第15話 王国の階段

「ご苦労様です。どうですか最近の調子は?」


「どうもこうもねぇよ。剣が盗まれてから、警備が強化されてしまったから、ほとんど休めてねぇんだよ!」


 メイクは、明るいトーンで話しかける。

 兵も興味を持っているようだ。


「それは、大変ですね…… 良かったら、これでも食べて下さい!」


 メイクは、飴玉を差し出す。

 手作りの様だ。

 透明な紙に包まれており、綺麗な色をしているのが分かる。


「ありがとうよ! でも、今は勤務中だからな……休憩の時にでも、食べさせてもらうぜ!」


 兵がポケットに飴玉をしまおうとした時、メイクが合図をした。

 急いで階段まで向かう。

 カイル達は、メイクに軽く頭を下げた。


 階段を上がると、更に上に続く階段があった。


「まだ、上があるんだね。ここには何があるんだろう?」


「さぁ、分からないが行くべき場所は恐らく上だな!」


 カイル達が階段を上がろうとした時、慌てた様子で女性がやってきた。


「すみません! もしかして、あなた方は国宝品である剣を返しに来てくださった方達ですか?」


「そうですが。どうして分かったのですか?」


「剣が盗まれてしまってから、城に来る者の目的と身分を把握することが、決められているのです。それに、剣が盗まれたことはこの辺りの者であれば、知っているはずです。警備が厳重になった中で危険を承知でここまで来てくださった。……用のない者はここまで来ないでしょう!」


「そこまで、分かっていたのですか。ところで、あなたは?」


「私は、この国の王女ミーナです。」


「王女様!」


 カイルとタイロンは、驚いた表情で声に出した。

 王女は、カイルが背中に隠している剣が気になるようだ。


「あなたが、背中に隠しているものが王国の剣ですか?」


 ダグラスに貰った剣ではなく、隠してあった剣に注目する。


「そうです! こちらになります……」


 カイルが背中の剣に手を置き、渡そうとする。

 しかし、王女はカイルの手を止めた。


「せっかく、ここまで持ってきたんです…… この国の王に直接会って、返されてはいかがでしょう?」


 王女なりの気遣いだった。

 カイルと、タイロンはその意図をくんで、二つ返事で了承する。


「ありがとうございます! ご厚意に感謝します!」


 王女はニコッと笑うと、階段の方へと歩き始める。

 カイルと、タイロンは話をする。


「俺は王様なんて、これまで会ったことなんて無いから、どうすれば良いか分からねぇな!」


「僕もだよ。それにこんな機会なんて滅多にないから緊張するね。」


 そんなことを話しながら、階段を上がっていった。

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