第2話
-朝-
はぁ、学校行くの憂鬱だな…。今日も誰とも話さずに、終わるんだろうな。教室に入れば全然誰も話しかけてくれないし…。
「林檎ー?朝よー?起きてるー?」
「今行くー」
いい加減、高校生にまでなってお母さんに起こしてもらわなくてもいいのに、、。
「おい、早く起きろ。クソ姉貴。」
はぁ、またかよ…。そう、今、私のことをクソ姉貴といったのは私の弟である拓真のことである。中学2年生。中学デビューが上手くいったとかなんとかで女子にはモテるらしい。確かにイケメンだけど…。
「林檎ー、あんたもいい加減彼氏作んなさいよ?ねぇ、お父さん。」
「別に林檎のペースでいいんじゃないか?高校生になったら彼氏を作らなきゃいけないなんていう決まりはないんだし。」
「そうだけど、、。ママは早く彼氏連れてきて欲しいな〜」
朝からいっつもこれだよ、、、。彼氏ができるならとっくにできてるよ!
「こんなやつに彼氏ができる訳ねーだろ。すんげーガサツだし、でかいしwww」
「こら!拓真!そんなこと言ってないで、早く学校行きなさい!」
「はいはい、。まあ、姉ちゃんもせいぜい高校生活楽しんだら?いつも死んだような顔して帰ってくるけど?www」
言われなくてもわかってるつーの!
「じゃあ行ってきマース」
ああああああああぁぁぁ!だるいだるい
なんでこんなにも楽しくないわけ?!?!
行きたくないなーーーー。そういえば、今日は転校生が来るんだっけ?入学して1週間後に転入とかあんまり聞いたことないけど、どんな子なんだろう、、?
そんなことを考えていると、、
(ゴフッ)
いったぁぁ!なんか固いものぶつかったんだけど?!
「あ、ごめんね!」
「あぁ、原くんかー!全然大丈夫!」
「ほんとにごめんな。ってか、おはよう!」
「あ、あ、うん。おはよう。」
って、ええええええええ?!?!
なんかクラスでボッチの暗ーい私が、あの、生徒会書記長である、みんなのヒーローである、原隼人くんに声をかけられたの?
ひぇぇぇぇ!ファンのみんなに殺されるんじゃね?いやいや、いっそのこと、早く殺された方がいいんじゃね?
「おーい?大丈夫?朝から元気ないけど…。もしよかったら俺に相談してな?」
「えぇ?あ、うん。ありがとう。でも、なんでもないよ😇全然平気。」
うぎゃぁぁぁぁああああ!なんかめっちゃテンパっちゃった( ´ • ω • ` )
ちょっと怖い見た目だけど、顔はいいんだよね、、。キリッとした眉毛と目がかっこいいんだよな、、。髪は黒髪で、ちょっと色素が濃い感じだけど、それが良いっていう女子もいるんだよね〜。私も一瞬、ドキッとしたことがあるけど…(そんなことは口が裂けても言えない🥶)
(ガラガラ)
---シーン---
はぁ、やっぱりこうなるよね…。
「武井、おはよう!」
え?また原くん?
