3-4
「ね-、ママ。『しりがる』ってなに?」
「すぐエッチなことしちゃうって意味だよ」
言っているそばからその発言はアウトですよ。せめてオブラートに
「そういうとこが問題なんですけど」
「あー、ごめんね。母親になったとはいえ、まだ性欲強いもんだから。でもあなた達だって、そうやって産まれてきたんだから、フツーフツー」
「生々しい話やめて」
保健体育で習った通り、子孫繁栄と性欲は直結しているのは理解している。だけど改めて聞くと複雑な気分だ。これが散々性教育を
……というか千夏さん、今さらっと重要なこと言わなかった?
「まだ性欲強い」って、それってつまり、まだ愛するパートナー募集中ってことでは?
それもそうだ。千夏さんはまだ二十代半ば。晩婚化が進んだ現代社会では若過ぎるくらいだ。
誰かと結婚する可能性だってゼロじゃない。むしろ高いはずだ。
今まで娘ラブでそれ以外に余念がないかと思ってきたけど、これならまだ僕にもチャンスが残っている。
そう。千夏さんのハートを射止めるような男になれたのなら、幸せに結ばれる未来があるかもしれないってことなんだ。
まだ僕の恋路は終わっていないんだ……!
「ってことは、おにいのことはどうなのよ?」
ここで麗奈から核心に迫る質問が飛び出した。
今まで怖くて聞けなかったことを、さも当然のように問いかけたのだ。
「え?お婿さんにしたいなーって」
「じゃなくて、千夏さんが異性としてどうなのかってこと」
「ん、全っ然。おっきなお目々がとってもキュートだけど、あたしの好みじゃないかな」
「ぐはっ」
答えを聞いた僕、突然の死。
見事にはっきり言われてしまった。
直球のデッドボールだ。無意識の言葉の暴力だ。
やっぱり僕は、千夏さんの眼中になかったんだ。
……これ実質失恋なのでは?
「何落ち込んでんの?」
「ほっといて……」
※
「あ、おいしい」
「でしょ~?どんどん食べていいからね~」
先程までの険悪ムードはどこへやら。
そこには夕飯の肉じゃがを
「さっきは悪口言ってごめんなさい」
「もういいのよ~。大体あっていることなんだから」
「ボクも料理作れるようになるのかな……」
「毎日やっていれば、自然と身につくわよ」
「ふーん、そういうものなんだ」
二人はいつの間にか
一方の僕は失恋のショックで食が進まない。一切脈なしと分かって、心が潰れた空き缶のように
「ゆーとさん、げんきないねー」
「うん……ちょっとね」
「いっぱいあそんであげるから、げんきだしてよー」
「うん……ありがと」
その慈愛の心に救われる。
「あと、たま○まもみもみしてあげるねー」
「それはしなくていいから」
前言撤回。
慈愛の中に多少の汚れがあるみたいだ。
どうもこのノリ――下ネタだけはついていけない。幼児といえば下ネタで爆笑出来る年頃だけど、梨々花ちゃんが言うと
実際千夏さんは性の英才教育とも言うべきことを教え込んでいるみたいで、男が喜ぶと知った上での下ネタ発言だ。まだ言葉と軽いボディタッチ程度で済んでいるけど、今後どんどん過激化していきそうで不安になる。
それか梨々花ちゃんが成長した後、僕のことを『ロリコンのヘンタイお兄さん』扱いしだすかもしれない。一部の紳士にはご褒美かもしれないけど、僕にそんな趣味はないので勘弁してもらいたい。再三言うけど、僕が好きなのは年上だから。ついでに責められて喜ぶような趣味もないから。
千夏さんくらいに出るところが出た、女性らしい丸みがあって包容力のある人が好みです。
「おにい、手を出しちゃダメだからね」
「だからしないよ!?」
なのにまだ
「でも、大人になってからならオッケーだもんね~」
「ね~♪」
「なんで確定事項!?」
あと、失恋したせいで梨々花ちゃんとのお付き合いが確定したみたいな雰囲気になっているのは何故?
僕まだ、「結婚する」なんて一言も言ってないんですけど、このまま直行コースなんでしょうか?
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