第14話 クックとメイク

 実は、見取り図を書いてもらった後に、クックは手紙も書いてくれていた。

 ただ、この手紙は王国の料理人に会った時に渡して欲しいと言われていた為、封を開けずに取っておいたのだ。

 料理人が手紙を読む。

 手紙には、以下のことが書かれていた。


「お久しぶりです。 皆は元気ですか? 私は、自分のやりたいことに挑戦する喜びを感じております。 私のことはさておき、そこに居ます2人は私の知り合いです。 2人は、重要な目的を持ってここまで来てくれました。盗まれた国宝品の剣を取り返し、わざわざ返しに来てくれたのです。感謝をすることはあっても、無礼な態度をとることは許しません。 どうか、2人の手助けをしてあげて下さい。 元王国料理長 クック」


「あなた達は、クックさんと知り合いだったのか?」


「そうです。」


 料理人は受け入れることが出来ず、困惑していた。

 一方のカイル達も、クックが料理人とは聞いていたが、料理長だったことに驚く。

 料理人が帽子を脱いで、話しかける。


「無礼な態度をとってしまい、申し訳ありませんでした。」


「謝るのはやめてください。あのような状況でしたから、仕方がないですよ。怪しかったのは自分達ですから、分かっていただけただけで嬉しいです。」


「そのように言って頂けると、ありがたいです。改めて、ご挨拶をさせて下さい。私は、現王国料理長でメイクと申します。」


「僕は、カイルです。」 


「タイロンだ。」


 2人はメイクと挨拶をすることが出来た。


「あのメイクさん、他の料理人の方達は、どちらに?」


「本日の作業は終えておりまして、ここには居ません。私は、新しいメニューを考えておりましたので、こちらに残っておりました。」


「なるほど、そうでしたか。あの、これからのことなんですが、今から僕らは国王様にお会いできればと考えております。力になってくれませんか?」


 カイルは、気になっていることを質問した。

 

「クックさんからも頼まれましたので、もちろんです。ここを出て、見回りの警備を引き寄せることくらいは、私にも出来るでしょう。」


「ありがとうございます。それにしても、王国の料理長って凄いですね!」


「私はクックさんに比べれば、まだまだです。失敗ばかりですから。それでも、いずれはクックさんを越えたいと思っています!」


「メイクさんなら出来ると思います。僕たちも、応援します!」


「ありがとうございます。頑張ります。そろそろ、行きましょうか?」


 メイクの言葉にカイル達は頷くと、調理場を出る。

 城の中も大きかった。

 絨毯に絵画など、目に写るもの全てが高価な物に見えた。

 静かに歩いて、音がしないように気を付ける。

 メイクが、立ち止まる。 


「私が、兵を引き付けますのでその隙に、あちらに見える階段を上がってください。行きますよ!」


 メイクは、合図を出した。

 歩いて警備の元に近づいて行く。

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