#S-12 神形

自分のその記憶はどこかにあるようで、ない記憶だった。


つまり、覚えていない。または、忘れていたかったんだろう。



私は、神と一緒に、さっきのフラライトに戻っていく。


この神は、私の能力をくれた、“恩人”だ。だから、私はこの神を信じている。


「そういえば、さっき、現世ここにはあまりいたくないって、どういう意味ですか?」

「それは…。さっき、そらから突き落とした、追放人がいるんだ。そいつが、ちと面倒臭くて。」

「…?」

「まぁ、簡単に言うと、世界に及ぼす影響がデカすぎるんですよ。」

「…というと?」

「まぁ、もし、『そいつが魚は飛んでいた。』なんて言ったら、魚は空を飛び始めるんだ。」

「そんなことが…。」

「まぁ、本人はかなりセーブしているけどなぁ。でも影響がでかいから、神の力が使えないように、地上に落としたんだよ。」

「な、なるほど?」

「まぁ、わからねぇよな。私もわからない。」


はは、と、うちの専属神のマイネは大きな声で笑っていた。



「この子には手出しはさせませんよ。」


そう言った目の前の女は俺を守るようにいた。


その声は、どこか懐かしげがあり、記憶はないが、印象があった。


すると、その女は、手を掲げて、下に下げた。すると、敵に奴らは、倒れ込んだ。


なんだよそれ。強すぎだろ。


すると、その女はこっちを向いた。


…。


嘘だ。そんなわけがない。


その顔は、俺の目の前で死んだ、かつての同業者であり、恋人であった。


「沙悠…。」

「今は、そんな名前じゃない。今は…貧の神、ヒイネだ。あまり、カッコ良くはないが…。」


情報量が多くて、頭がパンクしそうだ。


何を信じて、何を疑って、何を受け入れて、何を受け入れないべきかわからない。


そこでまた、ヒイネが口を開く。


「あ、そうそう。君に能力を与えたのは私だから。」


その一言で僕の堪忍袋の緒が切れた。


やっと見つけた。


俺をこんな苦しい目に合わせた、憎き、“勝手なやつを。”


そこで、此方が帰ってきた。


なんとなく、混乱しているような顔なのはわかる。俺もそれはわかる。


何もかも理解していない。



待て。ここには今、私と、紫苑と、敵が三人いた。


それで、私は助けを呼びに行って、神を連れて戻ってきたら、また誰かがいた。


「お、お姉ちゃん!?なんでここにいるの?」

「お姉ちゃん!?」


マイネのいうことが本当なら、その、紫苑の横にいる謎の人は、マイネの姉であり、神様ということだろう。


すると、急に視界が暗くなった。私が目を瞑ったわけではなく、世界が盲目になった。

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