第10話 月
左手に拳銃を持つ梶川が船上で複数の人物を殺し、船は爆発・炎上して、銃殺体を含む多数の遺体が見つかる。この船は佐沼帝国に入ろうとしていた貿易船で大量の食糧を積んでいた。
関税局捜査官の
密輸船爆発事件の2週間前、広島県警に、ある銃器強奪事件の「面通し」(容疑者の顔を事件関係者に見させて、容疑者が真犯人であるか否かを見分けさせること)のために、5人のリストが集められた。5人は、陣内刑事、ランマルスタッフの派遣・
警官の汚職が絡んだ宝石強奪を野瀬陽子が陣内らに持ちかけ、5人はこれを実行して成功させる。そして呉市で取引相手の故買屋・
ケースの中身が違っていたことについて石井に詰め寄ると、大元の依頼主である『政治家』に会うように指示される。オオタケと名乗るその政治家は、5人に麻薬密輸船の襲撃を命令するオオタケによれば、その命令は、佐沼勝男からの命令であるという。5人はそれぞれ過去に佐沼勝男が関わる品を盗むなどしており、オオタケはその詳細な記録も所持していた。オオタケによれば、5人が呉警察署で顔を合わせ、その後で手を組むことになったのも、佐沼勝男が仕組んだことであるという。
翌日、佐沼勝男の名を聞いた堂本は逃亡するが、瀬戸内海で水死体となって発見される。陣内は、佐沼勝男など実在せず、オオタケこそが勝男だと主張しオオタケを殺そうとするが、恋人の
堂本を除く4人は結局、命令通りに船を襲うことになる。陣内は、何かあったらお前だけは逃げて美奈に助けを求めろと仲田に言い、船に乗り込むが、船内に麻薬はなかった。備後と陽子は現場で何者かに殺され、陣内も銃撃され甲板の隅に追い詰められる。岸壁で隠れて船の様子を見ていた仲田は、甲板で陣内が勝男に射殺されるのを目撃する。そして、勝男は船に火を放ち去っていった。
取調室で樹里と仲田は向かい合っていた。
「陣内は勝男に撃たれて死んだ」と述べる仲田に、樹里は、陣内こそが佐沼勝男であり、死んだように見せかけたのだと持論を述べる。船が運んでいたのは麻薬ではなく「勝男の顔を知る男」であり、その男を消すことが勝男の目的だった、との推理がなされる。樹里は、身柄を保護する代わりに検察側の証人になるよう仲田に迫るが、仲田は拒絶する。
仲田の身柄拘束はその後まもなく解かれ、呉署を去っていく。更に仲田を迎えに来た車の運転席には"オオタケ"が座っていた。
佐沼智充は日本の鎖国に踏み切った。
勝男は宇宙服を購入した。給水と温度調節機能、呼吸用の空気タンク、放射線の遮断性を備えている。
宇宙での食事は味気なかった。
鼻詰まりで嗅覚を感じなかった。
「コロナに罹患したのか?」
「低重力のせいだよ」
ベテラン宇宙飛行士の
「俺の偽物が日本で暴れまわってる」
福地は川崎の正体が佐沼勝男であることを知っている。
「佐沼帝国に恨みを持つものの仕業だろうな」と、福地。
勝男たちは月を目指していた。
地球から月までは3日かかる。
水でもどせるパウチ状の乾燥食品には慣れてきた。電子レンジ調理が中心だ。
飲水や歯磨きをする水などは蒸留して再利用。
「おしっこも水に変わるんだな?」と、勝男。
「実家は農家で庭に肥溜めがあった。おしっことかそこにしてたよ」
勝男は眠くなってきた。宇宙船であればどこでも頭を預けられる。眠りに入るとパチッパチッという閃光が走った。
「雷かな?」
「宇宙線だろうな」
福地はそう言ったのだが、勝男には『宇宙船』と聞こえた。
「敵の船か?まさか、中国?」
「シップじゃなくてビーム」
宇宙線は、宇宙空間を飛び交う高エネルギーの放射線のことである。主な成分は陽子であり、アルファ粒子、リチウム、ベリリウム、ホウ素、鉄などの原子核が含まれている。地球にも常時飛来している。
