#14 帰

 一人で、座って黄昏ていた。泣いたあとはこんなふうに一人で物思いにふけるのが癖になっている。


「...おかしいな。もう泣かないって決めたのにな。」



「もう大丈夫か...?」


 そんな声が僕一人だけの取り調べ室に響く。


「うぁ...あ...あぁ...はい...大丈夫です。」

「そ...そうか...?」


 困惑している顔で背中をさすってくれる海斗かいとさん。


「…本当にもう大丈夫です。」


 そう言って立ち上がる。


「お...おぉ。そうか、すまんな...。」

「...すいません。」


 そうして、僕は外で夜空を仰ぐ。夜空は輝かしい星が瞬いていた。



「どうだ?今から飯でも。」


 帰りの車を運転してもらっている時、そんな誘いがきた。


「いや、大丈夫です。妹がご飯を作って待っているので。」


 ちなみに本当だ。先程、ご飯を家で食べるという旨を妹に伝えた。既読はもうついているので、すでに作っているだろう。


「そうか...別に遠慮してるわけでもなさそうだから、あまりしつこくは言わないが...。」


 そう言って、黙々と運転を続ける海斗かいとさん。鏡越しに見えた顔は悲しそうな目をしていた。



「ここら辺か?」

「えーと、ここを左折です。」

「わかった。次は?」

「ここを右折してすぐです。」

「はい。...ここか?」

「はいそうです...。ありがとうございました。」

「こちらこそ。」


 そう言われ、車から降りた。お金も払っていないが、海斗かいとさんの優しさなので甘えることにする。

 発進する前に一礼して、動いたら、手を振ってお別れをした。



「ただいま〜。」

「おかえり〜。遅かったねぇ。」

「え?そんなにかな?」

「連絡してから、40分もかかっているよ?だいぶ待ちくたびれちゃった。」

「ごめんね。...あ、ご飯できてる?」

「うん。できてるよ。」

「今日の献立は〜...」


 そんな会話をしながら、さっきの事柄を思い出す。明日は、フラッターに行くが...そのあとには、なぎさ先輩の機械を回収するか...。


「どう?美味しい?」

「うん、美味しいよ。本当に手作りなのか疑うレベルだ。」

「うーん。褒め言葉?」

「一応はそうだね、褒め言葉だね。」

「一応ってなに?」

「いや、何でもないよ。」


 そんな時。


『あんなのでよかったんですか?もっと何か情報を聞き出せばよかったのに。』


 そんなことを聞いてくるリンセ。その問いに僕は…


『もうほとんど聴けることは聞いたし、もう話させるのも酷でしょ。』

『そうですかねぇ。もっと聴けることはあったと思うんですが...。』

『...例えば?』

『“何で能力を持っていない人が能力者を殲滅しようとしているのか”とか、“お前はそこまでして逃したのか”とか。』

『そんな性格が悪いことを言う性分ではないもんで。』

『まぁ、別に変によくわかんないこと聞いて、状況が悪くなることがなかったので、結果としてはいいんじゃないですか?』

『何様なんだ...。』

『神様です。』


 そんなつまんないことを言うリンセの声は、なんとなく、少しだけ、恐れているような声だった。

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