#30 叶雫

そうして、意識は落ちる。


そして、どこかの世界で目が醒める。そこは真っ暗で、椅子に自分と誰かが座っている。


「よう。初めて...ではないな。朝話したぶりだな。」


と、まるでいおりのような声で、話してくる。というかいおり本人なんだろう。


「あぁ。久しぶりだな。いおり。ここは...どこだ?」

「いつも俺が見ていた世界。というより、お前の中の世界というのが、正解か。...というより、お前は一回見ているんじゃないか?」


たしかに。一度、いおりに意識を渡したはずだから、一度ここを見たはず。が、そんな記憶は一つもなかった。


「...覚えてないな。消えたんじゃないか?」

「かもな。」


周りを見てみる。背中合わせで、いおりの顔は見えない。他はほとんど真っ暗で、椅子から降りたら、どこまでも落ちていきそうな感じがする。


「なぁ。君は自分の体はどんなのがいい?」

「んん〜。そりゃ、強そうな体がいいな。あと、高身長。威圧感を与えるのに、一番だ。」

「なるほど。ちなみに僕の身長は、169cmなんだけど、君は何センチくらいがいいの?」

「...190くらい?」

「...まじ?」


すると、いおりの体が透け始めた。そして、小さな光の粒子になって、飛んでいった。


そうして僕はこの世界から、目を醒ます。


「はい、出てください。」


機械の扉を開けながら、そう声をかけられる。


言われるがまま、機械の中から出る。


「はい、これで、確認と、別人格との分離ができました。今回で、かなり不安定だったので、摘出しました。あとはこちらで、体の方を用意して、魂を移しておきますから。」

「あぁ。はい。ありがとうございます。」


と、一応礼をしておく。なーんか嫌な予感がする。



「さぁ。“はじめてのおしごと”だ。準備はいいかい?」

「...万端ではありませんが。」


そりゃそうだ。リンセとはテレパシーがつながりもしない。いおりは体が欲しいと、別の体になるために今頃、何かをしているんだろう。


「...そうか。ああ、君に渡したいものがあるので、まず、それを渡すとしよう。」

「もしかして、それですか?」

「いやいや、流石にショットガンは渡せない。」


違うらしい。


「君に渡したいものというものは、これだよ。」


そう言って、雫の形をした、耳飾り(?)を渡してきた。


「これは...。」

「生命力を何かと、変換して、作り出す装置だよ。あとは、願いを叶えることもできる。」

「...ん?ということは、とおるさんが言ってた機密情報って...。」

「“記憶”。過去でも未来でも何かの記憶が消えるんだ。それのおかげで、戦えるから、いいんじゃない。」

「適当...。じゃ、この耳飾りも...。」

「いや、同じじゃないよ。何かとは本当に何か。君の大事なことや、君の周りにいる、もしくはある、何かね。」

「...。」

「もらうかい?」

「...はい。...貰います。」


僕の手のひらに渡してくれた。


「願いを叶えるのにも、何かは消費するから。気をつけてね。」

「...はい。」

「じゃ、改めて仕事内容。」


今日は少なめに。

・病院で、なぎさ先輩が使っていた、機械を回収。

・ある程度目をつけている組織の場所の選定、確認。


「いけるかい?」


「はい。....行ってきます。」

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