VSリファーナム
リファーナムと呼ばれる生き物は蔓のような触手を伸ばし、アリシアに向けて放つ。
アリシアは蔓を切断しながら、肉迫し、リファーナムの胸辺りを切り裂いた。
だが……次の瞬間にはリファーナムの傷は治っており、治った箇所から再び、蔓による攻撃を仕掛ける。
「再生妨害も……回復妨害も効かない……」
こう言った瞬間的な傷の治癒には大体、魔術的な能力が関わっている。
体の基礎代謝とかを上げて無理矢理回復させると言う手もある事にはあるが、その場合、テロメアをかなり消費するので寿命を縮めるデメリットもある。
と言うより遺伝子的な処理で行うのでX線とかを当てるだけで簡単にその類の回復手段を潰せるのでそう言った回復手段は高位の存在ほど選ばない傾向があるが……このリファーナムは魔術的な回復ではなく肉体的な自然治癒に依存しているようだ。
なら、X線を当てるとどうなるのか……と考えたところで今にも逃げようとしている紅蓮の女王が恍惚な笑みを浮かべるように笑った。
「無駄だ。そいつはある世界で地球の自然崇拝的な概念が具現化した世界で生まれた概念生物だ。わたしが少し改良を加えたが元々、生物的な反面、生物ではない。X線は無意味だぞ」
ごく稀にだが、創造神サタンとの決戦後、RA値が変動した事で世界法則が僅かに歪んだ。
その結果、地球の内核内の電子の動きが脳のニューロン回路のように形成させ、地球には自我が芽生えたと言う報告を受けていた。
それが本当にごく稀に”概念魔術”を使うと言う報告もあった。
その地球はまるで自分の体を守るように人間に対して攻撃を仕掛けたのだろう。
それもそうだ。
地球と言う生態系を至上的に優先するなら、地球にとって人類は必要ないのだ。
そもそも、地球の本質とは”人類にとっての監獄、収容所”のようなモノであり、囚人が生活する事を前提として動物等を人間が支配する権利を神から与えられていた。
動物の魂も人間とは違い、3次元で造られ、死ねば人間とは違い、消滅する。
そのように設計されていた。
だが、2020年を節目に徐々に歪み始め、創造神サタンの事件を皮切りにそれが結実した。
元々、地球の役目とは2020年で終わるようにプログラムされていた。
本来はそれで終わるはずだったが、それが延長され、様々な事件により緊急プログラム的なモノが作動とRA値の変動で色々奇跡的に狂った結果、セットされたプログラムと地球の意志が複合する事で地球の自我覚醒に一役買った。
恐らく、その根底にあるのは「家賃滞納者である人類を追い出せ」的な思考だろう。
人間に地球に住む権利が与えられたのは2020年までに”悔い改めて”滅びを迎える時までだ。
それが人類が”悔い改めない””期限が過ぎた”と言うプログラムが判断し自我を持った地球の行動原理と言う形で顕現し、それが”概念魔術”を行使して人間を攻撃しているのであろうと想像できる。
あのリファーナムもそんな地球が生み出した概念生命体なのだろう。
だが……アリシアが知る概念生命体よりは紅蓮の女王寄りの力を有しており、恐らく、本来の概念生命体よりも遥かに高位の存在と思われる。
「まぁ……精々、励む事だ。お前のゴールに期待しているよ」
そのように言って、紅蓮の女王は完全に開いたワームホールの中に入ろうとした。
「逃がすか!」
アリシアは”魂の空間収納”からG3SG-7バトルライフルを取り出し、“BBA弾”と言う通常弾頭を装填、発射した。
BBA弾はアストロニウムを弾頭とし、小規模ビッグバンを火薬とした弾頭だ。
高い貫通性があり、並みの機動兵器の装甲なら易々と貫通する事ができる。
アリシアの予想通り、リファーナムは紅蓮の女王を守る為に射線に入った。
だが、それは織り込み済み。
リファーナムの肢体ごと貫通させ、紅蓮の女王を仕留めるつもりで放ったのだ。
アリシアは引き金を引いた。
だが、弾丸は直進すればするほど、緩やかな動きとなり、失速し宇宙空間に漂う。
「無限位相空間か……」
WN量に比例してA地点とB地点との間に無数の空間を形成し、理論上の”無限の距離”を産み出す事で実質、射撃武器を無力化する事が期待される”神時空術”から派生した神術”無限回廊”だ。
純粋の光のレーザー以外なら実弾、粒子ビームはその無限空間を漂い、速度と慣性が失速し、粒子が拡散するまで無限の空間を漂う事で射撃武器を無効にするのだ。
だが、その程度の技を使う事を想定してアリシアもいつも戦闘をしている。
しかし、問題なのはそれを想定した上で対策したBBA弾が全く通じていないと言う事だ。
「ここまで完成度が高いなんて……」
正直、この分野に関してはリファーナムは一枚上手だと思われた。
アリシアの対策する無効にするのだから、相当危険な敵だ。
だが、アリシアとてその程度で諦める戦士ではない。
既に紅蓮の女王は去っていたが、せめて、手掛かりであるリファーナムの捕獲くらいはしないと示しが付かない。
「なら、これならどう!」
アリシアはG3SG-7バトルライフルを戻し、”来の蒼陽”で肉迫する。
直線状に形成された空間を認識、”神破壊術”で破壊していく。
これにはリファーナムも驚いたように仰け反った。
どうも、対策されるとは思っていなかったようだ。
そこからして、知性はあるが戦闘経験が浅いと分かった。
「雲鷹!100連!」
手加減して雲鷹100連を放った。
心臓の一拍の間に100モノ太刀が織りなされ、リファーナムの体を傷付けた。
「GUUUUU!!!!」
リファーナムは悲鳴を上げた。
傷の治りもさっきよりも低下している。
「概念生物なら、概念を破壊されるのは痛いよね」
リファーナムは生物である反面、概念としての側面もある。
生物である以上、実弾なども有効だが……どちらかと言えば、効き難い。
逆に概念を破壊したり、損傷を与えるような”神破壊術”や”神概念術”が弱点と言える。
「悪いけど……大人しく捕まってね!」
アリシアは手負いのリファーナムに肉迫し今度は翼と脚を捥ぐ為に肉迫した。
だが、しかし……リファーナムは頭が良かったのか……思わぬ行動に出た。
突如、”神時空術”を使って転移を開始した。
それも持てる力を無理やり使ってWN量の力技で無理やり転移しようとした。
「なっ!このままじゃ……どこかに……」
アリシアとリファーナムを光が包んだ。
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