宇宙線には太陽宇宙線や銀河宇宙線等がある。宇宙線のほとんどは銀河系内を起源とする銀河宇宙線であり、超新星残骸などにより加速されていると考えられている。これらは、銀河磁場で銀河内に長時間閉じ込められるため、銀河内物質との衝突で破砕し、他の原子核に変化することがある。実際、Li、Be、B、Sc、Vなどの元素の存在比が、太陽系内のものと宇宙線中とで大きく異なることが知られている。このため、宇宙線の元素比や同位元素の存在比を測定することで、宇宙線の通過した物質量を推測することが出来る。
7月4日
ムシムシしている。除湿機のパネルには『80』と表示されている。壁には黒カビを生えている。
熱海で土砂崩れが起きた。
熱海に移り住んでいた直井は困惑していた。
恋人の霧子は悪いことをして牢獄に入り、そこで殺された。群馬が懐かしい。
「こんな非常事態だってのに静岡から出られないんですか?」
佐沼智充は感染を防ぐ為にロックダウンを決行した。これまでは緊急事態宣言程度で、県またぎもしたところで罰則がなかった。が、県またぎをしたら罰金5万円って厳しいルールが課せられた。
「避難所にいれば安全ですよ」
市の女性が言った。
「密になりたくはないな」
「だったら家に戻りますか?」
直井は役者を目指していた。
役者仲間の
「ふっ……不覚」
清水は両腕で直井の刀を隠して、上体を折り曲げて胴を切られた演技を見せた。
市の女性が仲裁に入った。
「危ないからやめてください!」
「僕達役者なんです。驚かしてスミマセン」
直井は深々と頭を下げた。
女性は霧子にどことなく似ていた。霧子の父親は昭和の頃、新宿に行って行方不明になったとされている。
「東京に行けないのに役者なんて目指して、意味あるのか?」
清水に言われて、直井は「それもそうだな」と言って窓の外を見た。雨が上がって、大きな月が出ている。
🌕月に到着した。
月の素材は岩石で出来ている。
最高気温は120℃、最低はマイナス180℃だ。
月には大気がないので天気がない。
「雨や嵐、そんなものはこの星にはないのさ」と、福地。
南極ってのは非常に暑かったが、あれはまだ地球での出来事だ。
南極大陸と南極海からなる。南極大陸は、地球上で最も寒冷な地域の一つであり、およそ3000万年の間降り積もった雪が溶けずに1000~2000メートルの厚い氷の層となった氷雪(氷床)に覆われ一部の沿岸地区の地衣類を除き、植生はほとんどない。陸地はほとんど氷床下にあり、露岩地区は少ない。氷床は氷河となってゆっくりと山の斜面をずり落ちて海に押し出されて流出し、一部では棚氷を形成している。棚氷は沖に押し出され、自らの重さによってひび割れして氷山として海を漂うことになる。
南極大陸は西半球の西南極と東半球の東南極からなり、東南極のほうが面積が大きい。西南極には南極半島があり、この半島の北端は南緯63度付近と南極圏外にある。ツンドラ気候地帯であり、南極のなかでは温暖であるため、観測基地も集中している。
「ペンギン可愛かったよな」
福地は思い出しながらニヤニヤした。
その表情が凍りついた。
明け方の月を散策した。
1969年にアポロ11号が月面に地震計を設置したことによって、月にも地殻変動が起こっていることが発見された。このときの地震計は太陽電池を動力源とし、保温カバー等が無かったため、1ヶ月程で運用を終了してしまった。
その後月面に着陸したアポロ12号、14号、15号、16号が地震計を月面へと設置している。このときは保温カバーが付けられ、長期間の観測が可能となった(なお、アポロ17号も地震計に準じた重力測定装置を搭載している)。
これらの地震計による観測は1977年まで行われ、観測時間は通算8年10ヶ月、12558回の地震が記録された。これが現在のところ月震に関する観測データのすべてである。