「ほら、みんなも挨拶しろよ!クラスメイトだぞ?」
「お、おう。おはよう、武井!」
「武井さん、おはよう!」
「林檎ちゃんおっはー!」
ええ?みんなが私に挨拶してくれた?え?嘘でしょ?!原くんの一言でみんながこんなにも変わるなんて、、。ただ、ある1グループを除いてはの話だけど……。
「は?意味わかんねー😇」
「ゴリラが入ってきただけやんwwwゴリラに挨拶?!www笑わせんなよっwww」
「それなwwwおい、原ー、ゴリラに挨拶なんて、いくら生徒会委員でもしなくていいんじゃねーの?なぁ?みんな?」
--シーン--
ああ、まただよ。私のことゴリラって言った人達。そのグループはクラスのカースト制度でいう1軍?の人達である。その中でグループを仕切っているのは、大手食品メーカーである田倉食品グループの兄弟会社である川倉食品グループの令嬢の、川倉理香子である。生徒会副会長の田倉先輩の許嫁?とかなんとかでこの人も幼稚園から来た1人である。しかし、生徒会会長である蔵田先輩のことを密かに好きである、という噂も絶えない。身長は165cmぐらいだが、細くて、モデルみたいだ。いや、正確に言うと、モデルの仕事もしている。顔も小さく、大きな目に、西洋人のような金髪がかったサラサラストレートである。頭も良く、スポーツはもちろん、茶道、華道や日本舞踊などのあらゆる部門で賞をとるなど、まさに鬼才の川倉である。そんな川倉理香子になぜ私が目をつけられたのかといえば、これといった理由はない。だが、身長が165cmという女子は割と少なく、ましてや手足が長くて、スタイルが良い、となると学年でどこを探してもそんな女子はいないだろう。しかし、身長169cmの私が高校で翔翼学園に入ったとすると、なんか気に入らないのだろう。だから私のことをゴリラと呼んだりするのかもしれない。そんな理香子に逆らえるのは1人たりともいないため、理香子の言うことは絶対服従という風潮がある。つまり、理香子グループが私のことをゴリラと呼べば、クラスみんなもゴリラと呼ぶ、ということになる。こんな沈黙を早く破ってくれる人はいないのか?そう思った時に救世主が来た。
(ガラガラ)
担任の先生である祖師ヶ谷圭介が入ると同時に、例の転校生が入ってきた。
「えー、諸事情により、入学式から1週間経った今日、この1年C組に入ることになった、竹崎絵美さんです。」
「あー、皆さんこんにちは。初めまして。竹崎絵美です。前の学校ではスケバンでした。タバコも吸ったりしてました。少年院に入るスレスレで生活してました。なんですけど、ある事情により、竹崎建設の養子となることになり、この翔翼学園に入ることになりました。皆さん仲良くしてくれると嬉しいです。ちなみに、カツアゲ、いじめなどを見つけた場合は容赦なく加害者を排除し、平和なクラスにしていきたいと思います。夜露死苦。」
----シーン----
「えー、ちょっと独特な自己紹介でしたね。以上、竹崎絵美さんでした。じゃあ、竹崎さんは武井林檎さんの隣に座ってくださいね😅」
「うっす。」
ひえええええ!とんでもない野郎がきたじゃねーか!?!?ちなみに竹崎建設というのは、国を動かす金融機関である蔵田家と同盟を組む大手建設会社である。いやいやいや、いきなり建設会社の娘がこの学校に来る?おかしくない?!しかも隣だよ!?これからどうしy
「あー、武井林檎ってあんたのこと?夜露死苦。」
「え、あ、うん!よろしくお願いします…」
と、ここで原くんの登場
「竹崎さん、よろしくね!同じクラスの原隼人です。生徒会書記長やってます!いいクラスにしましょう。」
「あー、確かにいいクラスにしようとは言ったけど、みんなと仲良くするとは一言も言ってない。アタシはただ単にいじめとか、そういう類のものが大嫌いなだけだよ。」
いやいやいや怖い怖い🥶いきなりホームランみたいな言葉飛んできたけど大丈夫そ?わたしやってけんの?
「そんなこというなよ!!仲良くしようぜ!」
そう言って原くんは手を差し伸べた。
「ふんっ。あんたと仲良くするつもりないって言ってんだろ。しつけーな!」
すると、理香子がいった。
「ちょっとー、原くん?そんなクソ女に手なんか差し伸べてどうしちゃったのよ?お人好しにも過ぎると思うんですけどwwwねぇ?みんな?」
-シーン-
まただよこの沈黙。原くんはそれっきり黙ってしまった。一様、理香子が田倉先輩と関わりがあるだけに、原くんは何も言えない。だが、密かに拳を震わせているのを私は見逃さなかった。
「はぁー、こんなことならわざわざ翔翼学園に入学しなきゃよかったよ。このクラスにもやっぱりいるんだな、川倉さんだっけ?いくらお金持ちかなんだから知らないけど、大きな態度は良くないと思うよ。一様私も、養子にしても、竹崎建設の娘だかんね?」
「ふんっ。結局あんたも竹崎建設の後ろ盾って訳?悪いけど建設会社と食品グループの会社の大きさの規模の違いわかる?一緒にしないでもらってもいい?w」
「ふぅー!理香子ってばその調子!」
「さすが、理香子!元スケバンにも屈せずすごいね!www」
「こらこら、。そんなこと言ってはいけないよ、。」
と、言ったのは担任の祖師ヶ谷先生である。いくら先生でも、やはりお金持ちには頭が上がらない様だ。
(キーンコーンカーンコーン)
「ちょっとあんた!さっきは朝礼中だったから抑えてあげたけど、今度は容赦しないわよ?私に一度でも逆らってみなさい。とんでもないことが起きるかもよ?あなたのパパの会社だって…生き残っていけるかしら?www」
「あんたの安い挑発にはもう飽きたよ。ちょっと寝たいからあっち行っててもらえない?じゃないと、あんたもどうなるかわかんないわよ?使い物にならないぐらい再生不可能な体になるかもね?気をつけなさいw。」
「ちっ、行きましょ!」
うへー怖え!いやいやいやこの会話を隣で聞いてる私の身にもなってみてよ!みんな耐えられないわよ!!!!!
