美少女四天王

 僕は高校で、四天王な同級生美少女とラブコメ中である。

 四天王ということは、4人の美少女が僕にくっついているということだ。

 4人ともかわいかったり、美しかったりして、そりゃ僕にはたまらないシチュエーションだと思った。

 このままライトノベルによくあるハーレムラブコメを地で行くのかとさえ考えていたのだ。


「ねえ、涼真くんと一緒にいれて超ハッピー♪」

 一人目の詩織が、僕の腕につかまりながら喜びをアピールした。

「あなたと一緒にこれから100円ショップだなんて、まるで天国みたい、サイコー!」

 詩織は空に向かって歓喜した。


「おい、何でオレまでお前と一緒にいなきゃいけないんだよ」

 女子なのに一人称が「オレ」な、ベリーショートの芽生奈(めいな)が僕に絡むと、突然頬を急角度につねってきた。

「イタタタタタタッ!」

「急に100円ショップに寄り道しようなんて、聞いてねえぞ」

「ごめん……」


「きゃあ、やめてよ!」

 3人目の伊織(いおり)が、僕を強引に抱き寄せながら、泣き声を漏らした。

「どうしよう、頬っぺたが赤くなってる」

 彼女は潤んだ目で、僕の頬を確かめた。


「まあまあ、いいじゃな~い。みんなで楽しくいられるのが一番だよ」

 4人目のくるみが楽天的な調子で言った。

「私、この5人でワイワイできるだけで、とっても幸せだと思う。ところで100円ショップで何買うの? 楽しみだな~」


 くるみは底抜けに明るいテンションで僕に話しかけてきた。

 僕は苦笑いするしかなかった。


 4人の美少女は、喜怒哀楽それぞれの感情を司る四天王だ。

 本当にそれぞれ、喜び、怒り、哀しみ、楽しみの感情しかないみたいである。

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