最大規模の月震でもエネルギーは地球の最大規模の地震の100万分の1以下であり、マグニチュード4程度である。
「南海トラフ地震がそろそろ来るとか言われてるよな?」と、福地。
「月にいた方が安全なんじゃないか?」と、勝男。
「ここならコロナに感染する恐れもないな」
福地はそう言いながら若月のことを思い出していた。彼は未探査の惑星に行ったに違いない。パンドラの箱の中身を探ろうとして焼け死んだんだ。ワームホールっていう、宇宙空間の数百光年、数百万光年もの距離を近道できるものがあるが、そこに落ちたのかも知れない。
「確かにな?ここでゆっくり暮らしたい」
「月が出た出た〜月が〜出た〜よいよい♪」
ここなら歌を大声で歌うことも許される。
勝男はマスクしたまま、カラオケをしたことがあるが苦しくて仕方がなかった。
月は太陽系の中で地球に最も近い自然の天体であり、人類が到達したことのある唯一の地球外天体でもある。
月は天球上の白道と呼ばれる通り道をほぼ4週間の周期で運行する。白道は19年周期で揺らいでいるが、黄道帯とよばれる黄道周辺8度の範囲に収まる。月はほぼ2週間ごとに黄道を横切る。
恒星が月に隠される現象を掩蔽、あるいは星食という。惑星や小惑星が隠されることもある。一等星や惑星の掩蔽はめったに起こらない。天球上での月の移動速度は毎時0.5度(月の視直径)程度であるから、掩蔽の継続時間は長くても1時間程度である。
月面は砂(レゴリス)によって覆われている。レゴリスは隕石などによって細かく砕かれた石が積もったものであり、月面のほぼ全体を数十cmから数十mの厚さで覆っている。これはおよそ200kgの体重と装備が、重力によりおよそ30kg相当となった人間が残した足跡からも観測できる。より新しいクレーターなどの若い地形ほど層が浅い。その粒子は非常に細かく、宇宙服や精密機械などに入り込みやすく、問題を起こす。しかしその一方でレゴリスの約半分は酸素で構成されており、酸素の供給源や建築材料としても期待されている。また太陽風によって運ばれた水素やヘリウム3が分布密度は小さいものの吸着されており、核融合燃料になると考えられている。
両極付近のクレーター内には「永久影」と呼ばれる常に日陰となる領域があるため、氷が存在している可能性が高いと言われている。
勝男たちはアサダにやって来た。
アサダは、月にある小さな衝突クレーターであり、豊かの海の北端に位置している。アサダの北東にはタルンティウスがある。アサダは国際天文学連合によって再命名されたクレーターであり、かつてタルンティウス-Cと呼ばれていた。
星の名の由来は、麻田剛立(享保19年2月6日(1734年3月10日) - 寛政11年5月22日(1799年6月25日))って江戸時代の日本の天文学者である。
豊後国杵築藩南台西(現在の大分県杵築市)出身。元々は
アサダゴウリュウ、いい名前だ。
幼少期から天体に興味を持ち、二十歳くらいから本格的な天体観測を行う。『傷寒論』などを読み、独学で天文学・医学を学んだ。
ケプラーの第3法則を独自に発見したとされ、その内容は『五星距地之奇法』に記されている。既にケプラーの(第1・第2)法則については漢籍によって日本にも伝来している時代であり、後述の通りケプラーの法則を使っての研究もしていることから、この麻田の独創については疑問視する意見もある。ただ、麻田は惑星の軌道を円と考えて「惑星の公転周期の2乗が軌道の半径の3乗に比例する」としており、つまりこの時点でケプラーの第1法則を知らなかったため、事実誤認が含まれているとはいえ、麻田の独創性については間違いは無い。
