第28話 スフレ=クレア

 王宮から東の方角に王立病院があった。そこにも魔族が出現し人々を襲っていた。その病院には、先日の天使襲撃で担ぎ込まれた商人、傭兵達がいた。


 「まだ、完治してないのに、なんだ、あの化物は・・・・」


 「フクロウみたいな見た目だな・・・で、どうするよ?」


 「・・・生憎、戦えるのは俺達しか居ない様だ、救援が来るまで俺達で何とかするぞ!」


 「そーなるわな・・・九死に一生を得たばかりなのに、又、大ピンチだな・・・」


 「ツベコベ言わず、さっさと行くぞ!」


 傭兵三人は、病院を飛び出して、フクロウの魔族と対峙するのだが、フクロウの魔族は、空に舞い上がり、足の鉤爪で傭兵達を襲った。


 「又、空を飛ぶ奴かよ・・・厄日だ・・・」


 「救援が来るまで時間を稼げばいい!踏ん張れよおまいら!」



 熟練の傭兵らしく魔族の攻撃をいなすが、まだ、本調子には程遠い状態の彼らは、徐々に動きが悪くなっていく。



 「流石にきつくなってきたぜ!このままじゃぁ、ヤバいぜ!」


 「もう少しだ、もう少し頑張れば、必ず助けが来る・・・」根拠の無い事を言って周りを鼓舞するがそれは、自分に言い聞かせる様だった。


 そこに近ずく人影があった。


 「すでに戦ってる方がいます。急ぎましょう!スフレ様。」


 「あらあら、大変・・・こうしては入れませんね。」


 「スフレ様。早く早く!」


 スフレ=クレアと二人の女性の宮廷魔導士が駆け付けた。


 「これは助かりますね、途中で獣士隊の方が戦えないとか言って立ち止まってしまって・・・前衛が居なくなって正直困ってましたから、ありがたいですね。」


 駆け付けた二人の魔導士は、魔族に対して魔法の詠唱を始める。


 「そこの方、そのまま、引きつけといて下さい!こちらで仕留めます!」


 「早く頼む、こっちもそう長くは、もたない・・・」


 魔法が魔族に放たれると、魔法は命中するものの、効果は今一つだった。


 「そんな・・・効いてないの・・・・魔法の選択を間違えたか・・・」


 遅れてスフレも到着する。息を切らせながら。


 「・・・二人とも早いよ・・・・」


 「スフレ様!あいつ、魔法があまり効かないみたいです・・・」


 「あら、まぁ、どうしましょう。」


 「落ち着いてる場合じゃありませんよ!」


 傭兵達は明らかに限界だった。今にも崩れ落ちそうだったが、不意に体が軽くなる感覚を覚える。


 「なんだ・・・回復魔法をかけられたのか・・・力が沸き上がる!」


 傭兵達は嘘の様に全快を果たした。そして気づく自分達の後ろに、一頭の角を生やした獣の存在に。


 「こいつは、ユニコーンって奴か・・・・」


 「皆さん、元気になりましたね。では、そのまま、少しだけお休みしていて下さい。出番をお作りしますから。空飛ぶ相手には、こちらも空を駆ける子で相手をしましょう。」


 空を悠然と羽ばたくフクロウの魔族を更にその上から、一頭の天翔ける天馬が現れる。


 「スフレ様。遅いと思ったら、既に召喚なされていたのですね。」


 「二人ともすぐに行ちゃうから・・・」


 天馬は、魔族の頭上から前脚で強烈な一撃を加える。ふくろうの魔族は、墜落しかけるが地上すれすれでもち直し、天馬に向かって行く。空中で激しく交差する天馬と魔族。一進一退の攻防が続く。


 「少し、苦戦してるみたいね・・・・じゃあ、ルナちゃんちょっと手伝ってあげて。」


 ユニコーンが、身構える様な仕草をすると、青白く発光し始め、いなないた。


 「ユニコーンの聖なる波動だ!」


 その攻撃は、フクロウの魔族に直撃し、追い打ちをかける様に天馬の体当たりが入る。魔族は、ズドーーンと地上に激しく叩きつけられる。


 「皆さん、今ですわ!」


 「おうよ!」傭兵達が魔族に剣を突き立てる。三方から剣を刺された魔族は、断末魔の悲鳴を上げる。


 「止めは、私達が決めますわ!」二人の宮廷魔導士が突き刺さった剣に目掛けて雷の魔法を放った。


 雷撃を受けたフクロウの魔族は、プスプスと音を立て焦げ付くと、体中に亀裂が広がり弾け散った。


 「やったぞ!俺達の勝ちだ!」傭兵達が雄叫びをあげる。


 「まるで、自分達の手柄みたいに・・・・私達が来なかったら危なかったクセに。」


 「そうよそうよ。」


 「二人とも、そんな事、言わないの!あの方々のお陰で獣士隊さんの穴を埋める事が出来たんですからね。」


 「はい・・・」


 そうこうしてると、ユニコーンとペガサスの二頭がスフレの元に戻って来た。


 「ルナちゃん、アルテミスちゃん、ありがとう、お疲れ様。」


 スフレは、優しく二頭の頭を撫でて、労った。そうすると、二頭は、静かに姿を消した。



 「おい、あんたらこれからどうすんだ、街中から煙りが上がってる。他を助けに行くのかい?」


 「私達は、このままこの区域を警戒にあたりますわ。さっきの化物の仲間がまだ潜んでいる可能性がありますし、他には別部隊があたっていますから大丈夫ですわ。」


 「必要があるなら、連絡がくるでしょうから・・・」


 ここでの戦いは終わったが、まだ、魔族の攻勢は続く。

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