第51話 親バカなんです
ガトーは改めて話を切り出した。それは意外なものだった。
「シフォン、お前の気持ちは良くわかった。タルト達の反応は当然のものだ・・・私はシフォンが旅に出る事を・・・認める。」
当然の如く反対されると思っていたシフォンは目を丸くした。
「お父さま・・・それは、本当ですか?」
「父上!それは成りません!危険すぎます!」
「話しは途中だ・・・まあ、聞け・・・旅に出る事は認めるが条件が一つだけある・・・」
「お父さま、その条件とは?」
ガトーは立ち上がり指し示した。
「そこにおわす。ジェイド=オージェン卿が同行する事が条件だ!」
「な、何ですってぇ!」
シフォンは嫌な顔をする。
「んん!?聞いてない聞いてない・・・ちょ・まぁ・」
ジェイドは席を跳び出すとガトーに詰め寄った。
「ハハハハ・・・言ってませんからね。」
「いやいや、言ってませんからねじゃねーよ!そもそもなんのこっちゃって感じなんですけどー。」
「私の娘シフォンとあなたが旅に出ると言うことですが・・・」
「・・・・・・・・・断る!!」
ジェイドはもの凄く嫌な顔をしていた。
「こっちこそ願い下げよ!」シフォンも、もの凄く嫌な顔をしていた。
「ハハハハハ・・・この条件は絶対だ!シフォン!お前が旅に出たいのなら、まずはオージェン卿の説得からだ。」
「当主よ・・・人を勝手に巻き込まんでくれ・・・」
「何が悲しくてこんな人と旅をしなきゃならないのよ!」
「話しはここまでだ。シフォンよ・・・お前が本当に本気ならば、彼が同行することなど、些末な問題だ・・・お前の想いがその程度のものとは私は思いたくはない。」
ガトーは、シフォンを煽る様な言葉を残し広間を離れ様とした。それを追う様にジェイドも続く。
「ちょい待ちぃ!私の話しは終わってないぞ!大体だなぁ・・・」
「わかりましたから、私の書斎でゆっくり聞きますから。」
ガトーとジェイドが居なくなると、シフォン達兄妹の話し合いが始まる。
「父上は、ああは言ってるがお兄ちゃんは反対だぞ!シフォンは宮廷魔導士になるべきだ!」
スフレは少し考えると。
「私は、おじ様が一緒なら・・・行っても良いんじゃないかなぁ・・・」
「姉さま!あんな奴と一緒に行けって言うんですか!」
「結局、この間だって助けてくれたのはおじ様なんでしょ。おじ様が一緒ならユーワちゃんも簡単には手を出してこないでしょうから・・・」
「それはそうですけど・・・やっぱり受け入れられない・・・・・・」
「お兄ちゃんは、誰が一緒だろうと反対だからな。」
「シフォンちゃん・・・お父さまが認めて下さってるのよ・・・自分の感情を優先してそれを反故にしちゃうのはいかがなものかと思っちゃうな・・・」
「・・・理屈じゃないんです・・・あの人はダメなんです・・・」
ため息混じりにスフレは言った。
「お父さまじゃありませんけど・・・シフォンちゃんの想いってその程度だったのか・・・ちょっとガッカリだな・・・・・・もう少し良くお考えなさい。どうするべきか・・・・・・」
スフレもその場から去ってしまった。
「姉さま・・・」
「お兄ちゃんは兎に角、反対だから。」
「反対反対言う兄さま・・・嫌いです。」
「そ、そんな~・・・お兄ちゃんはシフォンの事を思ってだな・・・」
「兄さま嫌いです・・・でもー・・・わたしの事・・・応援してくれるなら・・・兄さまの事・・・大好きになっちゃうんだけどなぁ・・・」
「な・なんですと~・・・シフォンには嫌われたくない。でも賛成はできない・・・私はどうすれば良いのだ!」
「兄さまは、私の事を嫌いだから反対するのね・・・大好きだったのに・・・。」
「・・・わかった!わかった!お兄ちゃんはシフォンの味方だから!全面的に応援してやるよ!」
「だから兄さま・・・だーい好き。」
シフォンは兄の扱いを心得ていたのだった。
ガトーの書斎にて何やら一悶着ありそうな雰囲気が流れていた。
「今回の一件どう言う了見なのかなー・・・私はー君にー頼まれてー王宮に行ったはずなんだがなー・・・なんで罪人扱いされないといけないのかなー・・・おまけにーここに来たらー・・・寝耳に水の事まで押し付けられたんだが・・・」
「ハハハハハ・・・・・・こう言うのお好きでしょ・・・」
「うむ・・・悪くはない。」
「あなたなら、乗っかって下さると思っていましたから・・・」
「なんか面白そうだから乗っかってみた・・・で、何を企んでるのかねぇ・・・」
ガトーは神妙な面持ちで深々と頭を下げた。
「おいおい・・・いきなり何だよ。」
「あなた様にどうしても頼みたい事があるのです。」
「・・・悪いが断る!・・・君等と関わるのは今日でお終いにするつもりなんでね。他をあたってくれよ。」
「そこをなんとか・・・この事はオージェン卿あなたにしか頼めない事なのです。」
「まぁ、頭を上げなさいな・・・どうせ面倒事なんだろ・・・話しだけは聞こうじゃないか。」
「そう言って下さると思っていました・・・私はこう見えても・・・」
『親バカなんです。』
「うん、知ってる。」ジェイドは即答した。
ガトーは、苦笑いを浮かべるのだった。
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