宝暦13年(1763年)に、ケプラーの法則を用いて、官暦にはない同年9月1日(旧暦)の日食を予言し的中。この日食は当時使用されていた宝暦暦に記されていなかったこともあり、麻田の名声を高めた。
明和8年(1771年)頃に豊後を離れて(この時に脱藩したため、追っ手の目を眩まそうと改名した)大坂に行き、そこで医師を生業としながら天文学の研究を続けた。『崇禎暦書』を基盤に研究し、望遠鏡・反射鏡などの観測装置を改良し、理論を実測で確認、そして家暦である『時中法』を設けるなど、その手法は近代的であった。
オランダから輸入した初の高倍率グレゴリー式望遠鏡によって、日本最古の月面観測図を記す。安永7年(1778年)8年後に起こる日食の情報を三浦に手紙で送った際、その月面観測図を併記した。この手紙は所在不明とされていたが、鹿毛敏夫が『月のえくぼ(クレーター)を見た男 麻田剛立』を書くにあたり資料を収集した際、現所蔵者と現物を発見した。
弟子に高橋至時・山片蟠桃・間重富らがいる。また中井竹山・中井履軒兄弟・三浦梅園とも交流した。
大正5年(1916年)、従四位を追贈された。
勝男は豊かの海を眺めていた。
豊かの海は、月の東半球に位置する月の海の一つであり、月の表側にある。豊かの海は先ネクタリス代に作られた盆地であり、後期インブリウム代の地層が表面を覆っている。表面の地層は危難の海や静かの海よりも薄い。豊かの海の周囲は、神酒の海、静かの海、危難の海と共通のネクタリス代の地層に囲まれている。豊かの海の西側は神酒の海と接しており、境界にはピレネー山脈が走っている。豊かの海の東端にはラングレヌスがある。
月の表側にある山脈、ピレネー山脈に勝男たちはやって来た。南緯 15.6°、東経 41.2°、神酒の海の東側に位置しており、神酒の海と豊かの海とを隔てる境界となっている。全長は 164 km、高さはおよそ 2,200 m である。
ピレネー山脈の北端にはグーテンベルクがあり、その北西にグーテンベルク峡谷が走っている。ピレネー山脈の東側にはコロンボとマゼランがある。
フランスとスペインの国境沿いのピレネー山脈から名づけられている。
グーテンベルクの周壁はぼろぼろに崩れており、特に東部の周壁はグーテンベルクEによって、南部の周壁はグーテンベルクCによって、南西部の周壁はグーテンベルクAによって、破壊されている。グーテンベルクEの南東と南西の周壁も同様に崩壊しており、グーテンベルクと豊かの海とを結ぶ通路を形成している。
グーテンベルクおよびグーテンベルクEの底には溶岩が堆積し、平坦な地形を形成している。北東部にはゴクレニウス峡谷の一部が走っており、2本の裂け目がグーテンベルクの表面を破壊している。グーテンベルクの中央は半円状に隆起しており、弧が南部に突き出ている。
ゴクレニウスってクレーターにやって来た。豊かの海の西端に位置している。ゴクレニウスはグーテンベルクの北東にあり、その北にはマゼランがある。ゴクレニウスの北西にはゴクレニウス峡谷と呼ばれる複数の平行に走る谷があり、その全長は240 kmに及ぶ。
ゴクレニウスの周壁はいびつに歪んでおり、卵のような形をしている。ゴクレニウスの底には溶岩が堆積しており、南東から北西にかけてゴクレニウス峡谷の一部が走っている。
月に来る途中にヴァン・アレン放射線帯に遭遇した。この粒子には人間には害を及ぼさないが、電子機器に大被害をもたらすとか福地は言っていたがスペースシャトルの性能がいいのか、粒子が弱いのか、スマホなどに問題は生じなかった。
「月の住人ってのはどこにいるんだ?」と、勝男は福地に尋ねた。
月の住人を見せてやるって数日前に言われた。
宇宙人って本当にいるんだな?
