第73話 念話習得
オンディーヌからジュジュに魔力が流れる。
すると、ジュジュから俺とネコ、そしてシェイドに魔力が流れるのがわかった。
「お、おお、オンディーヌの魔力が流れてくるのだ!」
「お前は精霊王なのだから、あとでジュジュに返せ」
「わ、わかっているのである!」
「そのときにも、しっかり魔力流れを感じろ」
「わかったのだ!」
オンディーヌは俺だけでなく、シェイドにも念話のコツを教えてくれている。
あたりは強いが、オンディーヌは面倒見が良いのだ。
「グレン。魔力の流れがわかる?」
「わかるな。はっきりと」
「その流れに言葉をのせればいい。やってみて」
「わかった。やってみよう」
俺はジュジュとネコを撫でながら、シェイドに向かって言葉を送る。
(何か食べたいものはあるか?)
言葉の内容はどうでもいいので、適当なことを聞いてみた。
「聞こえたか?」
「ふむー。聞こえたような、聞こえていないようなそんな気がするのであるぞ」
「にぃぁ~」
シェイドは首をかしげる。
俺に抱っこされたネコも首をかしげている。
「全く聞こえていないというわけではないのか?」
「何かは聞こえるのだ。だが、意味がわからないのである」
意味がとれるほど伝わっているわけではないらしい。
だが、全く伝わっていないというわけでもない。
「このまま送り続けよう」
俺は(何か食べたいものはあるか?)と言葉を送り続ける。
そのとき、俺に抱っこされたジュジュが、俺の服を引っ張った。
「じゅいじゅい」
「え? 干し肉か? いや、あれはなぁ」
ジュジュは俺がはじめての夜に与えた茹でてすりつぶした干し肉が食べたいらしい。
オンディーヌには不味いと酷評されていた。
それにジュジュも次の日に食べたオンディーヌのミルクがゆを喜んで食べていたものだ。
「あれ? ジュジュ、俺の念話が聞こえたのか?」
「じゅ~?」
ジュジュは何のこと? と言いたげにきょとんとしている。
「じゅっじゅぅ!」
「わかったわかった。これが終わったら作ってあげよう」
「じゅ~」
どうやら、俺の念話はジュジュには伝わったようだ。
だが、ジュジュは念話を受け取ったと意識はしていないようでもある。
自然に、意思の疎通を済ませたといった感じだ。
「さすがはジュジュ。シェイドはどうだ?」
「多分何か聞こえているはず……だが、まだわからぬのだ……すまぬ」
「いや、謝らないでくれ。俺の念話の送り方が未熟だからだろう」
送り方がちゃんとしていれば、素人でも問題なく受け取れる。
そうオンディーヌは言っていた。
シェイドが聞き取れないのは俺の責任である。
「改めて、言葉を伝えてみよう」
「頼むのである」
俺は改めて(何か食べたいものはあるか?)という言葉を送る。
「んー、もう少しなのだと思うのであるが……」
「にぃ~?」
シェイドは俺の声を聞こうと目をつぶって、うんうん言っている。
そしてネコは、顔を傾けながら耳を頻繁に動かしていた。
もしかしたら、意味が伝わっているかはわからないが、ネコに俺の言葉が少し届いているのかもしれない。
そのとき、オンディーヌが俺の目をじっと見つめる。
「今食べたいのはクッキー」
「え? オンディーヌにも俺の念話が聞こえたか?」
オンディーヌは俺の契約精霊ではない。
先ほどの話では、契約精霊となら念話で意思の疎通ができると言うことだった。
「グレンと私の相性が良いから」
理屈がわからないが、どうやらオンディーヌとも念話で意思の疎通が出来そうだ。
オンディーヌは、今もゆっくりとジュジュに魔力を流してくれている。
そのおかげかもしれない。
「そんなもんかー。で、シェイドは?」
「も、もう少しでわかるきがするのである!」
「ふふん。クッキーのお供にお茶を淹れてくる」
シェイドにどや顔してから、オンディーヌは魔力を与えるのをとめる。
もう充分ジュジュは魔力を受け取ったし、魔力の流れもよくわかったので支障はなにも無い。
そして、オンディーヌは台所の方へと歩いて行った。
「グレンさま、練習を続けるのである! ジュジュさまにならともかく、オンディーヌにできて我にできないわけがないのだ!」
「わかった」
やる気満々のシェイドに、俺は言葉を送る。
送る言葉は(お茶に入れる砂糖はいくつ?)である。
「……むむう」「にぃぁ」
シェイドとネコも一生懸命聞き取ろうとしてくれている。
だから、俺も言葉を送ろうと集中した。
(グレン。砂糖は?)
(……クッキーと食べるときは砂糖はいいかな)
(わかった)
自然にオンディーヌは念話を送ってきた。
だから、普通に俺も念話で返事をした。
「あ、わかったかもしれない」
「なにがであるか?」
「念話の送り方」
オンディーヌから念話を受け取ったとき、なんとなくコツがつかめた気がした。
「送ってみるな」
「うむ」
(シェイドはお茶に砂糖どのくらいれて欲しい?)
「二十ぐらいなのだ!」
(入れすぎだろ)
「だが、砂糖は沢山入れた方がうまいのだ」
(そうか。オンディーヌ。悪いけど……)
(わかった。そして、グレン。念話マスターおめでとう)
(ありがとう)
「さすが、グレンさまなのだ!」
「じゅじゅ!」「にぃ!」
みんなの手助けのおかげで、俺は念話の技術をマスターできたようだった。
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