第5話
あれから月日は流れ
特に変化もない日々が過ぎていた
隣の木が生い茂りこちらに傾れ込んできている
おかげで玄関が影になり真っ暗だ
気になりはするがどうにもできず
何も言えなかった
ある時
神宮で表札を作ったので掛け替えた
何となく晴れやかな気分になった
その時
玄関が明るければ
隣のあの木さえなければ
そんな独り言を小さく呟いた
翌日
何故か大木は職人によって切られていた
晴れやかな玄関となった
神宮で作った表札が自分の居場所として
ふさわしくするために仕向けたのだと思う
いつの間にか駐車場と庭を手に入れる気持ちが薄らいでいたが
見通しが良くなった事で再び気持ちが膨らんできた
夢は具体的に思うほど叶うものだ
こちらの希望としては5年後に話を進めたい
それに向けて青写真を描いておこう
それは悪い心だろうか
そうではない気がしてきた
隣は家を手放す運命なのだ
そして私は手に入れる運命なのだから
止まらない悪い心 @ladyportia
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