第36話 作戦
学院では、武術科と魔導科の共闘の為の作戦を武術科のデービットが説明を始める。
「作戦は、至って簡単、我々武術科は戦える者をかき集め三つの隊を編成、正面、左右に展開。正面の隊は、君たち魔導科の盾と牽制の役割を担当する。左右の隊で化物を挟撃、足止めを担当。我々が時間を稼いでいる間に君たちが協調魔法を発動させ、あの化物を倒す・・・・」
「しかしだね~一つ問題があるだな~」
「リチャード先輩は、口を出さないで下さい。協調魔法の基本は一人の紡ぎ手、魔法詠唱を行う五人の導師が必要です。それは最低限の条件。威力を上げるには五人づつ人数を増やしていく必要があります。」
「人数をどうするかって事ですね・・・・リョーコさんあなたはどうお考えなのですか?」
「そうですね・・・安全性を考慮したら五人なんでしょうけど、十人は必要かと・・・万全を期すなら十五人かと。」(根拠はありませんけど。)
「だったら十五人で行きましょう。」
それを聞いたユーワが血相を変えて話しに割って入る。
「シフォンさん!紡ぎ手は人数が増えればその分、負担が大きくなるんですよ。流石に十五人は無理があります!私は反対です。」
「大丈夫ですよユーワさん。この間だって上手くいったでしょ。」
「・・・・あの時だって、あんな無茶をするんなら反対してました!」
「ユーワさん心配して下さってありがとう。でも、わたし自身がやりたいのです。」
「危険すぎます!せめて人数を減らして下さい。」
「ユーワ先輩。言いたい事はよ~くわかりますが・・・人数を減らしてあの化物を倒せなかったら、私達は全滅しかねません。やはり、シフォン先輩の判断が正しいかと思われます。」
「ん~んユーワ君。本人がやりたいと言ってるのだから、それを尊重すべきと僕は思うのだが。」
「あなたは黙ってて!私とシフォンさんで話してるんです。やっぱり、宮廷魔導士に頼みましょうよ。」
「・・・ユーワさん。わたしは紡ぎ手をします。これ以上この話しをするのを止めましょう。時間が勿体ないですし、私の結論は変わりません。」
「そんな危険な事、シフォンさんがする必要ないじゃないですか!」
「・・・・ユーワさん今回の協調魔法から外れてもらいます。今、必要なのはわたしと共に戦って下さる方であって、心配して下さる方では無いのです・・・今のあなたと心を一つにするのは難しいと思いますので・・・ごめんなさい。」
「どうして・・・どうして・・・」 ユーワはその場で泣き崩れた。
「・・・ともあれ、話しは決まったようだね~早速、話しを詰めようじゃないか~。」
「だから、リチャード先輩は出しゃばらないで下さい。シフォン先輩、私の解析力で魔導士の人選をしようと思いますが・・・」
「そうね、あなたがしてくれると助かるわ。」
「おい、リチャード。私達も一旦、戻るぞ。」
「そうだね~僕らも準備をしなくちゃね。魔導科の諸君!後程、又、会お~う。」
帰り間際、デービットは告げた。
「十五分後、校庭集合。そのまま、作戦決行する!」
一方、校庭では二人の宮廷魔導士と異形の怪物が対峙していた。その戦いは膠着状態に陥ってた。怪物は鈍重で魔導士は距離を取り魔法攻撃が容易だったが、怪物の回復力は尋常じゃなかった。攻撃を受けてもまるで何事も無かった様にすぐさま回復しまい、どうにもならない状態であった。
「俺達二人では、決め手にかける・・・増援が来ない事には・・・・」
「あいつをここに釘付けしてるだけでも十分だ。粘り強く待つのみ!」
二人は、油断していた。余りにも鈍重な怪物の攻撃。ドタドタと近づき攻撃しようとするが、余裕を持って回避する事が可能だったからだ。
「喰ラウ、オマイラ、絶対。」
異形の怪物はその大きな口を開け魔導士に向けペッと何かを吐き出してきたのだ。想定していなかったそのの攻撃に片方の魔導士は回避が間に合わず、左足に粘々した液状の物質が付着すると、急速に硬化して行き地面へと繋ぎ止めた。
「うわぁぁ・・・汚ねぇ!あいつ胆を吐き出しやがった・・・・・ん?・・・う・動けねぇ・・・」
「おい、どうした!動かないとやられるぞ!」
「胆が固まって身動きが取れないんだ・・・何とかしてくれ!」
もう片方の魔導士が怪物の気を引こうと魔法攻撃をするが、意に介さず身動きの取れない魔導士の前へと進んで行く。そして、その大きな手で魔導士を捕らえると、大きな口をあんぐりと開け、頭から丸呑みにした。暫くするとバキバキと鈍い音が響き渡った。
「・・不味イ・モウ一匹・喰ラウ・・・」
ヤバいぞヤバいぞ、こいつは想像以上にヤバい奴だ・・・俺一人では太刀打できない・・・これはしょうがないんだ・・・逃げるんじゃない、戦略的撤退ってヤツだ・・・
宮廷魔導士は、恥も儀文もなくその場から逃げ出したのである。そうなると、必然的に怪物の標的は学院の生徒へと向けられるのである。
「みんな~準備は整ってるかい~では、行こうじゃないか~」
「リチャード先輩は黙ってて下さい。・・・外は少々不味い事になっています。宮廷魔導士の一人が殺られ、一人が逃げました・・・・あの化物が体液を吐き出す攻撃を確認しました。よって、武術科の方々は盾が必須です。」
「想定済みだ。全員携帯している・・・一人を除いては・・・」
「僕には盾は相応しくないのだよ~スマートじゃないしね。」
「リチャード先輩・・・死なれると面倒なのでちゃんと盾は装備して下さい。」
「リョーコ君!僕の心配をしてくれるのか~い。レディの頼みは無下には出来ないね僕は紳士だから。」
「はいはい、これ、どうぞ。」 リョーコはリチャードに盾を渡した
「魔導科も準備は良いか。」
「こちらは問題ありません。」
魔導科と武術科の即席チームが今、異形の怪物に挑もうとしていたのだった。
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