#39 それぞれの出会い

すると、そこには、今寝込んでいるはずだった、なぎさ先輩がいた。


「...!?」

「だ...大丈夫か?」

「はい...大丈夫ですけど...。先輩こそ大丈夫なんですか?」

「いや、あんまり。万全って感じじゃない。」

「あぁ...そうなんですか。」

「...。」

「...あ、あの...。」

「なに?」

「先輩は本物ですか?偽物ですか?」

「...まぁ。くると思っていたけどね...。」

「...。」

「私は、偽物に乗り移った本物だよ。」

「...?」

「わからないって顔してるね。」

「本物として、どこかにいたんだけど、もう死ぬかなと思った時に、ここで生きている偽物がいたから、乗り移ったの。」

「へ...へぇ...。」


まぁ...わかった、気がするだけだが。とりあえず、先輩のおかげで死なずに済んだんだ。感謝しなければ。


「先輩。助けてくれて...。ありがとうございます。」

「ははっ。いいね。その顔。...さぁいくよ葵君。まだ終わってないんでしょ?」

「はいっ。先輩!」



俺は...打たれたはずだった。だが、奴のショットガンがうまく当たらなかったかは知らないが、痛いだけで、何も変わらない。機械に飲まれ、もみくちゃにされる。


かなり痛い。だって、体の自由が効かないのに、圧力はしっかりかかって、何かが潰れても、折れても、動かされる。


声は出ない。意識ははっきりしない。動けない。なのに、は必ず感じた。


俺は何もできない。ただただ、痛みに悶えて、それを感じているだけしか出来なかった。


もう死んでいるとも思っていた。だが、何もかもがまだ生きていると語りかけてくる。


...自分はなんでこんなことになったのかはわかっていない。ただわかるのは、能力が何かしら暴走して、とても強い力を出したこと。


でも...これをコントロールできれば。かなり強くなれる気がする。なんて、AKの俺が言うのはお門違いか。


体を動かそうとする。が、動かない。


音を聞こうと耳を澄ます。何かは聞こえる、が病院で出るような音ではない気がする。


声を出そうと、口を開ける。


「あぁぁぁぁ。」


ちゃんと出た。が、あまり良くは出ないかもしれない。喉が潰れたのかも。


何か感じるかもと、感覚を研ぎ澄ます。何やら、風がどこからか吹いているのかもしれない。


匂いを嗅ごうとしたが、特に特殊な匂いはなく、神聖な感じがした。


周りを見ようと、目を開く。


するとそこにいたのは、神々しく光っている、人間の形をした、ヒトだった。

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