にーよん 依存
ミミズを観察していた時のはなし。
提灯さげて夜な夜な地面を掘り返していた。
油で彼らを追いやって外で集めて、嫌な汗をかく。
ミミズは割けて観察される。
その内蘇るぞ、だからこの円は閉じている。
宇宙は平面で、閉じていないのに、ここではすべてが閉じてしまっていると考えられた。
ミミズの観察とレトロ趣味とが合わさってこの夜を描いたという。
しかしその中では社会の中で消えてしまったものが省みられることはない。
記号化され、生産され、消費され、消尽されていくから、このミミズは土と同じだ。
ミミズがフライパンの上でじゅうと音を立てて油をはね散らかす。
すぐに火が通るからと急いで頬張ってみればじゃりと口の中は土に負ける。
けれども飲み込まないと、すぐに割かれた場所は理により完全な円に至る。
ミミズは誰もが哀れで、アスファルトの上で縮こまる命という。
その内それは間違っているように思えて、毎年繰り返される彼らの死と生は繋がらない。
人知れず分解され、この大きな消尽の絶壁を続けている。
ミミズは観察の後には誰も気に留めない。
美しいだなんて誰も言わないから、割かれもせずその理を続けている。
だから小さく祈りを込めて提灯の炎と油で呼び寄せる。
わたしの為に尽くされてください。
と。
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