主はツクヨミだろうな。
記紀(古事記と日本書紀)において、ツクヨミはイザナギノミコトによって生み出されたとされる。月を神格化した、夜を統べる神であると考えられている。長女アマテラスの弟神にあたり、スサノオの兄神にあたる。
古事記ではイザナギノミコトが黄泉国から逃げ帰って禊ぎをした時に右目から生まれたとされ、もう片方の目から生まれたアマテラス、鼻から生まれたスサノオとともに重大な三神(三柱の貴子)を成す。一方、日本書紀ではイザナギとイザナミの間に生まれたという話、右手に持った白銅鏡から成り出でたとする話もある。また、彼らの支配領域も天や海など一定しない。
「オマエってそこまで馬鹿だったのか?月の住人ってのは地球から見た月の模様のことだよ」
漆黒に浮かぶ青い地球を僕は眺めていた。
「へっ?そうなの?」
勝男はウサギの島を思い出した。あそこにも月光が降り注いでいることだろう。ウサギが月を見上げて、「仲間があそこにいる」なんて、言ってたりしてな。
「それにしても、俺の偽物の正体はどんな奴だろうな?」
◎双子
◎そっくりさん
◎整形されたそっくりさん
「俺に双子なんかいない。あっ、もしかしたら親父の隠し子かな?冴えない感じは演技で、メチャクチャもてる。いや、ないな〜、母さんとはお見合いだったらしいが。長門裕之と桑田佳祐ってそっくりだよな〜、1番最後のが現実的かな?」
「智充さんの仕業じゃないかな?」
「兄貴が?」
伯父さんにはお祭りに連れてってもらったり、誕生日プレゼントにレゴをもらったりした。あんなに優しい人が俺を嵌めるだろうか?伯父さんのことを『兄貴』って呼んでいた。
「悪い噂を流して、信用を失わせるのが目的なんじゃ?」
「兄貴を悪く言うのはやめてくれ」
福地は勝男の影武者なんじゃ、と思っていた。本来は目立たない存在のはずの影武者だが、そいつが暴走した。まるで月が太陽に化けたみたいだ。
影武者は、権力者や武将などが、敵を欺いたり味方を掌握するため、自分とよく似た風貌や服装の人物を身代わりとさせること。また、その身代わりの人物そのものを言う。日本の戦国時代の武将の事例がよく知られるが、古代メソポタミアの身代わり王のように、古今東西を問わず似た事例が見られる。
戦乱の時代では、戦闘に際して部下に武将と同じ衣服や甲冑を着用させて敵方を欺き、陽動作戦を行なったり、武将が自らの戦病死や不在を隠すために用いられた。写真がない時代では、名の知られた武将や権力者であっても人々が顔を知っているとは限らず、有効な手段であった。
平安時代の平将門には6人の影武者がいて、将門を討とうとした藤原秀郷が困惑したとする「七人将門」の話が伝わる。
鎌倉時代末期の元弘の乱では後醍醐天皇の腹心花山院師賢が帝を装い、公家を従え服装と腰輿を整えて、比叡山に登り、緒戦、志賀の唐崎で北条軍を破ることに成功したが、すぐに正体がばれて延暦寺の僧兵に離反された。しかしその隙に、後醍醐天皇は笠置山で挙兵した。また村上義光は、吉野城の戦いにおいて大塔宮護良親王の鎧と錦の直垂を身につけ、宮の名を偽って名のり、身代わりとなって切腹したが、その隙に護良親王は南紀に落ち延びることに成功した。
戦国時代に入ると、良質な文献で影武者の用語は存在しない。これに該当するのが「陰(影)法師」と呼ばれた武者である。慶長元年(1596年)、武田氏の旧臣6名によって書かれた『曲淵宗立斎等言上書』によると、武田信玄と同装した陰(影)法師が3名定められており、実際に平生の行事や戦場で活躍していた。
古代ギリシアの人々は、月食が起きるのは満月の時であること、また月食時に月の表面に丸い影が徐々に現れることを観察して、それらのことからその影というのは自分たちの住む地の影で、地は球体であると推定したといい、アリストテレースの時代(紀元前4世紀)には、その知識はギリシア世界では広く行き渡っていたという。
