第41話 サシキ
どこから現れたのかその男は、ユーワの目の前にいた。
「それ以上その声に耳を傾けてはいけない!」
その男は大きく腕を広げ行く手を阻んだ。
「何なのあなた・・・私によう・・・」立ち止まりその男を睨みつけた。
「その声に従えば、君は不幸になる・・・今ならまだ間に合う。自分の意志を取り戻すんだ。」
「訳の分からない事を・・・私は私の意志で行動しているの何か?」
ダイナは、男の事をどこかで見たことのある顔だと思い出し。
「あんた確か試験の時に居た、しょっぼい剣士!」
「少年・・・しょっぼいのは確かなんだけど・・・面と向かって言うのは止めよーな!」
≪構わず進め。すぐそこだ。≫
ユーワは立ちはだかるジェイドを弾き飛ばし前へ進んで行く。
「なーんだ・・・止めに入るからさぞかし強いのかと思ったら全然じゃない。」
「やはり、今の私では物理的に止めるのは無理か・・・おい少年二人!その子を止めろ!取返しのつかない事になるぞ!」
シチーとダイナは顔を見合わせるが、お互い現状を理解しておらず、困惑の表情を浮かべていた。
「取り返しのつかない事って・・・流石に言いすぎでは・・・」
「様子がおかしいのはわかるけど・・・・・・わかった兎に角、止めよう。」
シチーはユーワを止めようと後ろから抱き抱えたが、彼を引きずりながら前へ前へと進んで行く。そして地面に魔法の痕跡が残る場所へとたどり着いた。その中心には植物の芽が不気味に出ていた。
≪さあ、手に取るといい。さすればお前の望む物が手に入る。≫
◆◇◆
その頃、マリアベルの拠点では、ファストベルのお説教から解放されたワーストベルとサザンベルの姿があった。
「なんで、あたしまでお説教受けなきゃならないんですか!」
「キャハハハ・・・気にすんなって!」
馬鹿笑いするワーストベル。
「笑いごとじゃ無いですよ!あたしの初仕事だったんですよ!誰のせいだと思ってるんですか!」
「マリアベルも喜んでいたんじゃないか!」
「あ・れ・は・呆れてたんですよ!」
その時、誰かがやって来た。
「なんだなんだ、もう解放されたのか・・・冷やかしに来たんだが、ちと遅かったか。」
大きな白い虎の獣人の魔族がそこに居た。
「うわー!クワトラだ!遊ぼ遊ぼ!」ブルンブルンと尻尾を振り回すワーストベル。
「ガハハハハ・・・又、今度な。そっちの嬢ちゃんが新入りさんかい・・・・俺様がクワトラベルだヨロシクな!」
「あなたがクワトラベル様。あたしはサザンベルと申します以後、お見知りおきを・・・」
「様はいらんぜ。クワトラと呼んでくんな!」
「あの・・・クワトラさんは、博識だと聞き及んでいます。お聞きしたい事があるんですが・・・」
「博識って言うよりも情報通だな・・・俺様が知ってる事なら何でも教えてやるぜ。」
「それなら・・・ウッドマンの事を聞きたいのですが・・・・・・」
「ウッドマンだと・・・何でまたあんな奴の事を知りたいんだ?」
「以前あたしは、ある魔族に強制的に契約させられていました・・・その魔族がウッドマンの手下だったのです。」
「復讐でもしたいのか?」
「いえ、そう言う訳では・・・」
「まぁ、復讐だったら、止めた方がいい・・・奴を倒すのはほぼ不可能だからな・・・」
「それはどう言う事ですか?」
「奴自体はさほど強い訳じゃない・・・俺様やこのワンコの方が遥かに強い・・・多分、嬢ちゃんの方が強いんじゃないかな・・・奴を王に足らしめたのは、その能力にある。」
「ワンコ言うな!狼だぞ!がおぉぉ。」
「わかったわかった!後で遊んでやるから大人しくしてろな。」
「あの・・・その能力って・・・」
「ウッドマンの能力に・・・ 『サシキ』 と呼ばれるモノがある。自分の一部を切り与えた者に力を与える事ができる能力。」
「それって、眷族を作っているて事ではないのですか?」
「ああ、そこが味噌ってやつだ・・・一部と言うより分身を与えていると考えた方がいい。その『サシキ』を受け取った者は、莫大な力を得る代わりにウッドマンの分身を抱える事になる。」
「それに何か問題でもあるんですか?」
「大有りさ・・・仮に奴の本体がやられた場合。その『サシキ』に移動する事ができる・・・そして移動された宿主はウッドマンに喰われ、新たなる本体の誕生って訳さ。」
「それって生贄みたいですね・・・」
「生贄みたいじゃねぇな、生贄そのモノだな・・・その『サシキ』をされた奴は一人や二人って訳じゃねえだろうからな・・・奴を倒したいなら『サシキ』をどうにかするか、移動される前に殺す事ができればって話しだな。」
「キャハハハ・・・もう一つあったぞ!奴の倒し方!」
「あれはマリアベルにしかできん。」
「マリアベル様がどうかされたのですか?」
「ウッドマンは一時期、マリアベルの傘下に入った事があるんだ。奴は、マリアベルの首を狙う為に傘下に入った、そして、『サシキ』の能力を使ってマリアベルを支配しようとしたが、逆に支配されそうになって『サシキ』を切り離して逃げて行ったって事があったのさ。」
「逆に侵食されたって事ですか・・・」
「あの時、奴について色々調べる事ができたって訳さ。」
「なるほど、参考になりました。」
「キャハ、終わったのかなら遊ぼ!クワトラ!」
「しゃーない。少しだけだかんな!」
マリアベルの拠点の一幕だった。
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