第40話 一応の決着そして・・・
近衛騎士団と宮廷魔導士が合流し残る二体の魔族を討伐に成功していた。一応の決着がつき、戦いは終息した。魔導院のガトーとタルトも一息付いていた。
「やっと終わりましたね父上。」
「我々の仕事はこれからだぞタルト。戦後処理が大変だ。」
「そうですね。早速、被害の確認を急ぎましょう。」
「うちの被害はどれだけ出ているんだ・・・」
「・・・現時点で宮廷魔導士12名の死亡を確認しています。負傷者は多数。内、重篤者が5名。」
「・・・12名もか・・・申し訳ない事をした・・・」
「昨日の今日です。少ない時間で対策をとったのですから仕方が無いと思います・・・寧ろ、魔族を相手に12名しか被害を出さなかったと思うしかほかない。」
「そうもいかんさ・・・預かった子等を死なせてしまったのだから、責任は取らねばならない。」
「父上・・・」
「取り敢えず、最低限の警戒をする人員を残し、休息、帰宅させてやってくれ。」
「非番だった者に交代要員になってもらってますのでそれは問題ないです。こちらにも何名か来てもらうよう手配しておきました。」
「そうか・・・」
二人しか居ない魔導院に重い空気が流れるのだった。
◆◇◆
学院にも全魔族の撃退の一報が入り程なく生徒達の拘束は解除された。既に日は傾きかけていて、シフォンや一部の生徒が病院へと向かおうとしていた。
「ようやく解放か~僕達はもう少し校舎の片づけをしてから帰るとするよ~。」
「そうだな、出来るだけ早く復旧させないとな。にしても、貴様にしてはまともな事を言うな。」
「何だい、まるで何時もはまともじゃないみたいに言うなぁ・・普段からまともだろ~。」
「リチャード先輩はまともじゃないでしょ。」
「リョーコ君。そりゃないよ~。」
周囲から笑いが漏れる。
「では、皆さん我々はこの辺で失礼させてもらいます。」
武術科の生徒たちは校舎の方へ去って行った。魔導科の生徒は帰宅する者と病院に行く者と別れた。
「先輩方、私も失礼させて貰いますよ。今日の事を色々とまとめたいものでね。」
「リョーコさん。今日はありがとう、助かりました。」
「こちらこそありがとうございました。では・・・」
リョーコや他の生徒達が帰宅していく。
そんな中、シフォンは、辺りを気にしていた。
「ユーワさんとシチー君の姿が見えないのですけども・・・・」
すると、ダイナが答えた。
「ああ、あいつらなら二人でヨロシクやってるよ。俺があいつらを待っているから先に病院に行っててもいいぜ。後で追いつくから。」
「・・・ユーワさんとお話ししたっかたのですけども・・・ちょっとキツく言ってしまったから、謝りたいのですが・・・」
「いつ来るか分からないし、待ってたら日が暮れちまう。」
「でも・・・ユーワさん気を落としていらしたから・・・」
「大丈夫。直ぐ追いつくって!」
「ダイナクン、ワタシモノコロウカ?」
「シルクさんも先に行ってていいよ。」
シフォンは気にはなったものの、ここはダイナに任せる事にしてしまった。
「じゃあ、二人の事、お願いねダイナ君。」
「あぁ、任せとけって!」
シフォンと数名の生徒達は、病院へと向かった。
ダイナはユーワとシチーを校舎の前で待っていた。
暫くすると、二人が屋上から降りて来るのが見えた。
「お~い!二人とも遅いぞ!みんな先に行っちまったぞ!」
二人はゆっくりとダイナと合流した。するとユーワがダイナに聞いてきた。
「シフォンさんは先に行かれたのですか?」
「ん?そうだけど・・・な~に、直ぐ追いつくさ!」
≪お前の事なんて何とも思って無いのさ。≫
再びユーワの頭の中に響く声。
唐突に狂った様にユーワは笑い出した。
「あはははは・・・先に行かれてしまったのですね!やっぱり、私の事なんてどうでも良くて、コリーダが大切なんだわ!」
「おい、どうしたんだよ!」
「わかんねぇ!さっきから可笑しいんだ。」
≪どうだ力が欲しいだろ。≫
「あはははは・・・そうよね、振り向かなければ振り向かせればいいのよね!手に入らないなら奪えばいいのよね!」
「ユーワさっきから何言ってんだよ!」
ユーワはどす黒い何者かの感情に支配されていた。
嫉妬、怨み、怒りと言った感情が彼女自身で制御できなくなっていた。
「邪魔よ!退いて!」
ダイナを突き飛ばし校庭へと歩み出すユーワ。
「何すんだよ!ちょっと可笑しいぞお前!」
ユーワは、ダイナを睨みつけると。
「うるせぇよ!邪魔すんじゃねぇ!」
まるで別人の様な言い方をした。
「ユーワ!本当にどうしちゃったんだよ!らしくないぞ!」
≪お前の欲しい力はすぐそこにある。≫
「シチー・・・私、手に入れるわ・・・全てを可能にする力を・・・だから、邪魔しないで。」
明らかに常軌を逸していた。
シチーは、ユーワに恐怖を感じずにはいられなかった。
ユーワには、二人の声はもう届かなかった。
ただひたすら何かを目指し歩みを進めるユーワ。
その前に突然一人の男が現れ立ちはだかるのだった。
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