#27 命の椅子

「本当に探してくれるのかい?」


と、とおるさんが輝かしい目で見てくる。


「はい。やってみせます。」


と、高らかに宣言した。



その後...この組織に無事に入れることになった。“捜索隊-い”として。


“捜索隊-い”は主に、能力付与機械の回収。または、場所の特定。副は、能力の完全な使用方法の確認。などなど。つまり、探せばいい。というわけだ。隊員は今のところ僕一人だ。


そして、長い長い一日が終わる。



「た...ただいま...。」

「おかえり〜。お疲れ様〜。どうだった?」


そう言われ、言葉に詰まった。


「えーと...。まぁまぁかな。...自分でもうまくまとまっていないけど。」

「そうなんだ。大丈夫?かなーりお疲れの顔だけど...。」

「うん。さっさとご飯食べて、さっさと寝たい。」

「じゃ、ご飯作るから、お風呂入ってきて〜。」

「もしかして...ずっと待ってたのか?」

「え?うん。だって一人だと寂しいじゃん。」

「なるほど...。ごめんね、これからも続くと思うけどね。」

「ううん。別にいいよ。」

「そうか...本当にごめんな...。」

「そんなに謝んないでよ。ほらほら、入ってきて!!」


そう、背中を押された。



現在、夜ご飯を食べ終わり、リビングでゆったりしている。というか黄昏ている。


考えているが、あまりまとまらず、たそがれている。


考えているのは、僕の中にいた、能力をもらったことで、できた別の人格。いおり。彼は僕の中で、不安定の中、必死に生きている。


自分にははっきり言って、何もわかっていない。きっと、不安定でも、これから順応していく...と思う。でも...きっと、そんなことはないんだと思う。


「“結構居心地がいい”ねぇ...。」


僕の体の命の椅子は一つしかない。今は窮屈だが、一つの椅子に二人座っている状態なんだろう。きっと、どちらかがどちらかを落とせば、落ちた方が消えるだろう。


『...な〜に考えてるんですか...』

『いや、なんか不安になってなぁ。』

『そんなにですか...?』

『だって、僕消えるかもしれないじゃないですか。』

『あの時の願いを叶えたらいいじゃないですか?なんだっけ...あの...“君の体を作ってあげる”...でしたっけ。』

『いやいや...できないでしょ。そもそも体を作るって...。』

『できます。』

『なんでそんなに自信ありげなの...。』

『覚えていますか...、“ブライナー”という組織を。』

『うん。覚えてない。』


今日は色々戦ったりしたからなぁ。覚えてないのも当然と言える。


『異臓や、キメラなどの研究をしている組織です。』

『それがなんで、体を作るにつながるのさ。』

『察しが悪いですね。いおりさんの魂を、もう魂のない人に埋め込めばいいんですよ。』

『...は?』


と、素っ頓狂な反応をしてしまった。

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