ギリシア神話の月の女神は元々セレーネーであるが、後にアルテミスやヘカテーと同一視され、月が満ちて欠けるように3つの顔を持つ女神とされるようになった。ローマ神話ではルーナがセレーネーと、ディアーナがアルテミスと同一視されたので、ここでも月神は2つの顔を持つとされた。これらの神々は一般にあまり区別されない。ルーナ Luna の名はロマンス語ではそのまま月を表す普通名詞となった。また、英語などではセレーネーから派生した selen-, seleno- という月を表す語根・接頭辞が存在する。元素周期表でテルル(地球)の真上に位置し、あとから発見されたセレンはこの語根から命名された。
古来より月は太陽と並んで神秘的な意味を付加されてきた。ヨーロッパ文化圏では太陽が金色・黄色で表現されるのに対し、月は銀色・白で表されることが多い。西洋では月が人間を狂気に引き込むと考えられ、英語で "lunatic"(ルナティック)とは気が狂っていることを表す。また満月の日に人狼は人から狼に変身し、魔女たちは黒ミサを開くと考えられていた。
北ヨーロッパでは呪われて月に送られた男と見立てられており、『マザー・グース』に収録されたThe man in the moonは、その伝承を基にしたものである。安息日を無視して薪を背負っていた、キャベツを盗んだなど、男が呪われた理由は地域によって異なる。
この他、月の模様をカニの姿や編み物をする老婦人とみたものがある。北アメリカ、東欧では白い部分を女性の横顔に見たてている。
東洋では、月の海をウサギが餅つきをしている姿に見立てることがある(月の兎)。月とウサギとの由来はインド仏教説話集『ジャータカ』からとされる。古代中国では、月のことを
中国の伝説では、月には桂の木が生えているとされ、呉剛という男が切ろうとしているとも言われる。また、夫の羿を裏切った嫦娥の変じた蝦蟇(ヒキガエル)が住んでいるともいわれる。そのほか、中国でも月の模様をウサギの姿とする見方がある。また、月の通り道にそって28の星座を作り、これを「二十八宿」と呼び、月は1日にこの星座を1つずつ訪ねて天空を旅していくと考えられていた。タイには、月の町と呼ばれるチャンタブリー県があり、その県章には月とウサギが描かれている。
勝男は福地とローヴァーで月面を移動していた。
ゴルフカートみたくゆっくりと動く。最高でも時速19キロくらいしか出ない。
4輪のバギーカーに似た外観のアメリカの月面車と異なり、丼鉢に8つの車輪がついたような外見ではあるが、各種ビデオカメラやX線スペクトロメーターなど充実した観測計器を搭載しているほか、丼鉢の蓋の裏に搭載した太陽電池によりバッテリーを充電させ長期間の稼働を実現させている。
「これってどこ製?」と、勝男。
「ロシア製」
福地は答えた。
1966年にニール・アームストロングが残した足跡のところにやって来た。「静かの海って言うんだ」福地が偉そうな態度で言った。
静かの海は、月の表面にある月の海の一つ。月で餅つきをしているウサギに海を見立てた場合、ウサギの顔に相当する。アポロ11号の月着陸船が着陸した場所でもある。
1969年7月20日に人類として初めて着陸した地点は、月面緯度0.8度、月面経度23.5度で、「静かの基地」と命名された。また、その近くの3つの小さなクレーターはアポロ11号の3人の宇宙飛行士にちなんで、それぞれ「アームストロング」「オルドリン」「コリンズ」と命名されている。アポロに先立つ1965年2月に打ち上げられた月面探査機レインジャー8号は、この静かの海に衝突したが、その直前の23分間で7,137枚の写真を撮影し、地球への電送に成功した。アポロ計画では、これらの写真を基に着陸地点が選定された。
親父とか、弟とか、母さんとか月にいないだろうか?月じゃなくて、冥王星にいるのかも知れないな。
月は勝男の双子の弟だ。頭が悪く、史郎から施設に入れられた。5歳のときだ。『勝男はおまえなんかより優れてる。おまえを施設に預けてよかった』と、15歳のときに面談してきたとき、史郎はそう言った。
勝男を苦しめる。それが月の生きる糧になった。
大量殺戮して、勝男に全ての罪を着せる。
撃たれても、刺されても、燃やされても、病気になっても月は死なない。
今じゃ、ウサギになってウサギ島から月を眺めていた。
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