王女殿下?


 さて、おめかしされて……宮殿へ……

 女官さんに案内されて……部屋に入ると、お兄様並のイケメンが皇后様とおられます。

 皇太子殿下のようです。


 さて、カテーシーをしてと……

「皇后陛下、朝比奈雪乃でございます」

 この場合、私の方からご挨拶せよと、申し渡されておりますしね。


「ご苦労様、こちらが息子の皇太子よ」

「皇太子殿下、朝比奈雪乃でございます」

 品のいい会釈をして下さりました。

 好感度、抜群ですね。


 この後、色々お話をし、頃合いか、皇太子様はご退席です。


「さて、雪乃さん、お茶でもいかが?」

「ありがとうございます、頂きます」


 で美味しいお茶を頂いています。

 フルーツティーですね。

「シトラスとアップルのお茶ですね、美味しいですわ♪」

 皇后様、クスリと笑われ、小さい声で、

「雪乃さんなら美味しいお茶ぐらい、いつでも飲めるのでは?」


 お返事に困っていると、

「親王殿下、おなりです」

「二人目ね」

 皇后様がおっしゃいました。


「親王殿下、朝比奈雪乃でございます」

 優雅にカテーシーをと……


 ちらっと私を見た親王殿下、真っ赤な顔をして、

「あぁ、こちらこそ宜しく」

 なんていうのですよ。


 親王殿下、うつむいたままで、私を見ないのです。

 仕方無いので、皇后様が、色々話しを振るのですが、「そうです」、「はい」、とかばかり……

 話しが弾まないこと……


 ただ、ロジックパズルの話しをすると、生き生きされましたね。

 モンティ・ホール問題とか、川渡り問題とか……

 少しばかりおかしくて……すこし笑ったようです。


 皇后様が、とうとう、

「ご苦労様」

 といって、退席させました。


「雪乃さん、ごめんなさいね、あの子は場の雰囲気を壊すことばかりで……」

「いえ、楽しいお話でしたわ、殿方って、お好きなお話をすれば、生き生きと話されると知りました」


「ところで、私の息子はあの二人、どちらかの皇子を選ぶことになるのだけど、どちらがいい?といっても愚問よね、下の子はね……」

「親王殿下ではいけませんか?」


「えっ、いいの、訳を聞いてもいい?」


「親王殿下はお優しそうで、私たちを大事にしてくれそうで……」

「私たち?」

「私とお友達のことです、洋子様は私が選ぶ方のお妾にとおっしゃってくださいました」


「そうね……お友達は側室でも……いいわ……」

「幼い貴女には悪いと思っているわ、嵌めたようでね」

「仕方の無いことです……この世界の女の習いと理解しました」


「それより私で良いのでしょうか?皇太子殿下も親王殿下も素っ気なかったですが?」

「二人とも、貴女を気に入ったようよ、母親ですもの、それぐらい分かるわ」


「本当はね、親王を選んでくれて嬉しかったわ、あの子、奥手で……娘さんに言うのもナンですけど、筆卸を嫌がり、兄が無理にその手の女のところに連れ込んだのよ……」

「だからね、淡白と思うわ……」


「ほんとうにナンですね」

「まぁね、神様のお使いのような聖女様ですからね、女としてあけすけな話しをしてもいいでしょう」

  

 で、皇后様はあけすけにおっしゃったのですよ。

「妾の事だけど、構わないわよ、ただね、裏切らないとの証を立ててくれない?」


「はぁ?」


「『王女』になって欲しいのよ」


 説明されたことを要約すると、『王女』とは皇帝の養女となった者の中でも、帝室一族の誰かに輿入れする娘の事だそうで、女王殿下と同じ待遇、皇帝の一族の末席に連なることになるそうです。


 もう王女なんかになると、絶対に逃げられない……私の伴侶は皇帝の一族であると、皇帝が宣言するわけです。

 しかも、過去40年はだれもなったことがないようです。


 皇后様の迫力たるや、おそろしい物があり、小娘の私は首をたてに振りました。

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