それからというもの、1限から4限の間で、特にこれといった事件はなく、平和に終わった。だがしかし、平和な時間はあっという間に終わりを告げることになった。
ーーーー昼休みーーーー
私は昼ごはんを食べる時、屋上に行く。学園ドラマのように、カップルがたくさんいるものかと思ったが、そもそも屋上には立ち入り禁止となっており誰も入ることが出来ないみたいだ。それなのになんで私が入れるかって?それは原君のおかげ?と言えば大方は正解になるだろう。
ーーーー数日前ーーーー
昼ごはんどこで食べよう、、。教室には理香子達がいて居心地が悪いし、一緒に食べる子もいないし、部活にも入ってないから部室うを使うこともできない。屋上はどうだろうか?鍵とか開いてないのかなー?とりあえず行ってみよう!って思って屋上に向かうと、例の生徒会メンバーがいた。おっと、見つかったらやばいぞ、って思って、瞬時に隠れた。
「わはははは!おまえってばほんとにおもしろいな!」
「おもしろいのは会長の方ですよ!」
「おい、隼人、お前も面白いと思うよな?w」
「ええ、もちろん!」
「っていうか、なんで宗次郎は休みなんだろうな?」
「さあ、どうしたんでしょうね、、?」
なにやらみんなで盛り上がってるみたいだし、また出直そうかな。と思っていると、
(チャリーン)
え?なんの音?
そこには屋上の鍵と思われるものが落ちていた。おっ、これはラッキー!ナイス原君!
と思って鍵を私が持っているという事になり、屋上でお昼ご飯を済ませている今にいたるのだった。
屋上は気持ちがいい。風は感じられるし、広いし、きれいだし。私の大好きな所となった。そう思っていると、、
「おい!お前なんでここにいるんだよ!」
そう言ったのは竹崎絵美だった。
「え?あ、いや、ってかなんであなたもここにいるの?鍵は私が持っていて、いつも鍵をかけているはずなのに、」
「ふーん。ここの鍵を管理しているのはあんたって訳か。」
あっ、しまった!おもわず言ってしまった!
「いやー、なんで私が持っているかというのは、、、」
「いいよ、大体分かってるし。賢士あたりが持ってた鍵をあんたが拾ったんだろ?」
え?いまこの子なんて言った?賢士あたりが持っていた?
「ちょっと!賢士あたりが持っていたってどういうこと?まさか生徒会長のこと?」
「そうだけど、、。なんであんたが生徒会長って分かったんだ?ああ、お前もあいつのファンか。」
「は?違いますけど?」
確かに生徒会長である蔵田賢士はすべてにおいてオール100点であるため、猛烈なファンも多いし、ストーカー行為までする生徒もいるみたいだ。だが、しかい、蔵田先輩と私の接点はないし、ファンだなんて誤解されちゃ困る。
「私は蔵田先輩とはなんにもないし、誤解しないでくれない?」
「へー、あんた結構言うね。武井林檎さん?」
うわっ、調子に乗りすぎた!この人めっちゃ怖いんだった!
