第6話
僕と玲奈は一緒に帰った。部室の鍵を閉めて、校舎の外に出る。今日だけ付き合っているのかと僕は思った。せっかくならこのまま恋人同士になりたかったのだけど。でもそんなにうまくはいかないかと僕は思った。
「今日はなんだか新鮮だった」と玲奈は言った。
まぁ玲奈がよかったならいいかと思った。
「僕はさ、今まで彼女がいたことはないんだよ」
「そうでしょうね」
「だからさ、ああいうことをしたのであれば付き合ったほうがいいんじゃないかと思うんだけど」
「あんたは真面目すぎるのよ。いいじゃない。友達同士で」
玲奈はそう言って、空を見上げた。まばらに星が輝いていた。近くには公園があり、街灯の光が見えた。
僕は今日の出来事をいつまでも覚えておこうと思った。こんな経験はなかなかできるものじゃない。玲奈は姉がうらやましいみたいだが、玲奈だって十分に魅力的だった。
放課後の文芸部 @kurokurokurom
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