シリアルはメイドさんに好評です


 宮殿では『シリアル』なんて物が評判になっています。

 お母様がはまったようで、時々、朝食にお食べになっているのです。

 その上、おばあ様も、時々、朝食にお食べに……


 コーン・フレーク製造法は、1894年にアメリカで特許がとられています――ウィキペディアより――が、この世界では影も形もありませんでした。

 お母様のお勧めで、『岩倉姫宮雪乃』で特許を取ってしまいました。

 異議はなかったですね。


 1894年の特許ですので、この世界でも製造可能なのですね♪

 そして、おばあ様、お母様、私の三者で株主となり、『ミズホ・シリアル食品』という小さい会社を設立、製造販売を始めたのです。

 ちゃんとビタミン対策も立てていますよ。


 原料のトウモロコシは水を大量に必要とする植物、帝国の南、雨がよく降る場所で栽培されています。

 ほとんどは家畜の飼料や、コーン油、食用にはほとんど使用していません。


 商品が市場に出るまで、今暫く時間が掛るでしょうから、当分はお手製のコーン・フレークなのですね。


 ウェブに作り方が載っており簡単ですね♪

 コーンミルというトウモロコシの粉を利用、水で練り上げれば、さらに安く作ることができます。


 まぁ時間がかかりますが、夏場なら一発で乾燥するようですね。

 これを作り置きしておいて、忙しいときなど、砂糖を振りかけ、フルーツを刻んで入れ、ミルクをかけて食べる……


 お母様にお渡ししたレシピに基づいて、女官さんが作ったようです。

 それなりの物ですが、案外に美味しく出来たようで、先ほど云ったように評判になっているのです。


 勿論、『ミズホ・シリアル食品』の商品ほどの物ではありませんので、このレシピの使用に対して、目くじらなんて立てませんよ。

 ただ、このレシビの大規模な営利利用は、私の取った特許に触れる、そのように規定されています。


 イマイチ、帝国の特許法は分からないのですが、これは特許を扱ってくれた弁理士さんの勧めに従ったのです。

 この弁理士さん、宮廷の弁護士からの紹介で大変有能な方、帝国以外にも、王国や共和国でも特許を取ってくださりました。

 私のペニシリンの特許も、この方がとってくださったのですよ♪


 コーンミルとの絡みは大丈夫なのか、心配でしたが、製造法ですから大丈夫との返事でしたね。


 手数料?膨大に余っている私宛の下賜金から支払われたのですね♪


 後日談ですが、この会社からの配当、結構あるのですね……

 特に私には、特許使用料が上乗せされていますので……


「雪乃様、シリアル、いかがですか♪」

 この頃、宮殿ではやっているのを、我が家のメイドさんが耳にして、さっそくお手軽コーン・フレークを作られたのです。

 そして、皆で朝食として食べているのです。


 今は七月の十八日、朝から日差しが熱く、食欲もあまりなく、この冷たいミルクを掛けたシリアルは口に合います。


「美味しいですね♪乾燥イチジクを切り刻んで入れたのですね♪」 

「お上手に作られたのですね、難しかったですか?」  


「いえ、コーンミルを使えば、案外手軽に作れました、お安く出来ます♪」

 安くて手軽で美味しいのですから、文句なしです!


 以来、我が家の四人のメイドさん、忙しい朝の朝食として、重宝されておられるようです。

 

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