第4話

 僕は玲奈の胸をもみながら、彼女の唇にキスをしていた。窓の外は暗く青い世界になっていた。彼女の体温を肌で感じ、人はこんなにも温かいのだなとしる。近づいた顔の皮膚の奥に血管があることがわかる。彼女の髪からシャンプーのいい匂いがして、着ている服も洗剤の香りがした。

 僕は玲奈のことを抱きしめ、そして僕らは自然に離れた。

「ずっと好きだったの」と玲奈は言った。

「僕のことが?」

 僕は身長も顔も平凡だし、もてる要素はほとんどないと思っていた。

「あんたといると安心できるの」

 玲奈は髪をかき上げた。

「僕も玲奈といると楽しいよ」

 僕は彼女の目をじっと見つめた。彼女の目力は強く、僕は視線をそらした。

「啓介ってなんか変わってるよね」

 僕はそう言われて悪い気はしなかった。でもなんだか玲奈とは親密になりすぎたせいで、どこか幼馴染のような感覚がしてしまい、まさかこんなことをする関係になるとはと思った。

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