「あんたのこと気に入ったよ。いままでアタシと仲良かった人はいたけど、あんたみたいに反抗してくるやつは初めてだ。」
ひええええええええ、殺される!って思ったけど予想外な答えが返ってきてびっくりした。わたしも少しは勇気を出してみよう!と思い、とんでもないことを言ってしまった。
「あ、あの、私と友達になってくれませんか?」
ーーーーシーンーーーー
え?反応なし?なんかすべった気分。どうしよう、すごいこ言ってしまった。
「べつに友達とかっていうガラじゃないけど、あんたのことには害を加えないようにするし、まあ上手く言えないけど、よろしく。」
と言って手を差し伸べてくれた。以外といい子なのかもしれない、、。
(キーンコーンカーンコーン)
「あっ、チャイム鳴っちゃた、、。ごめん」
「べつにあんたのせいじゃないから。アタシも長々と喋っちまったし、悪かったよ」
「じゃあ一緒に教室まで帰らない?」
「え?あー、それでもいいけど、そうすると、あんたも嫌われるよ」
「どうして?」
「どうしてって言われるも何も、第一私は嫌われてる。嫌われ者と一緒にいる人も嫌われるのがこの世の中だ。アタシと一緒にいたらあんたも嫌われるよ。」
と言って、行ってしまった。いい子には違いないけどいらない殻をかぶっている気がする。というかツンデレ?的な子なのかもしれない。
(ガラガラガラ)
コソコソ、コソコソ
ん?なんかみんなコソコソしてね?そう思っていると、、、、、、、
「あれれれれ、やっぱり嫌われ者同士はくっつくんだなwww」
「それなwwwwwww」
え?なんで知ってるの?って思ったけど、さっき大胆な行動を取っただけに悪口を言われたのにも関わらず、痛くも痒くもない。
それから私も絵美ちゃんも何を言われても動じなかったため、この日はなんかいろいろあったようで無かった日だと思った。しかし、この日を境に私の高校生活が狂うこととなると誰が予想しただろうか。
ーーー放課後ーーー
「武井さんさ、ちょっと良いかな?」
そう言ったのは原くんだった。
「え?いいけど。」
原くんとよく関わった1日ではあったと思うが、まさか呼び出しまでされるとは、、。原くん恐るべし。
「ちょっと、屋上で話せないかな?」
「わかった。」
「あのさ、武井さんさ、屋上の鍵持ってるよね?」
ええええええええ!まさかバレてたなんて!え、え、どうしよう・・・。
「ああ、全然それはいいんだ!あの鍵はもともとあっても無くても、そんなに困らないものだから、、。そのー、あのね、さっき竹崎さんと話してたよね?仲いいの?」
どうしてさっき、絵美ちゃんと話しているのを原くんが知っているのだろう?そうは思ったものの、それを言う勇気は無かった。(お昼休みの勇気はどこにいったんだろうか)
「うん、仲いいっていうか、私から一方的に友達になってほしいって言ったからな、、、、。なんて言ったらいいのかわかんないや。」
「そ、そうだよね。武井さんにも分からないよね。変なこと聞いてごめん!」
「えーと、もう話はいいのかな?」
「あ、あ、うん。もう大丈夫。」
「じゃあバイバイ!」
なんか原くんおかしくね?いつも堂々としてる優しい原くんがすんごいモジモジしてるんですけど・・・。そうは思ったが別れの挨拶をした以上、帰らないと気まずい気がして屋上を去ろうとしたとき、
「あ、あのさ!竹崎さんと撲も仲良くするにはどうしたらいいかな??」
屋上には夕日が差し込んでていて、原くんの顔はいまいち分からなかったが、それでも顔を赤くしていることは分かった。
「えっと、仲良くとはどういう・・・」
「いや、その、武井さんだから言うね!」
「あ、うん。」
「じつは、俺、竹崎さんに一目惚れしちゃったんだ。」
ん?ん?ん?いまなんて・・・?
「会ってすぐに一目惚れとかするのってすごく失礼かなって思ったんだけど、でもすごくタイプだったんだ!だから友達からちょっと始めてみたいなって思ったんだ。だから、武井さんに竹崎さんと仲良くする方法を聞こうと思ったんだ!」
「わかった。その原くんの恋、私に協力させて!」
心の中では思わぬ告白と自分の言った事に衝撃を受けている。だが、頭で考えるより先に口が動いてしまった。ああ、わたしは何を言ってしまったんだろうと思ったが、もう遅い。
「ほんとに?!ありがとう!じゃあまた明日ね!」
そう言って原くんは行ってしまった。このとき屋上のドアの近くに会長らしき人の影が見えたが、気のせいだと思って無視してしまった。
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