この作品は、タイトル通り“平穏を望む”はずの主人公が、まったく平穏にならない日々に巻き込まれていく物語です。ただしその描かれ方は、一般的な爽快系ファンタジーとは趣が異なります。
主人公はチート級の力を持つリッチー。理不尽な要求を次々と受けながらも、毎回期待以上の成果で応えてしまう。その結果、また新たな面倒ごとが舞い込む――この繰り返しが物語の大きな軸になっています。
この構図をどう受け止めるかで、本作の印象は大きく変わるでしょう。
次々と寄ってくる猫に「やれやれ」と言いながらも穏やかに対応するような光景として読めば、主人公の余裕や達観、そしてどこか人の良さが微笑ましく映ります。超越者でありながら、世界を力でねじ伏せるでもなく、怒りを爆発させるでもなく、淡々と、しかし誠実に応えていく姿には独特の味わいがあります。
一方で、理不尽な相手に便利に使われ続けているように見えてしまうと、どうしても引っかかりを覚えるかもしれません。本作には、誤解を鮮やかに解いて読者をスカッとさせる「ざまあ」展開はあまりありません。強く糾弾することもなく、主人公はあくまで達観した立場から状況を受け止めます。そのため、明快なカタルシスを求める方にはややもどかしく感じられる可能性があります。
しかしだからこそ、この物語はユニークです。力を誇示するのではなく、怒りで場を制するのでもなく、超越者があえて穏やかに世界と向き合う。その静かな在り方を楽しめる読者にとっては、じわじわと沁みる魅力を持った作品だと思います。
爽快感よりも、達観と余白を味わいたい方におすすめしたい一作です。
キャプションの通り、スナックの様にサクサク読めるのにスルメの様に噛みごたえがあって時間が溶けました
ニッチな話との事ですが、読み手に関してはむしろ幅広い層に需要がありそうです
異世界物の王道を外しつつも面白いので、テンプレ展開に食傷気味のグルメな皆さんにはよりオススメという点では確かに珍味なのかも?
色んな相手の相談という事で、それぞれの話が独立している可能性もあるかなと考えていましたが、ガッツリ繋がってたというか一連の話というか元凶は一緒というか…
兎に角、登場人物達のその後が気になり過ぎて、この人達が出会ったらどうなるかとか、再登場が楽しみ過ぎて、やめられないとまらない逸品です
謎の存在によって唐突に異世界転生させられ、望まず死霊術師として生きることを余儀なくされた、血を見ることもお化けも苦手な温和な主人公が、人でいることを諦められずに死霊術師としての力に振り回されながら、人の世界で賑やかに生きていくお話を描いた小説です。
世界の謎に迫ったり、壮大なストーリーがあったり、強大な敵がいるわけでもありません。
ひたすら墓穴を掘りながら、次から次へと起こるイベントに遭遇する主人公の、ドタバタ異世界コメディといったところでしょうか。
モブまで含めて魅力的な人物が多く、それに比例して巻き起こるイベントも豊富なため、次は何が起こるのか予想がつかずワクワクしながら楽しめました。
残念ながら更新頻度が低いこともあってか、小説の持つポテンシャルに比べて注目度が低いように見受けられますが、コメディ色が強い作品がお好きな方には安心しておすすめ出来るクオリティの小説だと思います。