#S-07 家族の形

向かった先は。なんと、コンテナの倉庫。海辺である。


入ってみると、倉庫はいろんなものでありふれていたが、そこでも、唯一目立ったものは、ブルーシートの上の生活スペース。


そこには、A-04、すなわち此方がいたが、もう一人。泣いているA-06がいた。


「何が…あったんだ?」

「…今は、話を聞くから。ちょっと、外、見張ってて。」

「…。あぁ。」


今は何も反発せずに外に出る。あいつは、このA-06をめんどくさいと言っていた。だが“めんどくさい”か…。まぁ、頑張ってとしか言えないか。



そう言うと、紫苑はすぐに出て行った。予想外だったが。まぁ、今はこっちの方が大事だ。


「大丈夫?」

「あ、い、大丈夫…。」

「うん、じゃあ、続き。どうして、ここを住処にしたの?」

「そ…れは、家族みんなが、ここに住むことに…なったから…なの…。」

「どうして?」

「家…に住めなくなっ…ちゃって。どうしても、雨風が…凌げる場所…が、ここしかな…くって。」

「…。じゃ、その家族は…?」

「それは…。もう…わかんないの。あいつらに捕まってから、一年…くらい。その時間、家族のことを見てない…から。」


あいつらというのは十中八九、フラッターという組織のことだろう。


「そっか。」

「どうすれば。…どうすれば過去に戻れるかな。あの頃に戻りたい。」


あの楽しかった時に…と、静かな倉庫の中に木霊する。


長い静寂。それを破るように私は言う。


「…必ずじゃないかもしれないけど…。方法があるにはあるよ。」

「本当…ですか…?」

「えぇ。少し…待ってて。」


そうして、見張りを迎えにいく。



「だから、まだ待ってて。今は…」

「何してんの?」

「いや、今報告して…、」


強引に、電話を奪い取られる。


「あのさ、疑うのは勝手だけど、手伝ってあげてんだから、少しは感謝の気持ちっていうのはないわけ?…よく考えろよ。」


と言い、電話を切りやがった。


「ちょ、あぁ。なんで切るのさ。」

「まだ僕のこと疑ってんの?」

「疑ってない。というか、ここにきたとこでもうわかるもんだろ。」

「まぁね。でも万が一ってことがあるじゃん?」

「それはそうだが…。というかなんでここにきた?」

「あぁ、そうだった。あれを聞きにきたんだ。」

「なんだ?あれって。」

「“君に聞きたいこと”だよ。」

「俺に聞きたいこと?なんだ?」


と、面と面で向き合う。


「…単刀直入に言おう。君たちの中、もしくは組織外でも良い。時間もしくは記憶を確実に操作できる能力者、もしくは能力というのはあるかな?」

  • Xで共有
  • Facebookで共有
  • はてなブックマークでブックマーク

作者を応援しよう!

ハートをクリックで、簡単に応援の気持ちを伝えられます。(ログインが必要です)

応援したユーザー

応援すると応援コメントも書けます

新規登録で充実の読書を

マイページ
読書の状況から作品を自動で分類して簡単に管理できる
小説の未読話数がひと目でわかり前回の続きから読める
フォローしたユーザーの活動を追える
通知
小説の更新や作者の新作の情報を受け取れる
閲覧履歴
以前読んだ小説が一覧で見つけやすい
新規ユーザー登録無料

アカウントをお持ちの方はログイン

カクヨムで可能な読書体験をくわしく知る