共鳴

 季節ごとの美しさがあります。

 お祭りのような賑やかさもいいですが、静かさのなかで、移ろう季節の情景にひたるのも味わい深いものがあります。


 今回ご紹介するのは、春夏秋冬、それぞれの季節をあらわしたものです。

 動と静が調和して、季節に深みを与えているのが素晴らしいと思います。



✢✢✢



ひさかたの 光のどけき 春の日に 静心しづごころなく 花の散るらむ

 /紀友則


閑さや岩にしみ入る蝉の声

 /松尾芭蕉


この明るさのなかへ

ひとつの素朴な琴をおけば

秋の美しさに耐えかねて

琴はしづかに鳴りいだすだらう

 /八木重吉


太郎を眠らせ、太郎の屋根に雪ふりつむ。

次郎を眠らせ、次郎の屋根に雪ふりつむ。

 /三好達治



✢✢✢



 詩人の松下育男さんは、ツイッターでこうつぶやいています。


 もう

 だれにも伝わらなくてもかまわないから

 真に書きたいことを

 自分のために書いてみよう


 そんな詩

 こそが

 然るべき人の胸に

 伝わってゆくのだろう



 季節に共鳴するように、ただ自分のために書いたものが、自然発生的に誰かの心に響き、震え、感動を呼び起こしたら。

「あなたの作品に出会えて良かった」

 そう言ってくれる読者と出会えたなら、書き手としてとても幸せなことですね。


  • Xで共有
  • Facebookで共有
  • はてなブックマークでブックマーク

作者を応援しよう!

ハートをクリックで、簡単に応援の気持ちを伝えられます。(ログインが必要です)

応援したユーザー

応援すると応援コメントも書けます

青く、蒼すぎず、高くふかく 遊井そわ香 @mika25

★で称える

この小説が面白かったら★をつけてください。おすすめレビューも書けます。

カクヨムを、もっと楽しもう

この小説のおすすめレビューを見る

この小説のタグ