#S-03 化けて、変わって。

そう叫ばれ、俺は、誰かの力によって、押し倒されていた。


そう。矢咫蔵やたぐら美奈みなに。


そして俺は間一髪のところで


そうして、完全に押し倒される。真下は、アスファルト。頭はぶつかると痛いので、守ろうかな。


と、手を後頭部に移動させると、目の前の女は、うすら笑みを浮かべた。


咄嗟に思い出す。そのを。


そうして。


そうして…。


















手で、口を塞ぎ、女の頭を掴んで、半回転して、地面に叩きつけようとする。 


が、何もかも空を切った。



「おっとっと。やるね?紫苑?」

「名前で呼ばないでくれるかな。イライラする。」

「あらら。お怒りらしい。どうしよう?今日はもう帰ろうかな?」

「逃すかよ。」


そう言って、能力を解放する。


俺の能力は、“感情で力を操作できる能力”だ。だが、感情は全て捨ててきたので、相手の感情を吸い込んで、使ったりする。最近は、あまりにも自分の感情を使わなすぎて、不安定なってしまっている。


相手の楽しそうな感情を重力と、重ねる。


「おぉ。なるほど。重力とリンクすると、こうなるのね。理解理解。」

「何が…理解だよ…。」

「じゃぁ、次は僕のばん。」


奴は、A-04。能力は、“あなたの何かに変化へんげする能力”。“あなた”とは、誰でもいいらしい。そして、何にでもなれてしまう。そして、よくあの笑い方で、牢屋から、助けの声も出さずに、ずっとこっちをみていた奴だ。


さっきは、俺の友人。美奈に変化へんげしたのかもしれない。


友人でもないのかもしれないが。


すると、A-04は、鳥に姿を変え、飛ぼうとする。


が、ここから俺の能力のテリトリーなので、逃げ出すことはできない。自分の見てわかる感情と、外気の境界線を強化して閉じ込めている。


すると、ヒトの姿に戻り、こう言う。


「なるほど。逃げれることは本当にないわけだ。つまり…。この戦いには逃れることができなくなっているわけだ。」

「そういうことだ。お前はもう負けるまで、逃げることなんてできない。」

「そっかぁ〜。じゃ、僕は勝つか負けるかの戦いをするしかないわけだ。どう?戦う準備はできた?僕はもうできてるけど。」


準備なんてもうとっくにできている。俺が、死にそうになった時に助けようとしてくれた優しい奴だと思ったが、実は脱走した能力者で、しかも、優しくて人間として、完成されている美奈に化けていたことが一番気に食わない。


だから。俺はこいつを憎んでいる。


その憎しみを…こいつにぶつける。


「あぁ。準備完了だ。」


なんて。

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