第5話

 部室の中は静かだった。外はもうじき日が沈もうとしている。玲奈と僕は部室のソファで体を寄せ合っていた。僕はなんだか不思議な気持ちだった。女性とこんな風に過ごすのは初めての経験だったのだ。

「私には姉がいるんだけどね、小さいころから勉強ができて、スポーツも得意で、私は姉がうらやましかったの。姉はきっと素敵な人と付き合うんだろうなと思っていた。でもね、今は私でよかったと思う。きっと姉に生まれていたら、あんたとこんなことはしなかったから」

 玲奈はそう言って大きく息を吐いた。

「確認だけどさ、僕らは今付き合っているってことでいいの? 僕は玲奈が好きだからさ、もちろん付き合いたいんだけど」

「そうねえ」

 玲奈は天井をじっと見つめる。

「今日だけ付き合っている感じでいいんじゃないかしら?」


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