む-しち セミ、腐れ

 十二年越しに世界を見ようとした

 みませんよそんなもの

 体に根を張るなにか、二億ほど引き連れ、ひきつけ、ブクブク。

 十二年越しに土を剥ぎ取ろうと

 させませんよそんなこと

 じくじくと腐る大地、四億ほど消え去り、溶け出て、どろり。

 十二年越しにミノウの世界が崩れ

 だめでしたかそれはそう

 箕鵜ミノウとは鳥の名前、八億ほど腐らせ、大地は砕け、ごつりごつりと、キチン質。

 十二年越しだからメノウ冷えて集う

 あきらめますかそれもそう

 メノウとはセミの涯、腐れの後の十二億、その身はアゲート、がりがり。

 十二億後だからセミ腐れて十二年

 追いつき十二涯は十二で終いです

 セミはアゲート。大地枯れ果てメノウ。よろりよろりと、断崖の。


――消えちまったんでじゃけえセミなんて初めっからないように夏もいないんやろ。投げといてうっちゃってそのまんまもう知らんけえ。なんてね。


――でもそうかもしれない続きは十二億の朝が人を駆逐した後にあられるセミをあらゆる形で見られないんだってそれは寂しいけれどエネルギーはいつかそうなるから首ったけなあの子もサラダボウルの中に隠れてそれはぼくの血潮で糊で地面に広がり終わりを尊いとこわいと切れた後の瑪瑙なんて見ませんよそんなもの。


――やから、アゲートじゃけ。これ見て見ぃや、笑っとぉもん。はよせな。早よせな。ほいじゃけ、いまやっとうもん投げといて、なにやっとん、なにやっとん、ほれ。来るでえ、サラダボウル投げい。


 投げれば瑪瑙

 溢れればセミ

 現世の空蝉。


 それは、潮花

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