ。」


ひかり「そうなのね。。。ご霊界って奥深いわ。。。最後に、聞きたいの。わたしの身近なおばあちゃんがちゃんとした所へいけているのかな?みんなだって、誰か身近な人を亡くせばちゃんと還れたかなってきっと考えるだろうから。」


お不動様「大丈夫じゃよ。いつも、こちらで頑張っていると伝え、心配させないように。生きている者もこちらに還る者も各々自分の道を歩かねばな。前には進めぬゆえ。」


ひかりは、かなり納得したのか、そして、かなり学びになったのか、早速出掛けようとしていた。


シヴァ「ひかり、どこ行くんだ?」


ひかり「100均でお線香とロウソク買ってくる。」


シヴァ「おい、おい、早速か?じゃ、俺も一緒に!」


ひかり「お不動様、100均のお線香でもいいんでしょ、私、お給料日前でお金ないの。」


お不動様は笑いながら、「勿論じゃよ。大切なのは、心じゃからな。」


お不動様(やれやれ、、、ひかりらしいわい。。。)


ひかりの部屋に座り、御先祖様とお茶を頂くお不動様達なのだった。。。



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